803 試合後にモーニングを

 場末の賭けバスケで7連勝!!

当然、それでガッポリ儲けた飯綱ちゃんはご機嫌。


なので、その後、休憩がてらに「某喫茶店」に向かったのだが……そこで。


***


 ……まぁ、そんな訳でして。

結局、私は大してなにもしないまま試合は終了。

そのまま5人でバスケット場を後にした。


そんでこの後、24時間営業してる例の劣悪喫茶店『本格英國カフェ・ビッグベン』に行き、みんなでモーニングを取っていた。


けど、此処の店で出される物が、相変わらず、なにもかもが『不味い』のは言うまでも無い。



「いやぁ。今日は、久しぶりに体を動かして楽しかったなぁ。ありがとうな、飯綱」

「ホントホント。まさか『神戸牛』をお裾分けに行って、バスケをする事に成るとは思ってもみなかったけど。本当に楽しかったよ」

「なんのなんの、ウチも、ガッポリ稼がせてもうたから、逆に感謝してるわ」


そうだね。


一体、総額、幾ら貰ったんだろうね。



「あの……飯綱さん。また賭けをされてたのですか?」


あっ、そうかぁ。

真上さんは、飯綱ちゃんが賭けの話をしてた時は、まだ来てなかったから、この話自体を知らなかったんだ。


だったら清廉潔白な真上さんの性格から言って、ちょっと怒ってるかも知れないね。



「ゴメンゴメン。いつもの、ちょっとした出来心やんか。こんなんイチイチ気にしたらアカンで」

「あぁ、別に構わないのですけど。余り派手にやられない方が良いのでは有りませんか?」

「まぁまぁ、そう言いなって。ウチが稼げるお金なんか、これ位しかないねんから。ちょっとだけ大目に見といて。……そやないと、生活費が無くなって、ウチが死んでまうで」

「そうですかぁ。……あぁ、でも、気を付けて下さいね」

「大丈夫、大丈夫。ウチも、そこまでアホちゃうし。そこまで無茶はせぇへんって」


真上さんは怒ってたんじゃなくて、飯綱ちゃんが心配で仕方がないんだね。


そう考えれば、これもまた、実に真上さんらしい反応だね。



「なんだ飯綱。生活費に困ってるのかい?」

「あぁ、自慢や無いけど、いつも全然無いで。って言うかウチのオッサンがなぁ。ウチの生活費を1銭もくれへんから、毎日がカツカツやで」

「そうかそうか。だったら、ちょっとしたビッグチャンスを掴んでみないか?」

「なにそれ?どういう事?お金になる話なん?」


うん?なんの話だろ?


そりゃあまぁ、飯綱ちゃん絡みでビッグチャンスと言えば、バスケの話しかないんだろうけど、それにしたって、エディさんから齎される話って、なんだろうね?



「あぁ、いやね。今度シカゴで3on3の大会『Bash-freaks festival』ってのが有るんだけど。飯綱、それに出てみないかい?賞金は、確か1万ドルだったと思うんだけど」

「あぁ、えぇ話やけど。それは無理やわ。賞金以前にな。ウチにはアメリカに行くお金なんか1円もあらへんもん」

「それなら心配は要らないよ。今回の美樹の件で、飯綱には世話になったから、旅費及び、滞在費は全額、僕が負担するから」

「ふ~~~ん。あぁ、でもなぁ。優勝出来ひんかったら、ただの無駄金になんで」

「いやいや、今日、一緒にバスケをやって、ある程度の確信を持てたから大丈夫。真上や、鞍馬がパートナーだったら、結構、良い所まで行くと思うよ」

「あぁ、そう言う事かぁ。……まぁ、そやけど。無駄金になってもえぇ言うんやったらOKやけど。そんなんでえぇんか?」

「全然良いよ。大体、僕等が、一体、幾ら稼いでると思ってるんだい?飯綱と、真上と、鞍馬の3人分ぐらい問題無いよ」

「まぁ、エドにしたら端金やわなぁ」


あぁなるほど。

真上さんも連れて行けば、そりゃあソコソコいける感じだよね。


寧ろ、優勝なんかも狙えたりしてね。


・・・・・・


うん?……って、ちょっと待って!!

なんでドサクサ紛れに、私まで入ってるのよ!!


無理無理!!



「ちょ、ちょっと待って下さいよ、エディさん。私、バスケなんて、殆ど、やった事ないんですよ」

「えぇ?そうなの?……眞子って、バスケ初心者なの?」

「そうなんですよ、美樹さん。実際、体育の授業とかでしかバスケなんてやった事がないですよ」

「あぁ、そうなんだ。あんなに動けるから経験者かと思ってた。……眞子って、なにをやっても器用なのね。才能有り過ぎ」

「はい?なにがですか?」


えぇっと、人に迷惑ばっかり掛けるしか、能が有りませんが。


そんな才能で良かったら、幾らでもプレゼントしますよ。


勿論、包装付きで。



「凄いですね、向井さん。初心者の方が、あれだけのプレイなんて、普通は出来無いですよ」

「いや、あの、それは違うんですよ。知り合いの真似をしてただけですから」

「真似……ですか?」

「そうなんですよ、そうなんですよ。あれは、ただ単に人の真似をしてただけのプレイなんで。別に特別私が上手いって訳じゃないんですよ。中身が空っぽなんで」

「そんな事ありませんよ。中身が無いなんて、とんでもないです。上手く相手のリズムを崩して頂けたので、今日のバスケットは、大変楽をさせて頂きましたよ」


あぁ……確かに『リズムの話』を飯綱ちゃんに指摘されたから、そこだけは試合中意識してたね。


けどさぁ。

例え、それが上手く行ってたとしても……ねぇ。


所詮は何処まで行っても、ただのド素人ですから。



「そやで眞子。真上の言う通りなぁ。さっきのアンタは、完全に相手のリズムを崩しとったで。アンタ、ウチが学校でチョロっと言うただけやのに、それが即座に実践出来るやなんて、ホンマ器用やねんね」

「いやいや、そうじゃなくてね。ほらほら、音楽って、色々なリズムがあるじゃない。それをバスケに付け加えただけだから。別に、そんな大層な話じゃないんだよ」

「いや、鞍馬。……それ、多分、簡単には出来無いよ」

「なんでですか?楽器を弾いてたら、リズムの変更なんて良くある事じゃないですか。特に私ベースだし」


だってさぁ、考えてもみて下さいよ。

ライブなんかをやってたら、その曲に合わせて、色々な曲調を作ったりしなきゃ成らないんだから、そんなの普通の話じゃないですか?


それにですね。

一曲の中で、曲調がガラッと変わる曲なんかも一杯あるじゃないですか。


その応用なんですけど……いけませんかね?



「いやいや、理屈や、頭で解ってても、体現するのは難しいよ。頭と体は、結構、切り離されてるもんだからね。これは簡単には出来無いよ」

「えぇっと、そんなもんなんですか?難しく考え過ぎてないですか?」

「うん。正真正銘の変態やわ、アンタ」


ちょ!!なんて事を言うのよ!!



「変態じゃないから」

「いいや、アンタは、ただの変態や。ウチかてなぁ、昔、不規則なリズムを崇秀に指摘された後、必死に練習したけど。変則リズムを手に入れるのに2年も掛かってんで……それを、未完成とは言え、瞬間的にやるなんて、どう考えても、ただの変態やんか」

「えぇっと……なんか、ごめんなさい」


きっとね、なにも考えてない天然だから、偶々出来たんだよ。

馬鹿だから、難しく考える機能が付いてないんだよ。


でも、なんか、本当にごめんなさい。



「まぁ、戦力になるからえぇんやけどね。……そやけど眞子。もぉゴチャゴチャと余計な事は言いなや。ウチ、ちょっとムカついてんねんからね」

「あぁ、はい……すみません。なんか解んないけど、黙ってます」


不条理だね。


世の中って……


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


休憩がてらに寄った喫茶店で、思わぬ儲け話がエディさんから齎された眞子と飯綱ちゃんでしたが。

このまま話が上手く進んで、この話に乗る事が出来るのでしょうか?


現状では、少々問題がある様に思いますです(笑)


なので次回は、その問題について書いていきたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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