782 美樹さんとの会話後の眞子の心境の変化

 飯綱ちゃんの行動が、どうにも気に喰わない美樹さん。

そんな彼女は、眞子の後を追って台所に来てみたものの。

眞子自身が、美樹さんとの会話の中で飯綱ちゃんの行動原理を理解し、これを諭し、作った料理を持って部屋に戻って行って貰う。


だが、その入れ替わりに入って来たのは……


***


「ふふっ、さっきのなんやの、あれ?眞子が、美樹にあんな嘘なんか付かんでえぇのに。ウチの事やったら、もっと正直に言うたらえぇやん」


そう言いながら、美樹さんと入れ替わりに入って来たのは飯綱ちゃんだった。


……って、それは良いんだけど。

飯綱ちゃんの言う嘘って、なんの話なのかな?



「うん?なにが嘘なのよ?ひょっとして飯綱ちゃんの事?」

「そやで。あんな風にウチなんかを庇って変な事を言うたら、眞子まで、頭がおかしいと思われんで」

「美樹さんにそう思われたんなら、それは、それでしょうがないじゃない。でもね。私の『みんなが大切だ』って言う気持ちは嘘偽りのない言葉だから、私、なにも嘘なんか言ってないよ」

「そぉかぁ。……なぁ、眞子」

「うん?」

「アンタ、本気でウチなんかの事を、えぇ子やと思てるん?」

「えっ?思ってるけど、思っちゃダメなの?」


確かに破天荒って印象は拭えないけど、それは言うなれば、他人から見た私も同じ。

だから飯綱ちゃんに対して、特に悪い子って印象はないんだよね。


まぁ、そうは言いながらも、さっきまでは自分の理解不足のせいで、ちょっと飯綱ちゃんの行動が怖かったけどね。



「そら、アカン言う事は無いけど」

「だったら、それも、それで別に良いんじゃない?……そんなの私の勝手なんだからさ」

「そうかぁ。そやけどなぁ、放っといたら、ウチ、なに仕出かすかわからへんで」

「それも良いんじゃない。第一にして、それが飯綱ちゃんなんでしょ」

「まぁなぁ」

「だから、そこは、自分の行動に自分自身で責任が取れるんだったら、別に、私は干渉する気はないよ」


これも、さっきの美樹さんとの会話で解った事なんだけどね。

飯綱ちゃんの事を『自分勝手だ』って思う事自体が間違ってた様に思える。


各々の『性格』や『個性』、それに『育ってきた環境』なんてものがある以上。

そこは、じっくり時間を掛けてでも、お互いが理解し合わなきゃいけないんだろうし、そこで相手が間違ってると思えば、真正面から『衝突』すれば良いとも思う。


私ね。

今になって思えばなんだけど。

そうやって、崇秀とは仲良くなって来た様な気がするしね。


だからもぉ……飯綱ちゃんのそう言うのに対しても、なにも感じなくなった。


今と成っては『怖い』とか『自分勝手だ』って感じた事すら、馬鹿らしくも思えてきた。



「どういう事?責任さえ持てば、眞子は、なんでもウチの事を受け入れてくれるって事か?」

「嫌だよ。流石に、そんな一方的なのは、絶対にお断り。私にだって、自分の考えがあるんだから、飯綱ちゃんの全部を飲み込むなんて言うのは無理な話。気に入らなきゃ、当然、受け入れない。……でも『相手の意見を尊重しよう』とは思うよ。そんな感じ」

「なぁ、眞子」

「うん?」

「……なんで眞子は、ウチなんかの事を、そんな風に見れるん?ウチ、結構、嫌な奴やで」

「知ってるよ。バスケでは、散々人の事をコケにしたりするし、勉強してたらアホだって言う。それに異性に取り入る手段だって、正直言えば、なにも気に入らないよ。飯綱ちゃんのそう言う所は、本当に嫌なんだけどね」

「ほんだら、なんでなん?」

「うん?そんなの簡単じゃん。……それを含めても、飯綱ちゃんの事が気に入ったから、ただ、それだけだけど」

「こんなウチの事を……そんな風に思てくれるん?」

「当然……ちょっと格好良いでしょ」


これね。

崇秀の真似なんだけどね。

ちょっと捻くれ者の飯綱ちゃんにアイツなら、きっと、こう言うと思うのよ。


それが友達ってもんだと思うしね。


……でね、私、此処でも思っちゃったんだけど。

以前、素直ちゃんに対して『対等』を求めてた割りに『自分が、崇秀と全然対等じゃないなぁ』って……


だから、そんな『表面』ばっかりに囚われるんじゃなく。

心から相手と接しれる様に『心をもっと磨かなきゃ』って思うのよ。


そんな訳でこれからは、今まで以上にドンドンと知り合った人を受け入れて行こうと思う。


まぁ言うに易し……中々難しいんだけどね。



「ほんまやわ。アンタ、ちょっと格好付け過ぎやで。……同姓やのに惚れてまうわ」

「良いよぉ。飯綱ちゃんなら、幾らでも惚れて下さいな」

「ほんまやね?えぇねんなぁ?」

「ドンと来いってんだ。……って?えっ?ちょ!!……んっ……」


……嘘?


これが彼女のとって、どう言う意味を表すのかは不明だけど。

私がそう言うや否や、飯綱ちゃんの顔が近づいて来たと思ったら、イキナリそのまま『チュ~』……されっちゃった。


えっ?えっ?



「言うとくけど眞子。ウチは炎みたいな女やで。そんな事を軽々しく言うて、後で火傷せん様に気ぃ付けや」

「えっ?」

「どうやらアンタはな。ウチの心に火ぃ付けてもうたみたいやで。ウチをこんなに真正面から見てくれた子は、崇秀以来や。……好きやで眞子。崇秀と同じ位な」

「えっ?えぇっと、あの……」

「ふふっ、これ以上は、なんも教えたれへんよ。後の真相は闇の中ってね。ふふっ……ほなね」


えぇっと……


それを言い残してまま、完成した料理を持って、ご機嫌な様子でパタパタ部屋に戻って行っちゃったけど。


これって……飯綱ちゃん也の私に対する告白って事なんですかね?


解んない子だなぁ。


でもさぁ、久しぶりに誰かとキスしたんだけど。

飯綱ちゃんの唇は、奈緒さんぐらい滅茶苦茶柔らかかったよ……


なんか同性なのに『ドキドキ』するね。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


美樹さんとの会話が功を奏したのか。

飯綱ちゃんに対する気持ちが固定出来た眞子は、その飯綱ちゃんさえも丸め込んでしまいましたね(笑)


それ故に、こうやって誰かを理解しようとする心は、非常に良いものだと思います♪


さてさて、そんな風にまた一歩飯綱ちゃんと親密になった眞子なのですが。

次回は、この関係が、コンパに及ぼす影響と言うものを書いていきたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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