800 自覚と罪悪感

 川崎にあるバスケット場にやって来た4人。

そこで、エディさんや美樹さんがバスケ経験者と聞かされ嫌な予感がする眞子。


そこに飯綱ちゃんが相棒と言う子がやって来るのだが……その子が。


***


「遅くなって、すみません。お招きありがとうございます」


まっ、真上さん!!

いっ、飯綱ちゃんの相棒が、真上さんですってぇ~~~!!


そっそっそっ、そんな馬鹿な。

性格が相反し過ぎて、絶対に受け入れないパターンの筈なのに……



「宜しくなぁ。どぉどぉエド、この子メッチャ可愛いやろ」

「あっ、あぁ、確かに可愛いね。けど、この神奈川って地域は、一体どぉなってるんだい?なんでこんな可愛い子ばっかり集まって来るんだ。……勿論、美樹も含めてだよ」

「もぉ、そう言う事は言わなくて良いって」


バカップルだ。


なんかこれはムカツク。



「それにしても、飯綱の相棒が、まさか真上ちゃんだったとはね。ビックリしたよ」

「ご無沙汰しております、塚本さん。それに、この間の文化祭では、大変お世話になりました」


あぁそうか、そうか。

美樹さんと、真上さんは、真琴ちゃんの文化祭で知り合ってたんだね。


この一件はスッカリ忘れてた。


けど、あの文化祭の時って、真上さんの身に色々とあったから、いつ美樹さんと知り合ったんだろうね?


私の知らない所で衣装合わせとかしてたのかな?


まぁ良いけど。



「別に私、なにもして無いから。真上ちゃんの作ってくれたメイド服で、ちょっと兄貴君の手伝いをしてただけだし。寧ろ、真上ちゃんの方が大活躍だったじゃない」

「いえいえ、そんな事ありませんよ。私は、倉津さんに頼まれて衣装を作っただけですから。……あぁ、そうだ。そう言えば塚本さん。行方不明の倉津さんは、どうなりましたか?倉津さんは見付かったのでしょうか?」


ぶっ!!


最近、その話題が出ないから本当にスッカリ忘れてたけど、私にはそんな設定もあったね。


でも、だからと言って、その話題を私に振らないで下さいね、美樹さん。

今はもぉ、その話には絶対に関わりたくないんで。



「あぁ、今のところ私の方は情報は0だね。眞子、なんか知らない?」


……ですよね。

こう来ても当たり前だよね。

この状況で逃げれると思ってる方が、間違いですよね。


まぁそうは言いましても、一応それなりの答えは、以前から用意してるんだけど、まさかこんな場面で、その話をする羽目になるとは予想もしなかったよ。



「あぁ、はい。一応ですね。私もアメリカ・ツアーの最中に街中を探してみたり。アメリカに居る奈緒ネェに頼んで、真琴ちゃんを探して貰ってはいるんですけど。……今の所、情報は0みたいですね」

「そっかぁ。でも、早く見付かると良いね。私も兄貴君の生ライブに、久しぶりに行きたいしね」

「あぁ、まぁ……ホント、何所に行ってるんでしょうね。皆さんに、散々迷惑掛けて……」


……ごめんなさい。


実は、此処に、全く違う生命体で居たりするんですけどね。


……でもですね。

半年以上も、この姿で生活をしていたもので、最近では、女の子の習性が完全に体に染み付いてしまいましてですね。

だんだん倉津真琴って人間が、どんな人間だったかさえも、自分でも思い出せなくなって来てるんですよ。


ですから、もぉそこには、あまり触れないで下さい。

いやもぉ一層の事、倉津真琴の事を忘れて頂ければ有り難いです。


向井眞子で、まけて置いて下さい。

多分なんですが、今更、元の真琴には戻れませんしね。


このままだと100%不気味なオカマになってしまいますので……ご了承下さい。



……にしても、久しぶりに、自分が、倉津真琴だったって事を実感しましたよ。


なんか、もぉ心底嫌な感じですね。



「……だってさ、真上ちゃん。親戚の眞子が言うんだから間違いないよ」

「あぁ、そうなんですか。それは、とても残念ですね。私も、倉津さんの元気なお姿を御拝見したいですから。早く、お帰りになられたら良いですね」


あの……そう言う言葉はですね。

私個人としましては非常に心苦しいから、出来ればヤメテ頂けると有り難いんですけどね。


幾ら自分で必至に、元から眞子だったと思い込んでてもですね。

意外と割り切れてない部分も有ったりするもんで。


それにですね。

私は、眞子に成ってからと言うもの。

そう言う意味でのメンタル面が異常な程に弱くなってしまいましたので、これ以上の口撃を加えるとアッサリ死んじゃいますよ。


こう言う無意識下での虐めは良くないです。


故に此処は早々に誤魔化そう。

いつもみたいに真上さんの善意に殺されてしまう前に……



「あの、ところで美樹さん。そちらの方は、飯綱ちゃんのお友達の方みたいなんですが。美樹さんとも、お知り合いなんですか?」

「あぁ、この子。この子はね。兄貴君の知り合いでね。兄貴君の所の文化祭で知り合った王家真上ちゃん。仲良くするんだよ眞子」

「あっ、はい。私、向井眞子です。宜しくお願いしますね」

「こちらこそ。私は、王家真上と申します。ご親戚の倉津真琴さんには、大変お世話になりました。向井さんにも、倉津さん同様、ご迷惑をお掛けするかも知れませんけど、宜しくお願いしますね」


真琴ちゃんが一方的に我儘ばっかり言って、真上さんに多大な迷惑を掛けてただけの様な気がするんですけど……


相変わらず『罪悪感』を振り撒く人だなぁ。


でも、ヤッパリ真上さんは良いなぁ。

この人は、男女に関わらず、分け隔てする事が絶対にないもんなぁ。


いつお逢いしても、最高ですよ真上さんは♪



「なぁなぁ、自己紹介なんか、もぉどぉでもえぇやんかぁ。そんな事よりバスケやろバスケ」

「あぁ、そうですね。私の為に時間を割いて頂くのもなんですから、自己紹介は、また後程で。時間のある時にさせても頂きますね。……それで飯綱さん。私は、なにをしたら良いのですか?」

「そんなん決まってるやん。真上はシューティングガード。3P生かすには、それしかないやん」

「そうですか。わかりました」


真上さんも、得意ポジションが決まってるんですね。

そして結局は、私以外、全員がバスケ経験者なんですね。


じゃあ……私はベンチで寛いでて良いですかね?

私の宛がわれるであろうポジションには、誰かに助っ人を頼んで貰うと言う事で……


こんな極悪なメンバーには入りませんよ。



「あっ、あの、飯綱ちゃん……私は?」


不安だ。


一応バスケのルールは知ってるけど、専門的な事を言われると、全くわかんないよ。



「眞子は、スモールフォード。真上以上に重要な役割やね」


Σ(゚д゚lll)ガ~~~~ン!!


ベンチで良いって、今さっき心の中で言った所なのに……



「ちょっと、そんなの無理だよ」

「大丈夫やって。草バスケぐらいやったら、アンタの腕でも十分通じるって。……って言うか、文句言わんとやれ」


文句言いたいです。


眞子にも発言権を下さい。


嫌です。



「あぁ、もぉ……知らないよ」

「知らんでもえぇわ」


あぁもぉ、そんなんで良いのかなぁ?


適当過ぎない?



「……じゃあ、飯綱ちゃんは何するの?」

「ウチかぁ?ウチは、ドが付く程のチビやから、残り物のポイントガード。スピードと、ドリブルの上手さが身上のポジションやね」


あぁ……それは完璧だ。


ポイントガード   飯綱ちゃん……スピードとドリブルが身上のポジション。

シューティングガード真上さん ……比較的離れた場所からのプレイで3Pシューター。

スモールフォワード 不安要素 ……シューティングガード同様に運動力の高さが必要。

パワーフォワード  美樹さん ……リバウンドの高さや、ジャンプや肉体的な力が要。

センター      エディさん……一番接触の多いポジション。肉体的な力が一番必要。


あの~~~、経験者の方ばっかりなのは、もぉ諦めますが。

かなり重要なポジション宛がわれてるんですが……大丈夫ですかね?


まぁ、あれかなぁ……逆に、これだけ他の人が凄いんだったら1人ぐらいドン臭いのが居ても大丈夫なのかな?


じゃあ、知~~~らないっと。

自分の出来る限りの事はするけど、知~~~らないっと。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


飯綱ちゃんのバスケの相棒が、真上さんだったと言う衝撃の事実だったのですが。

冷静に考えると、この2人の出会いと言うのは、意外と理に適っておりましてね。


まず此処が、真上さんの地元である川崎である事。

そして、学校に行けなくなっていた真上さんが、公園でバスケの練習をしていた事。

しかも、この真上さんが練習していた時間が、お店を閉めた後、用事を済ませてからの1人での練習だった為に、フラフラと川崎に遊びに来ていた飯綱ちゃんが、偶然にも目にとまる可能性が非常に高くなりますからね。


特に飯綱ちゃんは、才能のある人間を嗅ぎ分ける能力が人一倍優れていますし(笑)


さてさて、そんな裏話がありながらも。

次回は、そんな真上さんを加えてバスケの試合が始まる訳なのですが。


果たして、真上さんの実力は如何に!!


もし、その辺が気になりましたら、また遊びに来て下さいねぇ~~~♪

(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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