783 和み始めた場の雰囲気
美樹さんの意見を聞いたり、飯綱ちゃんの個人的な意見を聞いたりして、また2人と少し親密になった眞子。
そして、その後も、みんなの為に追加の料理を作り続けていたのだが。
今、眞子が放置していたコンパの現場は、どうなっているのか?
***
……そんな、なんとも言え無い様な気持ちを抱えたまま。
あれから30分位、台所に居たので、無意識の内に両手だけでは持てない程の一杯の料理を作ってしまいました。
貧乏なのに……不覚です。
まぁでも、作ってしまった物は仕方が無いし、今回は材料費も掛かってない。
だから『ちょっと多いかなぁ』っとか思いながらも、部屋に全部持って戻って来た。
……するとね。
さっきまで部屋の中に渦巻いていた、少々ギスギスした不穏な空気が一掃されている処か、どちらかと言えば、みんなが上手く噛み合って、和気藹々とした楽しい雰囲気になっていた。
これに対して、なんとも言えない違和感を感じたので。
料理が落ちない様にだけしながらも、キョロキョロと部屋の中を見回してみると……
飯綱ちゃんが、美樹さんや、千尋さんを上手くフォローして廻ってるのよね。
この飯綱ちゃんの動きこそが、今の、この場の雰囲気を作り出している様だ。
『でも、なんで急に?』って、一瞬思ったんだけど。
多分、さっきの話で、なにかを感じてくれたものだと、此処は良い様に解釈してみる。
そんな雰囲気を一転させた飯綱ちゃんは、私が、両手一杯に料理を持ってる事に気付き。
その場から即座に立ち上がって、私の持っている料理をササッと何品か持ってくれ。
それをテーブルに置きながら『眞子の料理は美味しいからなぁ。一杯食べたってや。残したらアカンで』って言ってくれた。
『もぉ……今日初めて食べたクセに、よく言うよぉ……』なんて思いながらも、飯綱ちゃんのこの言葉が、ちょっと嬉しかったりする。
***
……そんで彼是1時間程が経って。
お皿の中身は何も残っておらず、見事なまでに全部空っぽになった。
こんなに綺麗に食べて貰えるなんて……作り手としては、実に幸せですね♪
「あぁ~~~、流石に、もぉこれ以上は食べれないねぇ。ご馳走様、鞍馬」
「お粗末さまです」
腹ペコだったエディさんもご満悦の様子だしね。
「それにしても眞子は料理が上手いな。どこで習ったんだ?やはり奈緒から習ったのか?」
こうは言ってますが、以前のホランドさんなら料理の味なんて全然興味を持ってなかったんですけどね。
今回の料理で、なんか思う所でもあったのかな?
それとも、この言い分からして、奈緒ネェがバンドのメンバーの中に居るから、美味しいものに目覚めちゃったのかな?
奈緒ネェの料理は、崇秀の料理同様に世界一と言って良いほど美味しいからね。
「あぁっと、それについては、奈緒ネェと言うより、仲居間流ですね」
「また、仲居間さんか」
「あぁ、はい。本人からレシピを貰ったんで100%仲居間流ですね」
「そうか。……しかしまぁ、あの人の才能は、本当に底が知れないなぁ。なんで、そんな事まで出来るんだろうな」
「あぁ、多分、それはですね。本人が『そんな事』って言う意識が無いからじゃないですかね。崇秀は、全てに興味を持つ『欲望の権化』ですからね」
……って、結論付けて見たんだけど、どぉかなぁ?
多分、これで正解だと思うんどけどなぁ。
「なるほどなぁ。人にとっては『些細な事』ですら、仲居間さんは必然性を感じてると言う事かぁ。実に面白い発想だな。まぁ、例えそう思ったとしても、早々真似が出来るもんでは無いだろうけどな」
「そら、アイツの真似をする事は簡単なことやないで。アイツはなぁ、それを幼稚園の頃から平然とやってのける様な異常な人間やねんから。一朝一夕では出来ひんよ」
「そうか。では、君の言い分だと、仲居間さんは幼い頃から、完全に『その精神を習慣付けてる』っと言う訳か。……なるほど。それは、矢張り、並の努力では、仲居間さんを越える事は難しいな」
「そやね。だから女は、自然とアイツに惹き付けられるんとちゃうかなぁ。あぁ言う何でも出来る男ってのは、結構モテるからねぇ。それにな、崇秀のアホは、あれで居て気ぃ遣いやからな。他人に対して面倒見もえぇしな。そんな奴越えんのは、ほんま難しい思うで」
あぁ~~~、ずるいずるい!!
それ、私が言いたかったなぁ。
私も、もっと崇秀のアピールしたかったなぁ。
飯綱ちゃん……ずるいよぉ。
「けどよぉ。それって、全部が全部必要かぁ?案外、必要じゃねぇ事も多いんじゃねぇの?俺ちゃんには、必要ない事が、矢鱈、多いと思うんだけどなぁ」
このディックさんの意見で、再びアピールチャンス到来♪
今度は私が崇秀のアピールをする番だもんね。
「あぁ、それ、違いますよ、ディックさん」
「なんでだ、姫ちゃん?」
「いえ、これは、そんな大層な話じゃないですけどね。それだけの知識や、実力を兼ね備えているからこそ、崇秀は『それだけ多くの人と接する機会に恵まれる』って事なんじゃないですかね。だから、音楽をやってるからと言って楽器だけやってたんじゃ。多分、あれだけの『人材』は獲得出来なかったと思いますよ」
「うぐっ……確かに……」
「確かにね。ヒデのあれは、深刻な病気だからね」
「それは言えてますね」
「あぁ~~~あっ。こりゃあ、仲居間さん越えは、一筋縄処か、二筋縄も、三筋縄もあるね。お手上げだね」
あぁ、そう解釈しちゃいましたか。
実は、そこも違うんだけどなぁ。
「でも、別に、何かに特化する事も悪い事だとは思えませんけどね。自分の得意分野を伸ばすのも、違った意味で良い事だと思いますよ」
ナイス美樹さん!!
まさに、その通りなんですよね。
そう言う面での勝ち負けって言うのは、表面上では、必ずしも存在するものなんですけど、実際、そんな勝敗なんて物は、余り大きな意味をもたないんですよ。
所詮勝ち負けなんて物は、その一瞬だけに起こる事象でしかないですからね。
なので、そんな勝敗よりですね。
それに向って『ズッと努力』し続ける事の方が大事で。
例え、その場で負けを認めても『なにか勝つ方法がないか?』って模索し続ける事の方が、本来は一番大事な事だと思いますよ。
……って言うか。
本気で崇秀を相手にするなら、それぐらい色々な方向性の考えを持たないと身が持たないですよ。
崇秀は、元々人間じゃないですからね。
強欲魔王ですから……
「そっか、そっか。美樹の意見は的を得てるね。鞍馬と、飯綱が、妙に仲居間さんを肩を持つもんだから、僕はちょっと拗ねてたみただね」
「年上の方に、こう言う言い方は、どうかと思うんですが。……エディさんって、可愛い方なんですね」
「そうかなぁ?……あぁまぁ、そう言えば、この間ホランドさんには『君は子供っぽ過ぎる』って言われた様な気がするなぁ」
……えぇっと、エディさん。
そうやってホランドさんの話を、例に出して言うのは正しい方向だとは思うんですがね。
今……もしかしてなんですが。
エディさん、そのどさくさに紛れてホランドさんの真似をしました?
もしそうなら、失礼だけど、あまりにも似てないですね。
酷い出来でしたよ。
それじゃあホランドさんと言うよりも……『キン肉マンに出てくるロビンマスクでしたよ』
ホランドさんの真似にしては……声が低過ぎだって。
「エド。……1つだけ聞きたいんだが。今のは、ひょっとして、私の真似をしたつもりか?」
「へっ?あぁ、まぁ、一応」
「オイオイ、酷い完成度だな。……俺ちゃん、モノマネしてる事にすら気付かなかったぞ」
「そうかなぁ?結構、上手く出来たと思ったんだけどなぁ。そんなに似てなかった?」
「そう言う所が『君は子供っぽい』って、いつも言ってるんだがね」
「そうですかねぇ?」
「あぁ、でも、あれですよ。私は、直ぐに解りましたよ。なぁ~~んとなくですけど」
「でしょ、でしょ。結構、上手かったよね美樹」
「あっ、あぁ、はい。私は上手いと感じましたけど」
「ほらほら、見る人が見れば解るんだって」
「エド……いい加減、美樹が社交辞令で、その言葉を発してくれてるのだと気付きなさい。そこが一番『君の子供っぽい』所だ」
「「「「「「ぷっ!!あははっはっははは……」」」」」」
「ちぇ……笑うなんて、酷いなぁ」
怒られた子供だ。
けど、場の雰囲気は、更に、良い雰囲気になった。
こんな風に、変に格好付けたり、見栄を出さない。
みんなで『和気藹々とした雰囲気』が、私は一番好きなんだよね。
でもでも、それにしても美樹さんったら、エディさんに猛烈アタックですね。
こうやって『男性を物色するんじゃなく』て、美樹さんの気持ちが『本気になってる』なら、出来る限りのバックアップはしてあげたいなぁ。
2人共、良い人だからね。
それになによりエディさんも、美樹さんも無駄に身長が高いから……ある意味お似合いだし。
ぷぷっ……『ロッキー山脈』と『チョモランマ』
……って事なんで。
ぷぷっ、お節介焼いてみよぉ~~~っと。
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【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
これは絶対とは言い難い事なのですが。
コンパの雰囲気って、その場の中心人物が上手く立ち回る事によって一変する事が多いんですよね♪
まぁ、これ自体は、かなりのコミュ力や技量などが必要な所なのですが。
現在、こう言う場を回すのが上手い飯綱ちゃんなら特に問題はなし。
現に場の雰囲気を和気藹々としたものに一変させてますしね(笑)
さてさて、そんな雰囲気の中。
此処で話題がコンパでの定番である『恋愛話』に移行して行きそうな感じなのですが。
果たして、どんな会話に成って行くのか?
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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