776 この世で最も薄っぺらい物

 何の前触れもなく、突然、眞子の家に訪ねて来た奈緒グリの男性メンバー。

そして、腹ペコ小僧だったエディさんのご飯を作る為に、食材を買いに行ったまでは良かったが。


家に居る女性陣に『一緒に食事しても良いか?』を眞子が尋ねに行くと……


***


 ……そんな感じになりながらも、家に戻って開口一番。

可愛らしいお嬢様方に、その件についてのお伺いを立ててみた。


まぁ、反対される事はそうそうにはないとは思うんだけど、やっぱ、こう言う事はちゃんと確認して置いて貰わないとね。



「あの、すみません。さっき、柳田さんの所に友達が来ちゃったんですけど。お食事を、ご一緒させて貰っても良いですか?」

「あぁ、さっきからなにかチョロチョロしてるのかと思ったら、そう言う事情だったのね」

「はい、そうなんですよ。あぁ後、追加の食材の買い出しにも行ってました」

「マメねぇ。じゃあ私は良いよ。……って言うか、此処、眞子の家なんだから、そう言うのって、なにも気にしなくて良いんじゃない」

「そぉそぉ、誰が訪ねて来たのかは知らないけど。大勢で、ご飯を食べた方が美味しいから、此処に呼んで来てあげなよ。……あぁでも、私の肉は一枚たりともあげないよ」

「ははっ……そうですか。でも、誰も千尋さんの肉を取ったりしませんから安心して下さい。……あっ、あの、飯綱ちゃんも、友達に、此処に来て貰っても良いかな?」


まぁ、コチラも、ダメとは間違っても言わないとは思うんだけど。


やっぱり、一応ね一応。

これから同居する訳だし、今後の為にも此処でなにかあったら良くないしね。



「なんで、そんな気ぃ遣うん?眞子のお客さんは、ウチにとってもお客さんやで。そやからそんなん大歓迎に決まってるやんか」

「ははっ……だよね」


ヤッパ、自由奔放な性格なだけあって、余り、この手の事に関しては、なにも動じないみたいだね。

そしてなにより飯綱ちゃんは、今までの彼女の私生活上、コミュ力が異常なまでも高いから、こう言う急な場面ですら余裕すら持ってる様に感じる。


よしよし、これなら全て問題無さそうだ。



「あぁ、じゃあ、あまり相手方を待たせても悪いんで、早速、此処に呼んできますね」

「うんうん。あぁいや、眞子、ちょっと待って……」

「はっ、はい?なっ、なんですか美樹さん?どうかしましたか?」

「眞子に限っては、これは多分ないと思うんだけど。……まさか、眞子の言う友達って男って事はないよね?」


いや、モロに男性ですけど?


なんで、そんな事を気にするんですか?



「あぁ、はい、そうですよ。全員、男性ですよ」

「そっか。そっかそっか。……うん。じゃあ、悪いんだけどね眞子」

「はいはい」

「相手方には悪いんだけど、取り敢えず、1時間程はそこで待って貰おうか」

「はい?」


えっ?


えっ?なになに?

なんで友達を此処に呼ぶだけの話なのに、男性ってだけで一時間も待って貰う必要性が……


・・・・・・


( ゚д゚)ハッ!

まっ、まさか……この恒例のパターンって……



「美樹。私、先に風呂沸かしてくるね」

「あぁ、ほんだら、風呂は千尋任せて。ウチは、ササッと部屋の掃除するなぁ」

「あぁ、だったら私は、食事の準備のやり直しね。今のままじゃあ、ちょっと、人には見せられない状況だからね」


ヤッ、ヤッパリだ……


一瞬、なんの事かと悩んだりもしましたけど、そう言う事でしたか。

美樹さんも千尋さんも、奈緒さんの友達だけあって、みんな見栄っ張りだね。

あぁいや、敢えて此処は『倍意識が高いから身嗜みをキッチリしたい人達』と言って置いた方が身の為だね。


……ってか、そう言う事情なら、私も出来れば風呂にだけは入りたいんですけど。


ダメですか?



「あぁ、じゃあ眞子は、ヤッキの店に行って、その来客を引き止めといてね。シッカリ頼んだわよ」

「そうだね。眞子しか、相手の顔を知らないだから、これは眞子にしか出来ないもんね。眞子、お願いね」

「頑張りや、眞子。そっち方面は全面的に頼んだでぇ」


酷い……

こんなにも『私も風呂にだけは入りたい信号を出してた』って言うのに、その意に反して、この人達、私を生贄にしてでも、自分達ばっかり綺麗に成ろうとしてるよ。


しかしまぁ、そう考えたら、女性同士の友情とはオブラートぐらい薄っぺらいものですね。


あぁでも、まぁ良いか。

そう言うのが気持ちになるって言う女性的な心理も、今の私ならよく理解出来ますし、女性なら誰しも、初対面の男性には、少しでもよく見て欲しいですもんね。


まぁそれに何より私は、彼等に対して恋愛感情もありませんし。

今回に至っては、もぉ素のままで一度ホランドさん達と顔を合わしちゃってますからね。


(´Д`)ハァ…ならしょうがないか。

そう言う事情なら、此処は敢えて私が、皆さんの為に犠牲になろうじゃありませんか。


その代わりと言ってはなんですが、家の中の事は全面的に皆さんに任せましたからね。


宜しくお願い致します。


……そんな訳でございまして。

まずは再度、柳田さんの店に戻って、その旨を男性陣に伝え。

皆さんを家の中に居れる訳にはいかないので、エディさんと買って来た食材を家の中にエッチラホッチラと1人で運び込んだ後。


何故か、此処で彼等を足止めをする羽目になった。


……まぁ、人生こんなもんですね。


とほほ……


けど、正直言っちゃえば、私も風呂にだけは入りたかったなぁ。

学校から帰って来て、まだシャワーしか浴びてなかったから、そこだけは私にも時間が欲しかったです。


私、飯綱ちゃんと屋上でバスケしてたけど、汗臭くないよね?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


奈緒さんの友達である美樹さん、千尋さんは元より。

矢張り、飯綱ちゃんも、処世術に長けてるだけあって美意識が高かったみたいですね(笑)


そして、そんな場面での女性の友情は『オブラートほどの厚さ』しかない薄っぺらかった様です。


まぁまぁ、そんな訳でして。

次回は、眞子がホランドさん達の足止めをする訳なのですが。

果たして、こんな調子で上手く行くものなのですかね?


それは次回の講釈。

また良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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