793 天然と言う言葉の真意
性行為についてのお話で、少々揉めた雰囲気には成ったものの。
飯綱ちゃんが、眞子がエディさんに言いたかった事を上手く代弁してくれたお陰で、一気に落ち着いた雰囲気に。
そして、その雰囲気のまま会話は続くのだが……
***
「いや、それにしても大したもんだね。僕自身も、そう言う意識がないとは思っていたけど、深層心理では、そんな甘い事を考えていたのかも知れない。心のどこかで『今日、美樹を抱けたら良いな』なんて思っていた気持ちが無くはない筈だからね」
あぁ……それは男性なら、普通に、そう考えちゃうんじゃないですかね。
女性と違って、妊娠への恐怖感が、ほぼ男性には無いですからね。
嫌なら『堕胎しちゃえば良いんじゃない』なんて、軽く思っちゃったりしちゃうだろうしね。
快楽に溺れてる馬鹿女でも無い限り、基本的には、男女間で妊娠に対する思考や比重が違いますからね。
でもですね。
エディさんが、美樹さんを、ちゃんと好きになってくれるなら、それは寧ろ、喜ばしい事なんですよ。
その性行為には『本気』や『愛情』が含まれてきますし、ちゃんとした『責任を取る覚悟』も生じて来る。
だから私は、快楽を求めるだけの意味の無い行為が、嫌だって言ってるだけなんですよ。
……って言いますかね。
今時『Hから始まる恋愛』なんて『何所の三文小説ですか?』って話なんですよ。
なんか、それにですね。
そう言うの、ミットモナイだけじゃないですか?
「あぁ、でも、男の人なら、美樹さんを抱きたいって気持ちは、極普通の考えだと思いますよ。だって美樹さん性格良いし、美人だし、それになにより優しいです。そんな人に惹かれてHしたくなるのは、男性なら極当たり前の事なんじゃないですかね」
「眞子……。私は、そんな大層な人間じゃないと思うんだけど」
「それ、違いますよ。私は、心の底から美樹さんが良い人だと思ってますよ。だから私の中では、誰になんと言われ様と、美樹さんは良い人でしかないんです。……これは変わり様の無い事実なんですよ」
「眞子……」
真琴ちゃんの時も、そうだったんですけどね。
美樹さん達【Fish-Queen】方々って、いつでも、なにをする時にも本気で、凄く献身的な方達なんですよね。
だから間違いなく良い人なんです。
あの……因みに言って置きますけど。
これはなにも、自分に都合が良いから、美樹さんに良い人だって言ってるんじゃないんですよ。
そう言う事が自然に出来る人だから、美樹さんは良い人だって言ってるんですよ。
人間の本質的な部分の話なんです。
まぁ流石に、自分で『良い人』を自覚するもんじゃないですけどね。
「でも、この中じゃあ。鞍馬が、一番良い人って奴なんじゃないの?」
「えぇっと?なんで、そうなるんですか?美樹さんや、飯綱ちゃん。それにエディさんの方が、ズッと私なんかより良い人ですよ。おかしな事を言わないで下さいよ」
「ちょっと待とうか。……流石にそこは、鞍馬も認識を改めた方が良いよ」
「はい?なんでですか?」
エディさん、おかしな事を言いますね。
私は、至って普通の事を、普通にやってるだけですよ。
なので、なにも特別な事はしていませんので、何所まで行っても、一般的な思考しかない普通の人です。
寧ろ、此処に居る人の中じゃ、悲しいかな……完全に『モブの域』ですね。
その辺は、崇秀にも散々言われてるので、ちゃんと自覚してますよ。
「なんでって言われてもねぇ」
「あぁ、エディさん。眞子は、本物の天然なんで、多分、本気で、それを言ってますよ」
「えぇ?いや、それ……既に、天然の域を超えてるんだけど。大丈夫?」
「ふふっ……それで居て大丈夫なんですよね、この子わ」
私、なんで笑われてるのかなぁ?
また変な事言った?
「なんで笑うんですか?それに私、天然じゃないですよ」
「まぁ天然が、自分の事を天然やって自覚出来んねんやったら。それは、既に天然や無いわなぁ」
「あれ?ちょっと……なんでそこまで言うかなぁ」
そんなに天然ですかね、私って?
大体にして、私のなにに対して天然なんて言ってるんですかね?
意味不明なんですけど。
『!?』
……って!!ちょっと待って!!
ひょっとして、この飯綱ちゃんの言う『天然』って言うのは、ボケキャラだとか、馬鹿キャラだとか、そう言う意味で言ってるんじゃなくて、もっと違った意味で言ってるんじゃないの?
けど、まさかとは思うけど、それって……
「ハハッ、いやいや、それにしても、鞍馬は、本当に可愛いね。惚れ直しそうだよ」
そう言ったエディさんを、飯綱ちゃんは少々呆れ顔で見て居る。
やっぱりだ……飯綱ちゃんのこの表情からも解る様に、彼女が放った天然って言葉は、やはり違う方の意味。
だとしたら飯綱ちゃんの言う『天然』って言うのは、こう言う意味での『性質の悪い方での天然』って意味だったんだ。
……だったら私、今まで気付かない間に、なんて酷い事ばかりしていたんだろうか。
飯綱ちゃんの言う『天然』って言うのは……ドッチ付かずなフラフラした関係を、知らない間に築き上げてるって意味だったんだ。
そして、これを=関係に置き換えた場合『無意識内に、人に良い顔をバッカリしてる』って意味でもあり。
また、知らず知らずの内に、人を傷付けてる可能性が高い、って部分を指摘しての『天然』だったんだ。
今エディさんが無意識に放った、この何気ない言葉が、何よりの証拠。
エディさんに悪気が無くても、この言葉が美樹さんを傷付けてるのは確かな事だしね。
飯綱ちゃんは、こう言う事を私に注意したかったんだ。
だったら、今までの私は……最低だ。
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【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
はい、とうとう眞子が『自身が天然と言われる』事と向き合う時が来たみたいですね。
まぁ眞子自身は、本当に、そこに関しては無自覚の天然だったのですが。
実は崇秀や奈緒さんは、元に成ってる倉津君の性格を考慮して、最初から、この事には気付いており。
『今現在、眞子として生きて行く上で有効な部分』だと感じていたから黙っていたんですね。
美少女の天然なんて物は、ホント、ある程度の事だったら許されちゃいますからね(笑)
ですが、そんな中。
飯綱ちゃんは『逆にこれは良くない』と感じたのか、それを眞子が気付くように言葉や態度で誘導。
実際の話、天然で許されるのは、どれだけの美少女であっても、年齢的な制限って物がありますからね。
このまま放って置いたら『痛い大人』だとか『常識のない大人』としか思われなくなっちゃう可能性すら孕んでいる。
さてさて、そんな訳でして。
飯綱ちゃんの言葉で、自身が天然と言われる意味に気付いた眞子なのですが。
次回は、その言葉に、どう対応していくのかを書いていきたいと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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