786 スナイパー

 美樹さんと千尋さんの過去の映像を見て、絶賛の男性陣。

そんな中にあって、ホランドさんとディックさんは千尋さん推しな事を明言するのだが、それを聞いていた美樹さんは、やや差を付けられたと落ち込み気味。


そんな彼女を見たエディさんは『2人には殆ど差なんてないよ』っと言い出した。


果たして、その真意は!!


***


「えっ?えっ?それ、本当ですか!!」


これはどうやら、私がフォローするまでもなかったみたいですね。

現実的に見ても、エディさんの言葉で美樹さんの顔がほころんでますしね。


でも、冷静に考えたら、こう言う展開に成っても然りなのかも。

これは私の予想に過ぎないんですが、此処は音楽の好みと、音楽の相性が顕著に出たのだと思う。


解り易く言えば。

千尋さんは、どこか癒し系の歌が似合うタイプのミュージシャンなのに対して。

美樹さんは、ド派手な音と、カッコイイダンスを好むタイプのミュージシャン。


それに付随して。

ホランドさんの音は『癒し系』

エディさんの音は『ワイルド系』

こうなった場合、自分の音楽の好みで、意見が分かれても、おかしくはないって話ですね。


ならば!!此処で一押し!!



「あぁ、良さそうですね。美樹さんと、エディさんの競演って」

「だろだろ。さっきの美樹の映像を見てて思ったんだけどね。千尋には悪いが、僕は、どちらかと言えば、美樹の音楽性の方が好きだね。なんとも豪快で、ド派手だ。僕は、そう言うのが好きだからね」

「あっ……」


やっぱりな。

エディさんの美樹さん推しの要因は、そこでしたね。


なら、折角だから、此処でもう一押し入れてみようかな。



「だったらエディさん。いっその事、美樹さんに、なにか楽曲を提供してあげたらどうですか?美樹さんも喜びますよ」

「おっ、出たね。鞍馬爆弾が」


人が良い提案をしてあげてるんですから、私のその行為を爆弾とか言うんじゃありませんよ。

今回は美樹さんに、ちゃんと気を遣っての発言なんですからね。


それになんですか、その『鞍馬爆弾』ってネーミングセンス?


もぉちょっと、なんとかならないもんですか?



「ちょっと眞子!!相手は、世界的にも有名な【Nao with GREED-LUMP】の人だよ!!そんなの厚かましいって」

「そんなの関係ないじゃないですか。第一【Nao with GREED-LUMP】の皆さんは、有名だからって、誰かに対して威張る様な嫌な人達じゃないですよ」

「まぁそう言う事。それに現状じゃ、まだ仲居間さんを影すらも見えていない以上、今の知名度なんて気にしてる場合じゃないんだよね。出来る限りドンドン曲を書いて、バンバン世の中に出して行きたいからね」

「あぁ、でも。……ウチは、東洋の、何所にでもある様なダンスユニットですよ」

「じゃあ、それが『どこにでもある』じゃなくなれば。面白くないかい?」

「それは、そうですけど……」


まだ物怖じしてるよ。


美樹さん、美樹さん。

エディさんは、そう言う人じゃないんだって。

変に気にしなくても、この人も、ただの『快楽主義者』ですよ。


それに言い出したら聞かない『ただの子供』ですから、気にしないのが一番ですよ。



「あぁ~~あっ。こんな時、美樹さんじゃなくて、噂の理子さんだったら話が早いのになぁ」

「眞子……そう言う言い方しなくても良いんじゃない」

「えぇ、だって、崇秀の話じゃ。理子さんって人は、かなり利潤計算が上手い方なんですよね。美樹さん、そう言うの下手糞なんだもん」

「ハハッ、その子が誰かは知らないけどさぁ。……美樹、年下に言われてやんの」

「子供ですか!!」

「あぁ、エドは、紛れもなく、ただの子供だ。さっきの会話で解らなかったか?」

「いや、そう言う問題じゃ……」


ぷぷっ……此処でホランド爆弾投下だ。


なんとも、真面目な朴念仁の言いそうな意見だ。



「なぁなぁ、美樹」

「うん?なっ、なに?」

「さっきから聞いてたら、なんで、眞子が作った天然のチャンス断るん?知名度ある人に書いてもうたら、曲が売れんのちゃうんかいな?」

「まっ、まぁ、そうなんだけどね。でも、なんて言うか……」

「なんや、おかしな事言うねんなぁ。……あぁ、それとな美樹。それとは別に1つ聞きたいねんけど」

「なに?」

「美樹なぁ、なんでさっきからエドと喋ってる時、そんな顔赤なんの?好きなん?」

「えっ?ちょ……違う違う!!違うって!!全然違うって!!そう言うのじゃなくて、きっ、緊張してるだけだって」

「そんなに強烈に否定しなくても……」

「えっ?えっ?あぁ、あの、そう言う意味じゃなくてですね」


飯綱ちゃん、本当に上手いなぁ。


見事なタイミングで、美樹さんの本音を暴露したね。


・・・・・・


あぁ~~~~!!

さては、さっきからズッと静観してると思ったら……このタイミングを狙ってたな。



「ほんだら、なんでなん?」

「ぐっ!!オノレ、飯綱……」

「あぁ、でも、美樹。さっき台所で、エディさんが格好良いとかって言ってたよね」

「この馬鹿豚まで……また余計な事を」


此処で千尋さんが加わった事で、恒例の女子同士の悪フザケが始まった。


こりゃあ、この後どうなるのか見ものですね。


でも私は、後でしっぺ返しされるのが嫌なので、此処は傍観させて頂きますね。


『触らぬ神に祟り無し』なのです。



「へぇ~~~っ、そんな事言うてたんや。美樹は、まるで獲物を狙う女豹やね女豹」

「女豹じゃないから!!あの時は、純粋に格好良いって言っただけじゃない」

「やねんてエド」

「あっ……もぉ、またやられた。……最悪だ」


ぷぷっ……


美樹さんって、クールなイメージに反して、意外と単純さんだね。


お馬鹿ちゃんなんですね。


ぷぷぷっ……



「あの、すみません。立場も弁えず『格好良い』なんて言って、すみませんでした」

「あぁ、いや、褒めてくれてるんだから、謝られてもなぁ」

「なぁなぁ、それはそうとエド」

「なんだい?」

「エドは、美樹の事を、どう思てんの?」

「もぉヤメテ……お願いだから……」

「とっても可愛い子だと思ってるけど。……じゃなきゃさぁ、こんな事を言わないって」

「普通そやわなぁ。そうなるわなぁ」


飯綱ちゃんは鬼だね。

美樹さんが本気に成り掛けてるのに、よくそんな事が聞けるなぁ。


凄いなぁ。


まぁそうは言っても『エディさんも、美樹さんを、多少なりとも意識してるのが解ってる』から、そんな事を言ったんだろうけどね。


この子は……本当に底が知れないね。



「じゃあ、結構、両想いなんじゃん。良かったね、美樹」

「千尋……仕舞いには殴るわよ」

「両想いねぇ。……まぁ、強ち間違ってはいないけどね。僕の本命は鞍馬だよ」

「ぶっ!!」


なっ、なっ、なっ、なっ、なんで、今、そんな余計な事を言うんですか、アナタは!!


ちょっと空気を読めちゅ~~の!!


 子供か!!


あぁ……エディさんは子供だったぁ~~~~。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


飯綱ちゃん、スナイパーの如く、完全にタイミングを狙ってましたね(笑)

矢張り、この子は、場を動かすのが上手いみたいです。


ですが、此処でエディさんの強烈な天然が炸裂して『僕の本命は眞子だよ』と言ってしまったからさぁ大変!!


果たして、この真実を言われてしまった眞子は、この場で生き残る事が出来るのか?


次回は、そんな眞子の生死について書いていきたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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