794 眞子が天然と言われる意味

 飯綱ちゃんの言葉を噛み締めながら、エディさんの態度を見ていると、天然と言われる人間の本質が少しづつ見えてきた眞子。


そして、本当の意味で、そんな天然っと言う意味が見えてきた眞子は……


***


「あの、エディさん。突然なんですけど、どうしても1つだけ聞いて頂きたい事があるんですが、お話しても良いですか?」

「うん?なんだい?急に真面目な顔をして?どうかしたのかい?」

「私ですね。……絶対に、エディさんの事を恋人にしたいとは思わないですよ」

「えっ?ちょ……本当に、なんだい急に?天然だって笑ったから怒ってるのかい?」

「あぁ、いや、そう言うんじゃないんですよ。心から、本気で、そう思ってるんです」

「えっ?…ちょ……鞍馬に本気で嫌われた?」


私は……気付いた以上、早期にエディさんや、ホランドさんの件についての人間関係を、キッチリと修正を掛けなきゃいけないと思えた。


私なんかの為に、人を傷つけるのは良くないですからね。


今、それに気付いたんだから、そう言うの……本当に、もぉ嫌だから。



「いえ、そうじゃなくてですね。私、エディさんの事は好きなんですよ。でも、それは、何所まで行っても『友達としての好き』って言う意味であって、決して、恋人としてエディさんを好きになる事は無いと思います。いえ、これについては、無いと断言出来ます」

「鞍馬……なにを言ってるんだい?さっきから、なんの話をしているんだい?」

「エディさん、私ね。今、また美樹さんを傷付けてしまいました。『エディさんを好きだ』って思い始めてる美樹さんの気持ちを土足で踏み躙ってしまいました。これはもぉ人として許されざる行為だと思うんですよ」

「ちょっと待って。鞍馬が、一体なにをしたって言うんだ?鞍馬は、美樹に対して、なにもしてないじゃないか」

「そうじゃないですよ。さっきエディさんに『惚れ直す』なんて言葉を使わせてしまいました」

「えっ?」

「また、そうやって私は、無意識の内に美樹さんを傷付けた。……だから、もぉこの際ハッキリとしたいんです。私はエディさんとは、今後一切男女関係としては付き合わない。……私を、女として見ないで下さい」


もぉ、こう言うのは本当に終わらせたい。


その一心で、エディさんに、この事を伝えたんだけど。

エディさんは呆気に取れれてるだけで、どうして良いのか解らない様な表情を浮かべている。


そうしたら……



「眞子。……そんな事は言わなくても大丈夫だよ。私は、なにも傷付いてなんていないよ。大丈夫だよ大丈夫」


美樹さんが、そんな優しい言葉をかけてくれた。


でも、美樹さん、そんな風に我慢なんてしなくて良いんですよ。

本当は、さっきの無意識に放ったエディさんの言葉、凄く嫌だったんでしょ。


だから、こんな時だからこそ、思いの丈を、素直に私に言って下さって良いんですよ。


寧ろ、罵倒されてもおかしくない様な事を、私はしていたんですから。



「そうじゃないんですよ。私は、きっと知らない内に、誰彼構わず愛想を振り撒いてたに過ぎないんですよ。だからエディさんは、本当の私なんて知らないのに『好き』だなんて思い込んじゃったんですよ。……きっと私は天然だから、そんな事をしてるんですよ。私は、そんな最低な女なんです。……ごめんなさい。美樹さん、本当に、ごめんなさい」

「眞子、大丈夫だって。眞子は、そんな事してない、してない。心配しなくても大丈夫だって」

「いいや、眞子の言うてる事は強ち間違いバッカリって言う訳でもないよ。多分、エドの無意識の話で、自分の何かに気付いたんちゃうかなぁ。確かに、この子は、エドの同様に天然で異性を惑わしてる。此処だけは間違いないで」


きっとそうだね。

そうやって、飯綱ちゃんみたいに正直に言ってくれた方が有り難いよ。


こうやって私の間違いを指摘してくれるのも有り難い事だからね。


勿論、眞子になった当初は、そう言う事を故意的に狙ってやっていた時期もあったけど、此処最近では、本当に、その辺を無自覚のままやってたみたいだし、その証拠として、なんだかよく解らない内に、みんなに可愛がって貰ってる。


これってね。

いつの間にか、こういう愛想を振り撒くって言う習慣が、体に染み付いてしまっているって証拠でもあると思う。

いや……これは、習慣なんて良い物じゃなくて、寧ろ、ただの『悪いクセ』なのかも知れない。

本当に気付かない内に、女性特有の『自分だけを見て欲しい』って言う願望を表に出した、最低最悪の悪い癖が付いてしまっているに違いない。


だから、もっと自分を見つめ直す為にも、此処はハッキリと言ってくれた飯綱ちゃんの言葉が一番ありがたく感じる。


本当に飯綱ちゃんは良く解ってくれてる。



「鞍馬、待ってくれ。その場合、美樹を傷付けたのは僕であって、君じゃないと思うが」

「それも違いますよ。私は、きっと心のどこかで、エディさんが、そう言ってくれると言う傲慢な確信があったんですよ。だから私は、エディさんの事を、そう言う恋愛対称で見ないと自分でも解ってるくせに、きっと、それを期待して優越感に浸ろうとしてたんですよ。……そんなの最低ですよ」

「ちょっと待ちなさい、眞子。大丈夫だって、眞子は最低じゃないから」

「ごめんなさい、美樹さん。私……どうして、こんなんなんでしょうね?皆さんが、私の事を天然だって言うのは、そう言う事なんじゃないんですか?」


多分……これで合ってる筈。


私は、何所までも嫌な女だ。

いや、寧ろ、世界一嫌な女だと言っても過言じゃない。



「眞子……そんなに『天然』って、言われるのが嫌だったの?」

「嫌って言いますか。……天然だからって、なんでも許されてるみたいで、情けなくなっちゃって」

「そやね。それは正解やで。でも、漸く気付いたみたいやね。……眞子は、ある程度の事やったら、多分、なにしても許されんねんやろね。そんな特権を持って生まれて来た女がアンタや。……そら、確かに、誰が聞いても性質が悪いわな」

「ちょっと!!凹んでる相手に、なんで、そんな追い討ちをかける様な事を言うのよ!!眞子は、なにも悪くないじゃない」

「ホンマに美樹は、そう思てるん?心の底では『なんで、この子ばっかりえぇ思いしてんねん』って思てへんか?」

「それは……それは、確かに『思ってない』って言えば嘘になるけど。私は、飯綱ちゃんが言う程、眞子の行為が性質の悪い物だとは思ってないけど。こんなの女子なんだから、しょうがないじゃない。……それに、それを含めて眞子なんじゃないの」


まだ、そんな風にフォローして貰えるんだね。



「なんや、ちゃんとわかってんのかいな。ほんだらえぇわ」

「解ってるわよ。この子は、比較的、同姓からは疎まれ易いタイプだもん。でも、眞子は、私にとったら大切な子なんだから、それぐらい解ってるつもりだけど」

「ほんだら、これからも眞子の事を変な風に見んとったってな。この子は、こう言う生き物やねんから」

「そんなの、最初から見てないわよ」


これって……飯綱ちゃんもフォローしてくれてるだけじゃない。


どうしてなんだろう?

私は、2人になにもしてない処か、迷惑ばっかり掛けてるのに……



「ハァ~~~……なんか、こうやって飯綱の話を聞いて居たら、いつもでも僕も『子供っぽい』って言われてる場合じゃないね。結局、それって、なにも考えて無かったって証拠だもんなぁ」

「ホンマやわ。エドの場合は、ホンマ、最低最悪やわ。……えぇかエド?男やねんやったら、女を傷付けへん様にするぐらいの配慮は最低でも持つもんやで」

「確かにね。……けど、此処までハッキリ、年下の女の子に言われるとは思ってもみなかったよ」

「ほんまやで。ウチなんかより無駄に長い事生きてんねんから、もうちょっとシッカリと精進しいや。元来、年下に注意されんのは恥ずかしい行為なんやで。だからもぉ、誰からも『子供っぽい』なんて言われやん様にしっかりしいや」

「面目ない。……にしても、ボロカスだなぁ」


これじゃあ、確かに、ドッチが年上か解らないね。

しかも、相手が超大物の有名人だって言うのに、この堂々とした態度。


飯綱ちゃんって……本当に何者なの?



「それとなぁエド。これに懲りたら、えぇ加減、眞子の事は諦めたってな。この子は、アンタには分不相応な女やから。アンタじゃ到底扱いきれんって」


ブッ!!


ちょちょちょ、ちょっと!!

折角、話が纏まって来てったいうのに、なんでまた、此処でそんなややこしい事を言い出すの?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


眞子……飯綱ちゃんと言う、本当にトンデモなく切れ者な友達を作ってしまいましたね。

しかも彼女は、相手が何処の誰であろうとも臆する事無く、余す事無く自分の意見を伝える。


これ、飯綱ちゃんは当たり前の様にやっていますが、普通なら中々出来たもんじゃないですよ。


まぁ、こう言う事が言えるのは、飯綱ちゃんの家庭環境も然りなんですが。

なんと言っても飯綱ちゃんは、崇秀の最古の幼馴染。

あんな傾奇者の変人と長期間付き合いを持ってたら、こうも成るのも仕方がないってもんですよ(笑)


さてさて、そんな中。

また飯綱ちゃんが、更なる爆弾を投下して来たみたいなのですが。

今度のこの投下された爆弾は、一体、どんな意味を持つのでしょうか?


次回は、その辺を書いていきたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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