801 別の意味での鬼再び

 飯綱ちゃんの要望でやって来た場末のバスケ場。

そんな中、眞子以外の人間が全員バスケの経験者だと知ったのだが。

果たして、その実力の程は如何なるものなのか?


***


 ……そんな不安を抱えたまま、一回目の対戦が始まってしまいました。


相手方は男子高校生ぐらいで、手足にはフンダンにタトゥーが入っている、なんともガラの悪そうな人達。


まぁまぁ、その分、あんまり上手そうな印象は受けないけどね。


良い所、好きでバスケをやってるって感じかなぁ。


……っで。

初手のボールトスは、エディさんの身長が高いので、凄い高い位置で、飯綱ちゃんに向って思いっ切りボールをはたいた。


その早いボールを、物ともせずに飯綱ちゃんがキャッチすると同時に体を反転させて、一気にドリブルの体勢に入る。

その後は、誰にも追い付かれる事が出来ない様な高速ドリブルで、ゴール下まで1人で持って行って。


思い切り『ダンクシュート』する。


まさに……一瞬、電光石火のシュート劇だった。


更に、ボールが相手方になっても、真上さんがパスコースを読んで、ドンドンスティールして奪い去る。


そこから、上下左右の多彩なパスで、相手を翻弄。

その上、真上さんは、何事も無い様に正確なシュートを打ち、3Pをガンガン入れていく。


……その中にあっても、2大山脈のチョモランマねぇさんと、ロッキーにぃさんも冗談じゃないぐらい上手い。


ガシガシ攻守共にバウンドを取って、更に、得点を重ねていく。



それで終わってみた結果は……21:6。


ド素人相手とは言え。

この試合時間中、たった3本しかシュートを入れさせなかった上に、なんて化物染みた得点力だろ。


あの因みにですね。

私は……『ある事を意識しながら』プレイしてたんですけど、なにも役に立ってなかった様な気がします。


チョロチョロと鬱陶しいだけの雑魚で……ごめんなさい。



「よっしゃ、よっしゃ、まずは快勝!!ほな、次行ってみよか。掛かって来んかい!!」


此処のルールは、負け抜けなんですね。


連戦ですか?



「そうですね。少しだけ体も温まってきましたし。次に行ってみましょうか」

「だね。まだまだ全然余裕あるし。次行ってみようか」

「ハァ……、でも、もうちょっと歯応えが欲しいね。これじゃあ、本気に成れないね」


アンタ等、悪魔ですか?


あれで、まだ本気じゃないんですね?


どんなポテンシャルですか?


まぁ、化物だから……そんなもんかな。



「んじゃあ。早速、ウチと対戦してみっか、飯綱よぉ?」

「嫌ぷぅ~~~。サッカンとことは、まだせぇへんよ。まだ体が、完全に温まってない内に、ウチ等を叩こうって腹が丸見えやもん」

「ちっ……気付いてやがったか」

「当たり前やんか。そやからサッカン、アンタ等とは5戦後に相手したるわ」

「おぉ、言ってくれるじゃん。……それって、負けないって連勝宣言かぁ?」

「当然やん。このメンバーで、誰に負けんのさ?そんな奴がおんねんやったら、教えて欲しいもんやわ」

「ほぉ、そこまで言い切るなら、ウチとやるか?それともウチも後か?」

「えぇんちゃう。アンタ等が相手やったら、丁度えぇウォーミングアップやわ」

「コイツ、言ったなぁ。……オイ!!野郎共やるぞ!!今日こそ、この天狗娘の高慢ちきな鼻をブチ折るぞ!!」

「「「「「うぃ~~っす!!」」」」」


うわっ、うわっ!!なんか矢鱈と気合の入ってる。

しかも本格的にユニフォームを揃えてる人達が、今度はコートに入って来たけど。


これ、大丈夫なの?


相当、上手そうな雰囲気だけど……



……っと、思ってたんだけどね。

試合開始からの、例の流れで『ダンクシュート』を、イキナリ飯綱ちゃんが決めて先制点。


それに今回は、飯綱ちゃんにボールを集めて、ドンドンとドリブルで抜き去らせる。

身長が小さいから、ドリブルの位置が低く、相手方は、これがまた中々奪えない。


その上、飯綱ちゃん。

相手をからかう様に、ゴール下まで持ち込んでから。

敢えて、自分ではシュートに行かず、真上さんの3Pの位置にパスを出すのよ。


それで……ガードが外れて無防備に成った真上さんが、ジャンジャン3Pを入れていく。


まぁ……なんとも性格の悪い連携プレイだ。


それでね。

今回も攻守に渡って、2大山脈の方達が活躍。

ディフェンス面での特徴は、お2人共『ディナイ』が、兎に角上手い。

特に、エディさんの身長は195cmぐらいあるので、相手方は、大きな体にパスコースを限定されて、決まった位置にしか出せない。


そこに真上さんがパスを奪っていく。


此処でも、嫌な連携が成立している。


そして、オフェンス面でも『スクリーン』『スクリーンアウト』の使い分けが上手い。

チャンスと見ればスクリーンを懸けずに、直接ゴールを狙っていくし、真上さんがパスを出し難そうにしていたら、即座にスクリーンを懸けていく。


この辺の判断力は、試合の経験なんだろうけどね。



……っで、結果的には。


26:13。


結局ダブルスコアーで終わった。


矢張り、一切の容赦が見受けられない。


鬼だね。


でも、私は……さっきと同じ事を意識しながらプレイしてたけど、矢張り、大してなにも役には立っていない。


まぁ、そんなもんなんだろうね。



「大野のオッちゃん、もぉメッチャ好きやわぁ。いつもいつも『うちの為にワザと負けてくれて』おおきになぁ。やから、掛け金を置いて、サッサとコートから去りや。はい、さよならぁ」

「くっそぉ~~~!!なんなんだよ、飯綱、このチーム!!こんなチーム、明らかに反則じゃねぇか!!」

「やかましいわ、この負け犬が!!負けた後にキャンキャン吼えるな。口惜しかったら、これ以上のメンバー集めて、ウチ等に勝ってみぃ」

「コンチクショウ!!憶えてろよ!!」

「あぁ、うんうん。憶えとくから、また今度も負けてなぁ。いっぱい掛け金頂戴なぁ」

「くっそぉぉぉ~~~!!」


……本物の鬼が居る。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


流石に経験者が揃ってるだけに、眞子は余り活躍出来てないみたいですね。


まぁでも、これは仕方がない事。

ゲームや、ラノベ小説でもない限り、経験値だけは、実践でしか身につかないものですからね(笑)


さてさて、そんな中。

このチームは見事五戦を勝ち抜き、予定通り坂下さん(サッカン)との対戦を果たす事が出来るのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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