795 自身の存在価値の上げ方

 飯綱ちゃんの巧みな話術(説教)で、エディさんと美樹さんが徐々に距離を詰める中。

そんな飯綱ちゃんが最後に言い放った言葉は『眞子は、アンタには分不相応や』


果たして、その真意は?


***


「ちょっと、なんて事を言うの。分不相応なのは、私の方だよ」

「このアホだけは、今更なにをアホな事を言うとんねん」

「へっ?」

「えぇか眞子。恋愛ちゅうもんはな、世間での立場に関わらず、何があっても惚れられた者が上からモノを喋るもんやで。アンタもいい加減『自分の価値』って言うもんに気付きや。こんな事をイチイチ言わなアカンとか、どんだけドン臭いねん」

「えぇでも、自分の価値って言われても……ねぇ」

「アンタなぁ……はぁ、もぉえぇわ。アンタと喋んのはホトホト疲れた」

「えっ?」

「やからアンタは、もぉこれ以上なにも喋りな。大人しく天然は黙っとき」


そこまで言う?


それに私って、そんなに重症患者なの?


そこまで酷いの?



「まぁまぁ、飯綱ちゃん落ち着いて。それも眞子だって」

「そやね。確かに、そこはそうやわ」

「それにしても……イキナリ眞子を諦めるって言うのは難しいなぁ。恋愛って言うのは、そう簡単に諦められるもんでもないんだけどなぁ」

「ハァ……もぉコッチもか……アンタもかいな。この天然兄妹の兄」

「うん?」

「アンタなぁ、まだ、それがアカン言うのが解らんか?そうやって、美樹を傷つけて楽しいか?自分の中で、眞子がどうこう思ててても、イチイチ余計な事を口に出し言いな。イラン事言いか」

「あぁ、そうかぁ、そう言う事か……ダメだね」


なるほどなぁ。


飯綱ちゃんは、敢えて注意してるけど、なにも考えてないままの発言をしちゃうと、こうやって私も、他人から許される訳かぁ。


こう言う原理だったんだ。


エディさんを見てると……やけにリアルだなぁ。



「ハァ~~~、そやかて美樹も、豪い男に惚れてもうたもんやね。これは間違いなく一生苦労するで」

「まぁ……ね。でも、今ままでの話で、なんか自分の気持ちもハッキリしたし、それでスッキリもした。最初はミーハーな気持ちでエディさんを見てただけだったけど。どうも今の私は、そんなエディさんの事が本気で好きみたい。そう言うのも含めて、エディさんが好きになれそう」

「そうか。ほな、もぉなんも言わへんけど。……みんな、茨の道が好きなんやね。完璧な恋愛SMやわ」

「その言い方……」


恋愛で惚れている者は、Mだって事か……確かに言い得て妙だね。

私だって、崇秀の為だったら、なんでもしてあげたいもんね。


わかるわかる。


此処だけは完全に納得納得。



「あぁ、でもさぁ。なんで美樹は、そこまで僕を想ってくれるんだい?」

「そうですねぇ。なんでなんでしょうかね。……本気になってる自分の気持ちは、今もこうやってエディさんと話してるだけでも『ドキドキ』してるんで、間違いないとは思うんですけど。明確な理由までは解りませんね」


あぁ、エディさん。

美樹さんの事を、矢鱈とジッと見てるね。

それに対して美樹さんも、受け答えはシッカリしてるものの、意識して顔が真っ赤っか。


ひょっとして、ひょっとして!!これって、上手い行くパターンじゃないですかね?


実に良い感じですよ♪



「それって、掛け値なしに、僕の事が好きだって捉えて良いのかい?」

「あぁ、まぁ、そう面と向かって言われると、なんて言って良いのか解らないですけど。きっと、そうなんでしょうね」

「それってさぁ……本気の本気?本当にミーハーな気持ちはない?」

「そりゃあ、そう言う気持ちが0とは言い切れませんよ。そんなの、絶対的に嘘になっちゃいますからね。でも、大半は、そう言うのを抜いても『エディさんが好きなんだなぁ』って思ってます。こう言うんじゃダメですか?」

「いや、そこまで正直に言って貰えたら、逆に嬉しいよ。……なぁなぁ、鞍馬に、飯綱。こんな僕でも、美樹と付き合って良いと思う?」


ぶっ!!それ……なんちゅう質問ですか?

そう言う恋愛事は、他人に聞かず、自分で決めなさいっての!!


……あぁでも、折角の良いチャンスだから、此処は一発、ググッっと美樹さんを思いを汲み取ってバックアップしてみよ。


美樹さんをエディさんに推し捲くりですよ。



「あぁ、流石に、良い、悪いの判断は、私には解りませんけど。私個人としては大賛成ですよ。美樹さんだったら、エディさんと、お似合いのカップルだと思いますし。……あの、一応、言って置きますけど、変な意味じゃないですよ。純粋にそう思ったんですよ」

「なるほどねぇ。……飯綱は、どう思う?」

「そやねぇ。それやったら……今すぐこの場で美樹とHしたいって思えるんやったら、間違いないんちゃうかなぁ?但しやで、コンドームせんとやで」

「ちょっと!!」

「それって……」


露骨だなぁ。



「そやね。アンタが、いい加減な気持ちで美樹を好きやって言うんやったら、付き合うのは辞めとき。後腐れがあるだけや。そやけどな、さっきのSEXの話を抜いたとしても、美樹と一緒に居たいと思えんねんやったら、それは、そっちの方が尚更OKなんちゃうか。要はな、エド自身が、美樹をどう捉えてるかが一番重要やねん。ウチ等の意見なんか、なんも関係あらへんで。……そういうのは、自分で決め」


これじゃあ、子供を嗜める母親だね。


飯綱ちゃんってさぁ。

大人なのか、子供なのか謎が過ぎるよね。



「あぁ、まぁ、なんて言うか。……これからも美樹には一緒に居て欲しいなって、思い始めてる自分が居るんだよね。美樹は、今までにないタイプって言うか、僕の肩書きばかりを見てる訳じゃない。そう言う女子って、鞍馬以来、初めてなんだよね」

「こらこら、エド。その言い様、アンタ、ドサクサ紛れに美樹に甘え様としてるやろ」

「まぁ、多少は……」

「そうか。ほんだら、それはそれでOKちゃうか。美樹は尽くすタイプの女やから『甘えたさん』のエドには、ある意味ピッタリやと思うしね」

「そっか」

「……そやけどなエド。もし本気で美樹と付き合う気があんねんやったら、愛想だけは尽かされやん様にしいや。美樹みたいな情熱的なタイプは、冷めた時一気に冷たなるで」

「ちょっと!!そんな事ないって」

「そうなのかい、飯綱?」

「あの、エディさん聞いて下さい。当の本人からの意見なんですけど……」


このパターンよくあるね。

こうやって見ると、みんな、人の話を聞かないんだね。


それともエディさん、今は飯綱ちゃんとの会話に最重要ポイントに置いてるのかなぁ?


けどさぁ。

この場合、本人の言う通り、美樹さんの意見を無視しちゃっても良いものなの?



「そやで。美樹みたいな情熱の高い子は、それが燃え上がってる時は、必至に頑張れるけどなぁ。愛想を尽かしてもたら、一瞬にしてなにもかも興味を失う。そうならん様に努力する度量が無いねんやったら、アンタにとったら、美樹も分不相応な女やって言う事やね。……要するに、アンタの恋愛レベルが低いちゅうこっちゃ」


そっかぁ……そっかそっか。

最初は、美樹さんの片想いだったとしても、付き合い始めたら、その時点で『片想い』って言う言葉は消えてなくなる。

勿論、そこからは『両想い』になる訳だから、こうやって先を見す越して置かないと、結局は付き合っても意味がなくなっちゃうって事かぁ。


凄い先読みだね。



「なんか、そう言われると、恋愛恐怖症になりそうだね」

「まぁまぁ、そうは言うてもな。イチイチ、そんな事を考えながら付き合うてる奴等なんて早々居れへんって。お互いが傷付き合う事を覚悟しあえるんやったら、感情に任せて付き合うのも悪くはないで。……結局はなぁ。全部が、アンタ等次第やって言う事や」

「はぁ~~~、恋愛は深いなぁ」

「……っで、どぉやの?アンタは、美樹の事が好きなんか?大事にしたれるんか?」

「う~~ん。好きと言って良いのかは、まだハッキリとは解らないけど。ヤッパリ、一緒に居たいとは思ってる。なんか美樹と、これで逢えなくなるって言うのは、嫌な感じだね」

「あっ……」


あらら、美樹さん嬉しそうだね。


まぁ……そりゃあそうかぁ♪



「ほんだら試しに付き合い。ウチが、立会人として許したるわ」

「ちょっと待った。……今の言い様だと、美樹は、飯綱の所有物みたいな言い様だね」

「ほんまエドはアホやなぁ。ウチと、美樹は友達やで。その友達に認めて貰ってる方が、2人の間に揉め事があった時、なにかとお得なんちゃうか?そう言うのも、前以て考慮しといた方がえぇんちゃうか?」

「そっか。そう言う事か」


あぁそっかぁ。

美樹さんが、誰かの所有物ではないけど。

エディさんが美樹さんと付き合った場合、自動的に飯綱ちゃんや、私とも友達としての付き合いが今後も続く可能性がある。


それでいて飯綱ちゃんは、年齢に見合わない様な的確な指摘をしている。

それに上手く、自分の存在意義をエディさんに示している。


だからエディさんも、飯綱ちゃんの必要性は高いか。


本当に凄い思考だ。



「まぁ、ウチの話は終わり。大体、そんな感じちゃうか」

「ねぇ、飯綱ちゃん。少し不思議に思ったんだけど。なんで、そこまで私の後押しをしてくれるの?」

「うん?眞子の影響やけど」

「えっ?」


なにが?


またなんの話、それ?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


今回のお話を読んで頂いて。

何故、飯綱ちゃんが学校に行ってても授業にも出ず、あれだけクラスメイトに慕われてるのかご理解頂けたと思います。


結局の処、自身の存在価値を相手に植え付けれる人間は、ほぼ必ずしも『重要視される』


そぉ……言い換えれば、人は人生経験豊富な人間には『弱い』ものなのですよ(笑)

こうやって飯綱ちゃんは色んな人間から慕われているからこそ『傲慢な性格のままで居られる』訳でもありますね。


まぁ、そうは言っても、これはかなり難易度の高い事なので、そう簡単に出来る訳じゃありませんがね(笑)


さてさて、そんな中。

そんな飯綱ちゃんは、なにやら眞子の影響を受けて、美樹さんを後押ししてたと宣言したみたいなのですが。


一体、眞子から何の影響を受けたのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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