792 男女の捉え方の違い
エディさんと美樹さん。
その他にも千尋さんとホランドさんが、ちょっと大人の関係方面で意識し始めてるのを懸念する眞子。
果たして、何事もなく、このまま終われるのか?
***
……そう思っている間に、ホランドさんと、千尋さん、それにディックさんが、千尋さんを家まで送る為に、先に3人でウチの家から出て行く事に成った。
なんとも奇妙な取り合わせの『三角関係』が動き出しただけに、私が懸念する『不安の要素』が顕著に出ている様な気がして成らないんだけど。
ある意味、これは『理想の形』と言える。
だって、幾らなんでも千尋さんも、イキナリ、この出て行ったメンバーで3Pはやらないと思うんで、此処だけは、ちょっと安心なのかも知れない。
まぁそんな風に思案をしていたら、今度は美樹さんと、エディさんの2人が、ウチの家を後にしようとした。
「じゃあ、そろそろ、時間もいい頃合だし。僕も、ちょっと美樹を送ってくるね。……また後でね、鞍馬」
「あぁ、はい。宜しくお願いしますね。……あぁ、でも、エディさん、変な事を考えて、絶対に送り狼になんかなっちゃダメですよ」
「ちょ!!急に、なに言ってるのよ、眞子。エディさんが、私なんかに、そんな事する訳ないでしょ」
……だと良いんですけどね。
美樹さんも、少しは、そう言う気配が滲み出てる様な気がしますので、そうやってお互い求めてる物が一緒なだけに、まるっきり安心とは言えないんですよね。
大きなお世話だと解っていても……ヤッパリ、そういうの嫌なんですよ。
「さぁ、それはどうだろうね。僕だって男だから、どうなるか解んないよぉ」
「えっ?」
あぁ……口調から言って、多分、私をからかう為に言ってるんだろうけど、それを言われた美樹さんの気持ちを考えると、危険性は上がってる。
出来れば、本当に、そう言うの辞めて欲しいんだけどなぁ。
「ダメですよ。エディさんが、ちゃんと美樹さんの事が好きなら、送り狼になっても良いですけど。本気じゃないなら、そう言うの良くないですよ」
でも、そうは言っては見たものの。
これって、お節介と言うより……今更、こんな常識的な事を言ったら、美樹さんにウザがられるだけなのかなぁ?
酸いも甘いもある程度嚙分けて来てる年上の人にとったら、余計なお世話でしかないんだろうしなぁ。
「ふふっ、心配要らないって眞子。私、これでも身持ちは堅い方なんだから」
「本当ですか?信じて良いですか?」
「大丈夫だって」
「あぁ、じゃあ……はい。安心しますね」
まぁ、美樹さんも、こう言った手前、火遊び程度のHをする確率は少なからず下がった筈だと思う。
後は、エディさん次第だね。
「ねぇ、鞍馬。……その言い草だと、僕は、全く信じて貰えてないって訳?」
うわっ!!
このエディさんの発言からして、厄介な方向に行ったかなぁ?
「勿論、信じてますよ。でもですね。美樹さんを、本当に『大切に想って貰える』なら、そういうのは、付き合ってからでも遅くないと思うんですよ。なので私は別に『SEXするな』って言ってる訳じゃないんですよ」
「ふ~~~ん。鞍馬って、何気に酷い事を言うんだね」
「へっ?」
「それは捉え様によっちゃあ、僕の事なんて、まるで『眼中にない』って言ってるのと同じなんじゃないの?」
「あぁ、決して、そう言う意味じゃないんですよ」
「じゃあ、どういう意味?鞍馬が、仲居間さんを『好きだ』って言った様に、僕も、君の事が『好きだ』って、ちゃんと言った筈だよね?なのに君は、美樹を大切にしろと言う。……こんな残酷な話が有るかい?」
あぁ……そんな事を言われても……
私なんかに無駄な時間を使って貰うのは、良くないですよ。
でも、これって、私の一方的な意見になっちゃうのかなぁ?
「エド、アンタって、人間ちっちゃいんやね。そんなに、自分の事しか考えてへんのか?」
えっ?飯綱ちゃん……
「なに?」
「『なに?』ってなによ。……ほんだら、アンタはどうなんよ?眞子を、どうこう言う前に、アンタ、あわよくば、美樹とHしようと思てたんちゃうん?そんな奴が、なんで眞子に、そんな酷い事を言うん?」
「なにを勝手な事を言ってるんだ。僕は断言して、そんな事は思ってない」
「ホンマか?ほんだら、なんで美樹に対して『そんな思わせ振りな態度』ばっかりとるん?そんな風に女を勘違いさせて楽しいか?それとも、女の方から求めて来たから、僕は何も悪くないとでも言い訳したいんか?」
「僕は思わせ振りな態度なんて取った憶えはないね。そんなの言い掛かりも良い所だ」
「えっ?」
それは……流石に、ちょっと無理がないですか?
仮に無意識だったとしても、あれだけ、お互い体を密接されたら、女の子だったら、誰しも勘違いしちゃいますよ。
それを違うって言うのは……ちょっと、美樹さんが可哀想ですよ。
「ほんだら、あれやね。勘違いする女が全部悪いんやね。あんなに美樹の体をベタベタ触ってて、よぉも、そんな事が言えんなぁ」
「ベタベタ触ったって……あれは、美樹と仲良くしてただけだろ。普通に考えても、そう言う意味じゃないだろうに」
「あっ……」
「ハァ、アンタなぁ。……ほんだら聞くけどなぁ。眞子が、アンタにベタベタしてきても『仲良くしてくれてるだけや』って意味に取れんねんな。『眞子……実は、僕に気があるんじゃないのかなぁ?』って、絶対に勘違いせへんねんな。……アンタの言い分やったら、それが出来て当たり前やで」
「そっ、それは……」
無意識でやってるエディさんの行動を指摘してる。
でもね。
この人は、本当に、そう言うのを無意識でやっちゃう人だから、此処は断言して悪気は無いと思うんだけどなぁ。
それにアメリカってお国柄的にも、そう言う風に捉えてしまってるだけかもしれないし。
「あの、飯綱ちゃん。エディさんは、そう言う人じゃないよ。本当に仲良くしようとしてただけだと思うよ」
「鞍馬……」
「それが性質悪いって言うてんの。この男はなぁ、その手口を無意識の内に女にやっとんねん。いつも、そうやってな。女の子が言い寄って来るのを待っとんねん。とんでもない曲者やで。……違うか?」
「あっ……」
ちょっと!!そんな言い方ないよ。
確かにエディさんはイケメンだし、優しいし、それに人当たりも良い人だから、あらぬ誤解される事があるかも知れないけど、そんな事を故意的にやる様な人じゃないよ。
それにさぁ、飯綱ちゃんの言い分が正しいとしても、その場合は、エディさんを求めていった女の子側にも責任はあると思うよ。
片一方だけが一方的に悪いなんて事は、絶対にないと思うんだけどなぁ。
序に言えば、そんな安いSEXに、なんの意味があるの?
「あのさぁ。例え、そうであっても、エディさんは曲者じゃないよ。女の子が、その話を持ち出さなきゃ、その話自体が成立しないんだからさぁ。……そんな安いSEXをしたがらなきゃ良いだけなんじゃないの?」
「鞍馬……」
「あぁ、そうかぁ。確かに、そう言う見解も有るねぇ」
「でしょ」
「まぁなぁ。やったら此処に関しては、ウチの被害者意識が高過ぎたって言う事かぁ。なるほど、確かに眞子の言う通り、女が我慢出来れば問題無いねぇ。……そやけど、このイケメン君相手に、そんなんされて我慢出来るかぁ?」
「全然出来るよ。だって、自分に好きな人が居るんなら、我慢なんてしなくても、まずにして『仲良くして貰ってるんだぁ』って、エディさんの求めてる認識にしかならないからね。……なのにエディさん、さっき急に怒り出すんだもん。ビックリしちゃったよ」
「うぐっ」
「なるほどなぁ。なるほど、なるほど。そこは眞子の意見の方が正しいなぁ」
あっ……飯綱ちゃんが話に介入してきてくれてから、なんか話が上手く纏まって来てくれてるね。
良かったぁ。
「でもね。問題なのは、美樹さんの場合、エディさんに少なからず好意があるって事なのよ。そうなると、私みたいな心理にはならないよ。此処は逆に、飯綱ちゃんの言った事が正しいと思うよ」
「なんや?その言い分やったら眞子は、あれか?アンタ、美樹の事をホンマに心配してんのか?」
「美樹さんに心配なんておこがましい事は言わないけど。私は『美樹さんには、もっと自分を大切にして欲しいな』っとは思ってるよ」
う~~~ん、この話、解ってくれるかなぁ?
生粋の女の子って、こう言う感覚が少ないから、ちょっと解り難いんじゃないかなぁ?
これって、結構ね。
女の子に幻想を抱いてる男の子っぽい考えなんだよね。
だから実際は、生まれた時から女の子だった人には、中々解り難い思考かもしれない。
「あの、眞子さぁ。さっきから『大切に』って言ってるけど。これを『チャンス』だとは思わないの?」
「あぁ、それは余り思いませんね。寧ろ、安く売ってるとしか認識出来ませんよ」
「なんで?」
「あぁっと、それはですねぇ。男の人って、女性側からの、そう言うアプローチが有った場合、多分『ラッキー』程度にしか認識してないんですよ。だから、余り相手に気持ちが入って無いケースが多い。でも、我々女性は、そうは考えないでしょ。Hした瞬間『この人が、私の物になるかも』なんて勝手な幻想を抱いちゃう。だからそこには、男女の間で、結構、大きな開きがあるじゃないかなぁって思うんですよね」
「深いね。……ねぇねぇ、眞子って、そんなに経験が豊富なの?」
「なんのですか?……あっ、あぁ、あの、因みにですけど、Hはした事ないですよ」
「そっ、そうなんだ。……だったら、なんで、そんな風に考えれるの?」
えぇっと……どぉ答えようかなぁ。
難しいなぁ。
「いや、あの、これ自体は、本当に大した話じゃないんですよ。男女の心理の違いって言うのを、崇秀から昔聞いた事が有ったので。……なんか『私が危なっかしい』って理由で」
「そっか。仲居間さん絡みか……なんか納得」
崇秀って、本当に便利だよね。
困った時には崇秀の名前を出せば、大概の人なら、それだけで納得してくれるもんね。
まぁそれだけに、崇秀が、どこまでも怖い人間だって認識も出来るけどね。
「ですよね。……だからですね、美樹さん。エディさんの無意識云々より。ちゃんと意識して貰ってから、Hはした方が良いですよ。女の体は、決して武器なんかじゃないんです。人間は、武器になんか成り得ないんですから」
「……だよね。少し男性心理を勘違いしてたみたい」
ヤッパリだ。
そりゃあ美樹さんもヤル気満々だった訳じゃないだろうけど、気持ち的には、多少なりとも、そう言う気持ちで居たと思う。
だから……ちょっと釘を差して置きたかった。
結局ね。
冒頭でも言ったけど……安易なHをして損をするのは、女の子側なんだよね。
生でやっちゃったら、妊娠とかの問題もあるし。
「そやけどウチ、ビックリしたで眞子」
「なっ、なにが?」
「崇秀から、眞子がなんぞ教えて貰うたにしてもやなぁ。こう言う意見が出るって事は、普段から眞子が人の事を考えてるって言う証拠やろ。そう考えたらなぁ。ヤッパ、頭を使う為にも、ちょっとは勉強せなアカンね。ウチなんかとは、理解力の高さが全然ちゃうわ。眞子メッチャ賢いやん」
「そんな事ないよ。だから、これは崇秀の受け売りなんだって」
崇秀なら、こう言う事を言いそうじゃない?
……あぁでもね。
此処で、初めて解った事なんだけど。
崇秀と一緒に年始に行ったカラオケボックスで、何気に崇秀が言ったセリフの意味が良く解ってきた。
確かに崇秀の言う通り、私の様な『男女の思考を持ってる』って言うのは、世の中では凄く有利な事だ。
普通の人は、みんなそうなんだけど。
男女どちらかの性別で生まれて、そのまま死んでいく訳だから、通常、異性の考えはわかり難い。
でも、私の場合は、こんな変わった体で生まれちゃたから、男で生まれた筈なのに、今は女として生活してる環境なので、ある程度の部分で両方の思考が持てる。
まぁ正直言えば、女性の心境は、まだまだ解らない事だらけだけど、一般の男性よりは理解出来てると思うしね。
ホント……私なんかでも『世界一良い女』になるチャンスって有るもんなんだね。
今になって、それを『自覚して』ちょっとビックリしちゃったよ。
あれって、こう言う事だったんだね。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
眞子の言い分をエディさんに伝える為に、飯綱ちゃんが上手くフォローしてくれた上に誘導もしてくれたお陰で、なんとか事なきを得ましたね。
矢張り、今までに沢山苦労して生きて来てるだけに、此処に関して飯綱ちゃんは他の追随を許さない感じです(笑)
……っでまぁ、今回のお話で、なにが言いたかったかと申しますとね。
『恋愛の駆け引き』って『相手の思惑通りになった時点で負け』って事を伝えたかったんですよ。
どう言う事かと申しますと。
仮に此処で同意の下Hをしてしまったとして、望まぬ妊娠なんかをしてしまった場合。
火遊びだけに『誘ってきた方の責任』に成ってしまい。
『あれは、君(貴方)の方から誘って来たんだろ(でしょ)』って、責任転嫁をしだす可能性が高いんですよね。
要するに、火遊びするにもルールってもんがあるのを理解せずに、気軽な気持ちでやってしまうと、眞子の言った通り、お互いの関係に罅が入っちゃう可能性も高いんですね。
なので、此処等辺の遊びのルールが解ってないなら、相手の思惑に乗って、気軽な感じでは火遊びしない様にして下さいね、って話なのです(笑)
さてさて、そんな中。
飯綱ちゃんの助けもあって、眞子の意思がエディさんに伝わったみたいなのですが。
この後は、一体、どう言う展開を見せるのか?
次回は、その辺を書いていきたいと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます