779 女子の本性
男女の用意が整い。
漸く、食事会と言う名目の合コンらしきものが始まろうとしていた矢先。
女性陣は、その相手が『奈緒グリのメンバー』だと知り……大慌てに成りながら、事情を聴く為にも眞子を台所に連れ去った(笑)
***
……強制的に台所に連れて行かれた。
それと同時に、さっき、エディさん達に強制連行されたホランドさんの気持ちが良く解る。
そして……凄く嫌な予感しかしない。
きっと私は、さっき、嫌がるホランドさんを見捨てた罪で、彼と同じ目に有ってるに違いない。
あの、因みになんですけど、捕まった宇宙人は、FBIの皆さんに、なにをされるんですか?
出来れば、奈緒ネェみたいな酷い事はしないで下さいね。
穏便にしてくれないと……泣きますよ。
「ちょっと眞子!!どういうつもりよぉ!!」
「なっ、なにがですか?なんで私、怒られてるんですか?私、なにか怒られる様な事しましたか?」
「信じられないよ。あの人達って【Nao with GREED-LUMP】の人でしょ。どういう関係なのよ」
あっ……そこ?
そこなのね。
「えぇっと、どういう関係っと言われましても……アメリカで知り合った、10日限定で組んで貰ってた元バンドのメンバー方達ですけど。今は、奈緒ネェのバンドのメンバーですね」
「ちょっと待って、ちょっと待って。奈緒や、眞子のバンドのメンバーだって言うのは、今の説明で解ったけど。なんで、そんな人達が眞子に逢いに来る訳?あの人達って、ミリオン連発の超有名人だよね」
「あぁ、みたいですね。でも、私に逢いに来た理由はサッパリ解りません。日本でのツアーでもあるんじゃないですかね?」
「ないない。【Nao with GREED-LUMP】の日本ツアーの予定は無いって」
「あぁ、そうなんですか。……じゃあ、なんででしょうね?」
美樹さんに続いて、千尋さんにそんな事を聞かれてもなぁ。
解らない物は、どうやっても解らないので……正直困るんだよね。
もし仮に、その答えがあるとすれば。
アメリカでのツアーが終わって、今が休暇中だったとか。
その際に奈緒ネェに日本の話を聞いて、日本に興味を持ったとかしか思いつかないんですよね。
まぁ詳しくは、全然解んないですけど。
「まぁまぁ、おネェさん方ちょっとは落ち着きぃや、天然の眞子を責めても、多分、答えは出てけぇへんよ」
「あぁ、うん」
「そんな事よりやね。相手がどうあれ、こんな美味しいチャンス逃す手はないで。寧ろ、このチャンスを作ってくれた眞子には感謝すべきなんとちゃうん?」
「あぁ、そっかぁ」
「もし、少しでもそうやって、そう思えるんやったら、此処からは、お互いボロが出ぇへん様に上手い事行きましょうや」
飯綱ちゃん……この子は正真正銘の本物の捕食者だ。
美樹さんと千尋さんは説得してくれたのは良いんだけど……発想や発言がエグイって。
それになにより、その言葉を発した際の眼が怖いって……
これは流石に、ちょっと引くよ。
「そう……だよね。考えてみれば、それ、悪くない提案だね」
「じゃあ、早速だけど、誰が誰を行く?」
「お2人さんは、誰がえぇのん?ウチは残りでえぇで」
「本気?」
「ホンマやで。……あの面子やったら、残り物でも美味しそうやんか」
あぁ~~~、みんなして、男性陣に狙いを定めだしてるよぉ。
でもでも、私の友達だから、あんまり、そう言う変な目では見ないで欲しいんだけどなぁ。
この調子じゃ……無理ですね。
はい、すみませんでした。
「それで姉さん方は、誰がえぇん?」
「う~~~ん。私の中での一番人気は、やっぱりエディだねエディ。なんか母性本能を擽るタイプだもん」
「待って、待って、千尋。私もエディ狙いなんだけど」
「ほんだら、ウチは、他の2人を貰てえぇねんな」
「そんなのズルイって、ズルイって」
「ほんだら、誰が残るん?感じから言うてディックか?」
「あぁまぁ、そうだね」
「私も、ちょっとディックはないかなぁ」
「ほんだら、ウチはディックを貰うで。後からの交換は無しやで」
あっ、あの~~~。
なんで私は、その話から完全に除外されてるんですかね?
いやまぁ……その……それはそれで、別に良いんですけど。
そんな風にディックさんの事を、あまり悪く言わないで欲しいなぁ。
確かにあの人は真性のお馬鹿ちゃんだけど……基本的には良い人なんですよ。
それにさぁ……さっきから、友達を『物みたい』言われるのは苦痛だよ。
でも……異性が絡むと、女の子って、こんなモノなのかなぁ?
なんか、こう言うの嫌だなぁ。
「あっ、あの~~……」
「ちょっと待ってね。今、忙しいから、その話は後で聞くから」
美樹さん……
「あぅ、あの、千尋さん……」
「ゴメン、ゴメン、直ぐ聞くから、ちょっと待ってね」
千尋さん……
「あっ、あの、あの……」
「うん?どないしたんや、眞子?なんか顔色悪いで」
「違うの。そう言うのヤメテ欲しいの。私の大切な友達を、そう言う眼で見ないで欲しいです」
「えっ?あっ……ごめん、眞子」
「じょ、冗談だよ冗談」
「なんで?そんなん綺麗事やん。吐き気するわ」
「えっ?」
なっ、なんでそんな事を言うの?
折角、アメリカから遊びに来てくれてるだけなのに。
……酷いよぉ。
「言うとくけど眞子、お姉さん等2人が辞めても、ウチは辞めへんよ」
「えっ?」
「眞子、アンタなぁ、ウチの屋上での話を、ちゃんと聞いとったか?ウチは、目の前に転がってるチャンスを逃す様な女やないで。それになぁ、アンタが友達や思ててもなぁ。あそこに居る連中は、アンタの事をキッチリ女として見とる。こんなん、お互い様やねんで」
そうだけど……
「ちょっと、飯綱ちゃん。それは言い過ぎだよ」
「ほんだら、辞めたらえぇやんか。友達やから言うて、自分の恋愛観を押し付けられるんは、ゴメン被りたいもんやわ。ウチは、みんなが、なんと言おうと辞めへんよ。えぇ格好して、損するのはゴメンやわ」
「そうだけどさぁ。眞子が連れて来てくれなきゃ、こう言う場は無かったんだからさぁ。辞めてあげようよ。……ねっ」
「ぬるいわ。よぉ考えてみぃや。目の前に幸せになれる可能性が転がってんねんで。しかも、飛びっきりの大きな幸せや。そやのにお2人さんは、えぇ格好して、これを破棄するんやね。こんなチャンス早々には無いで」
あぁそうかぁ。
そうなのかも知れないね……
私は、さも当たり前の様に、凄い人に出逢い過ぎて、こう言う機会自体が『稀少』だと思える感覚が麻痺してるのかもしれない。
『普通なら、こんなチャンスなんて物はそんなに多く存在しないから、それをキッチリ回収する』
そう考えると、飯綱ちゃんの言ってる事の方が正しい様な気がしてきた。
「あの……突然、我儘言って、ごめんなさい。私、いつも、よく訳も解らず、凄い人に可愛がって貰ってたから、そう言うの良く解らない感覚なんで……ごめんなさい」
「そうか。解ってくれたらえぇんよ。眞子は、生粋の贅沢者やからなぁ」
「そうだね……きっと、そうなんだろうね」
結局の所、私って、ひょっとして物凄く独占欲の強い人間なんじゃないの?
密かにホランドさんや、エディさんや、ディックさんが、他の女の人を見てるが嫌だったのかも。
なんかこれって……独り善がりで最低だ。
「まぁそや言うたかてな。女である以上『異性が自分の方を見てないのが嫌や』って言う眞子の贅沢な気持ちも、よぉ解んで。女言うのは、独占欲の固まりみたいな生き物やからなぁ。そら、そうなってもしゃあないってもんやわ」
「あっ、うん。……でも、なんかミットモナイね。私って」
「ふふっ、そんな事ないで。普通は、みんなそうやねんて……。ただなぁ、眞子は、ちょっと注目され過ぎなんよ。反則に等しいでアンタわ」
「なっ、なんで?そんな事ないよ」
「出たよ。此処に来て無自覚症候群が」
「えっ?えっ?なっ、なにがですか?」
なんの事?
「まぁまぁ、その話は、一旦、置いとこ。ホンで今回は、フリー言う事にしとこ。これ以上ややこしい事言うて、相手方に時間取らすのも悪いやろ。色んな意味で、腹ペコ小僧共が待っとるんやし」
「うわぁ~~~っ、可愛い顔して、言う事がゲスいね」
「ふふっ、そやで。ウチは、相当ゲスい女やで」
「こりゃあ、見た目に反して、手強そうだ」
「ふふっ……それは、どぉやろね」
がっ……頑張ってね。
下手に関わるのが怖いので、私は、崇秀一筋で良いです……
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【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
前回の捕食者に引き続き、女子の裏側に軽くスポットを当ててみたのですが。
飯綱ちゃん……中々にして酷い有様ですね。
まぁ言うて、彼女の言ってる事自体は、別に何もおかしな事を言ってる訳ではないのですが。
こう言う女性の裏側の顔をあまり知らずに今日まで来た眞子にとっては、かなり衝撃のシーンだったみたいですね(笑)
美樹さんや千尋ちゃんまで、あんな風に成るとは思っても居なかったでしょうしね。
さてさて、そんな中。
とうとう、合コンらしきものが始まるのですが。
果たして彼女達は、男性陣に対して、どの様な動きを見せるのか?
そして、男性陣は、それを、どの様に受け止めるのか?
次回は、その辺を書いていきたいと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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