781 怖い

 各々の女子の合コンテクニックを目の当たりにした眞子。

その中に於いても、群を抜いて女子していたのが飯綱ちゃん。


そんな彼女に少し恐怖を感じた眞子は、台所へ追加料理を作りに行くと言って逃げ出したのだが……


***


 ……そんな感情が入り混じりながらも、少しの間、台所で色々なアテを作り始めた。


多分この調子だと、この後、お酒が入りそうな気がしないでもないからね。


でもさぁ、このまま行ったら、どうなるんだろうね?

なんか本当に美樹さんも、千尋さんも、当然、飯綱ちゃんも怖いよ。


本当に女の子って、ここまでするもんなんだね。


そう思いながらも台所で、作り終えたアテをお皿に盛っていると……



「……あの、眞子」

「あっ、あっ、あぁ、はい、なんですか?どうかしたんですか?」


誰が来たのかと思ったら、美樹さんだ。


あれ?けど、それにしても美樹さん。

エディさんと会話が弾んでた割りに、なんか表情が暗いですね。


どうしたんだろうね?



「あっ、あのさぁ、眞子。不躾で悪いんだけど、あの飯綱ちゃんって、どう言う子なの?ちょっと普通の感じじゃないよね」


えっ?



「あっ、あの、なんで、そんな事を言うんですか?飯綱ちゃん、良い子ですよ」

「そうかなぁ?なんかさぁ、あの子、さっきから眞子の事を餌にして、男性陣の視線を引き付けてる様に見えるんだけど」


そっかぁ……何事かと思ったら。

美樹さんも、なんとなく飯綱ちゃんの行動に、私と同じ物を感じちゃったんだね。


それで不安になって、此処に来ちゃったんだ。



「飯綱ちゃんは、故意的に、そんな事しませんよ。そんな風に見ないであげて下さい」

「そうかぁ。……眞子が、そう言うなら、そうなんだろうね。でもね。あの子のやってる事って、ウチの学校の先輩でね。『百戦錬磨の合コン女王』って言うのが居るのよ。その人のやり方と全く一緒なんだよね」


あぁ、やっぱりそうなんだ。

現実的にそう言う人を見た事があるのなら、美樹さんのこの状態も頷けなくはないね。


ただ仮に、そうであっても、此処は否定すべき所。

調子に乗って『私も、それ思ってました』なんて言ったら、今後の飯綱ちゃんの印象が悪くなるだけだろうしね。


そこだけは絶対に避けたい。



「違いますよ。飯綱ちゃんは、絶対にそんなんじゃないです。そんな人と一緒にしないで下さい」

「でもさぁ、眞子。さっきの台所での作戦会議の時も、あの子の言動って、明らかに普通の子供の言動じゃなかったよ。どう見積もっても、普通じゃないと思うんだけど」


まぁ、正直言えば……普通じゃないですね。

でも逆に言えば、例えそうやって普通じゃなくても、彼女自身はなにも悪い事はしてないんじゃないですかね?

現に、さっき美樹さん達だって、エディさん達を、そう言う眼で見て、そう言う事をしようとしてたじゃないですか。


だったら飯綱ちゃんだけを責めるのは、変ですよ。



「でも、仮にそうだとしても、美樹さん達だって、エディさん達の事を、そう言う風に見てたじゃないですか。それじゃあまるで、飯綱ちゃんだけが悪いみたいな言い方に聞こえちゃいますよ」

「あぁ、そう言う意味じゃなくてね。危険って言う話なんだよね」

「危険ですか?……でも、それって、本当に、そうなんでしょうか?私は、飯綱ちゃんが一生懸命頑張ってるだけだと思いますよ。それも悪い事じゃないと思いますよ」

「でもさぁ。眞子には、余り良い影響を与える子じゃないと思うんだけどねぇ」

「美樹さん、それって……飯綱ちゃんの事を、どういう風に見てるんですか?あまり変な目で見ないで下さい。あの子は私の大切な友達なんですよ。そういうの辞めて下さい」

「でも……」

「じゃあ、美樹さんは、奈緒ネェや、千尋さんや『Fish-Queen』の方々を悪く言われても良い気分で居られますか?私にとって飯綱ちゃんは、そう言う存在なんですよ。だから、もぉ辞めて下さい」


うん……さっきは、ちょっと疑って、変な事を考えたけど。

今の美樹さんとの会話の中で、自分の言った意見の中に答えはあった。


飯綱ちゃんは『自身の幸せを掴む為』に『必至』なだけなんだ。

今までの彼女の家庭環境を考えれば、これは、彼女にとっては当然の行動。

だから私は、もぉ飯綱ちゃんが、どういう人間であれ……疑わない。


あの子は真っ直ぐなだけなんだ。


それになにより飯綱ちゃんは、学校で、どうにもならない私の事を助けてくれたのは紛れもない事実。

この真実がある以上、少々破天荒であっても、根は良い子だと私自身が解ってる筈だしね。


だから……今後は、意見の食い違いとかで口論になる事はあっても、もぉ決して疑わない。


これは、私の中の決め事。



「あっ……ごっ、ごめん、眞子。そう言うつもりで、言ったじゃないんだよ」

「あぁ、大丈夫ですよ。それぐらいは、幾ら私が馬鹿だからっと言っても解りますよ」

「あぁ、うん」

「それよりも、私こそ生意気な事を言って、ごめんなさい。心配して頂いてるのに、ホントに、すみません」

「あっ、あぁ、うん、そこは良いんだけどね」


美樹さんはやや煮え切らない態度だけど。

此処については、ヤッパリ、自分の思い通りにならないのは、誰だって嫌だからね。


こうやって美樹さんが、飯綱ちゃんの事を少々疎ましく思ってしまう気持ちも解るし、それに付け加えて、ドン臭い私を、美樹さんが心配してくれてるのも眼に見えて良く解る。


だからね。

これからは私自身、誰が特別だとか、どうとかを考えない様にしなきゃね。


こうやって、遊びに来てくれる、みんなが大好きなんだから。


あぁでもでも!!奈緒さんと、崇秀だけは特別!!

これだけは、なにがあっても絶対に譲れないけどね!!



「あの、美樹さん」

「あぁ、うん、なに?」

「もぉ、こう言う話はヤメにしてですね。お料理を運んで貰えますか?私も、もぅ少し作ったら戻りますんで」

「そっ、そぉ?じゃあ持って行くね」

「あっ、はい、宜しくお願いしますね♪」


そう言ったら美樹さんは、完成した料理を部屋に持って行ってくれた。


でも、まだ、なにか言いたい事が残っている様子だ。

矢張り、この話自体が、生粋の女子である美樹さんには少々理解し難い話なんだろうね。


そう思いながら、私自身は妙に納得していたら。



今度は、美樹さんと入れ違いに……


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


飯綱ちゃんが怖いと感じるのは、なにも眞子だけではなかったみたいですね。


ですが実際、やってる事はみんな一緒。

なので、今回のお話での肝の部分は『自分より優れた者には嫉妬しがち』って部分。

結局は美樹さん、自分が踏み込んでいない領域に、飯綱ちゃんが踏み込んでいた事が気にくわなかっただけの話。


うん……実にJKらしくて可愛いですね(笑)


さてさて、そんな中。

美樹さんと入れ替わりに誰かが台所にやって来た様なのですが。

今度は誰が、眞子の元にやって来たのでしょうか?


次回は、その人物とのお話を書いていきたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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