771 3度目のリスタート

 飯綱ちゃんのお陰で、漸く『意地悪眞子の仮面』を外す決意をした眞子。

そして普段通りの接し方でクラスメイトに接すると、みんな変な蟠りを持たずに付き合いを持ってくれた。


だが、もぉその時には既に飯綱ちゃんの姿はなく……(笑)


***


 ははっ……そんな訳でして、恥ずかしながら3ヶ月近く掛かりながらも、漸く3-Cのクラスメイトに仲間入りさせて貰えた様な気がする今日この頃なのですが。

この後、放課後になっても、少しの間、みんなと話し込んでいた。


ヤッパリ、こうやって人と接してないと、生きてる意味なんてないよね。



「ねぇねぇ、向井さん。じゃあ、再度聞くけど。これから、この3人でマックに行くんだけど、良かったら一緒に行かない?」


あぁ……この対応、神ですか?

あれ程、内田さんには嫌われていたと言うのに、もぅ1度、同じパターンでチャンスをくれるんだ。


ありがたいです。


けど……



「ごっ、ごめんね。今日は用事じゃなくて、どうしてもして置きたい事があるの」

「またぁ~~~、またなの?」

「あぁ、あの、でっ、でも、明日なら、絶対に大丈夫だから。明日付き合って貰えないかな?私が奢るからさぁ」

「奢ってくれるんだ?」

「うんうん、モチモチ♪折角、誘って貰ったのに断ってるんだから、此処は当然だよ」

「ふふっ。前の向井とは、断り方からして全然違うんだぁ。じゃあ明日、ご馳走になっちゃおうかなぁ」

「うん、ごめんね」


……だよね。


生粋の貧乏だから、本当の所、こう言う出費は痛いんだけどね。

私の以前の悪行を解ってて、こうやって2度も同じ様に誘ってくれたんだから、この出費は仕方がないよね。


此処に関してはもぉ、必要経費、って言った所かな。



「それで向井ッチの、しておきたい事って、なに?」

「あぁ、うん。飯綱ちゃんに、どうしても、今日中にお礼したいから……」

「あぁ、そう言う事ね。なら、しょうがないねぇ」

「わかってくれて、ありがとう」

「あぁ、前みたいなのは嫌だからね」


うぅ~~~、やっぱり、ちゃんと言えば解って貰えるんだね。


ホント気を付けよ。



「あっ、あの、私も友達で良いんだよね」

「うん、勿論だよ宮ちゃん。……あぁそうだそうだ。そう言えばさぁ、ウッチーに、マッキー。宮ちゃんに、鞄を持って貰うのとかはヤメようよ。宮ちゃん可哀想だよ」

「あぁ、眞子は、あぁ言うの嫌なんだ」

「嫌って言うか。他の人から見たらさぁ。あぁ言う行動って、ウッチーと、マッキーのイメージが悪くなるんだよね。そう言う悪いイメージをみんなに持たれて欲しくないし」

「あぁ、そうかぁ。言われてみればそうだね。虐めしてるみたいだもんね」


いや……世間から見れば、それは、確実に100%虐めの域ですよ。


それだけにね。

どこで誰が見てるか解らないから、世間的にもヤメた方が良いと思うんだよね。


真琴ちゃんの件で、悪評は広がり易いって言うのも、私自身も身を持て体験してましたしね。



「でしょ。ウッチーも、マッキーも、宮ちゃんも、みんな同じ友達なんだから、そんな事をせずに楽しくやった方が良いよ」

「あっ……」


お互い嫌な事はせずに、もっともっと仲良くやろうよ♪


じゃないと……ねぇ。


陰湿な事をしたって、その瞬間は優越感に満たされるかもしれないけど。

結局、その瞬間の為に、後々悪評が付いちゃったら、結局、損するのは自分だしね。


だから、そう言うのは辞めよう、辞めよう。



「ハァ~~~、ホント、眞子って良く見てるよね。何気にしてた事だから、全然気付かなかったよ」

「そんなそんな。ふっと思っただけだから」

「じゃあ、また気付いた点は逐一教えてね」

「うん、お節介にならない程度にね」

「堪んないなぁ。……飯綱の言う通り、凄い良い子だ」

「だよねぇ。……って、イケナイ。向井ッチ、飯綱待たせてるんだよね。行って良いよ。行って行って」

「あぁ、ごめんね。じゃあ、また明日ね」

「「「ばいばい」」」

「あっ、うん。ばいばい♪」


やった!!

今度こそ上手く交友関係が作れそうだ。


本当に、こう成れたのも、全部、飯綱ちゃんのお陰だよ。


感謝感謝。



「ねぇマッキー。あの子、絶対、敵に廻さない方が良いね……」

「うん、だよね。顔は可愛いくてスタイルも良いし、その上、頭良くて、運動神経まで良いなんて3拍子が揃ってるんだから、もぉ絶対に敵に廻す気には成れないね。……っで、あの性格なんでしょう。あれは絶対に敵に回魔しちゃいけないタイプだよ。だよね、宮も、そう思うでしょ」

「……そうだね。私も辞めた方が良いと思う」


なんか言った?


***


 ……さてさて、そんな感じでウッチー達とは別れ。

恐らくは飯綱ちゃんが居るだろう屋上にやってきた訳なのですが……私の幸運の女神様は、まだ屋上に居るかなぁ。


居てくれるかな?


それとも……私が教室でダラダラ話し込んでたから、流石に呆れて、もぉ帰っちゃったかな。

そう思いながらも、どこかで『待っていてくれている飯綱ちゃんの姿』が頭に浮かんで、私は出来る限り急ぎ屋上へ向った。


『ガチャ!!』



「あっ……」


扉を開けた向こうでは、飯綱ちゃんが、必死にバスケの練習をしている姿あった。


その姿って言うのがね。

大量の汗を掻きながら、何度も、何度も、練習を繰り返しやってる飯綱ちゃんを、沈みかけている太陽が上手く長い影を作り。


言葉を失う程、綺麗な光景に……


私は、そんな彼女の姿に魅入ってしまい、完全に声を掛けそびれる。



「うん?なんや、誰やと思ったら眞子かいな。居ったんやったらサッサと声掛けぇな。なに、そんなとこでジッと見てんの?どないかしたんか?」

「えっ?あっ、うぅん。なんでもない。なんでもないよ」

「なんやの?ニヤニヤして気持ち悪いなぁ。なんかえぇ事でもあったんか?」

「うん、まぁね。って、あぁ、そうだ。あの、さっきは、ありがとうね。飯綱ちゃんのお陰で……」

「なにを言うつもりかは知らんけど、ウチは、なんも知らんよ」

「えっ?」

「あれはな、ただの切欠。そのチャンスをモノにして決断をしたんは眞子自身なんやろ。うちは、そんなアンタの背中を、ちょっと押しただけのこっちゃで」


なんで私の廻りって、こう言う事を、さも当たり前の様に『自然に出来る人』ばっかり集まって来てくれるんだろう?


こんな事を言われたら、もぉ泣きそうだよ。


でも、これってある意味、私が放って置くと直ぐにロクでもない事をするから、神様が監視を付けてるのかなぁ?


だとしたら、私って、どれだけダメ人間なのよ?



「あぁ……」


そして、なにも言えない私。


情けなし……



「なんぞ、あの程度の事で気にしてるみたいやけど、そんなもん、なんも気にせんでえぇんよ。それになぁ。眞子のお陰で、久しぶりに3-Cのみんなに会えて楽しかったしね。……相変わらずのアホばっかりやったけどな」

「あっ、あのさぁ。それは、ちょっと言い過ぎじゃないかなぁ。みんなの事をアホって言うのは良くないと思うよ」

「アホやねぇ、眞子わ、今のアホはそう言う意味やないんよ」

「へっ?じゃあ、どう言う事?」

「あのな、関東人には馴染みのない感覚かも知れんけどな。大阪の方では『アホ』言うのは最高の褒め言葉やねんで」

「えっ?そうなの?」

「そやで。『アイツえぇ奴やなぁ』とか『ホンマ、人のえぇこっちゃなぁ』って言う意味やから、眞子の思てる『アホ』とは、ちょっと意味がちゃうねん」

「そう……なんだ」

「そそ。ウチは、人を馬鹿にする様な真似はせぇへんよ。……バスケ以外はな」


ヤッパリなぁ。


バスケだけは、どうしてもしちゃうんだ……


そこの拘りだけは消せないんだね。



「そうなんだ。……あぁそれはそうとさぁ飯綱ちゃん」

「うん?なんやな?」

「なんか今日のお礼がしたいんだけど。なんかして私にして欲しい事ってない?」

「眞子にして欲しい事なぁ……う~~~ん、そんな藪から棒にして欲しい事って聞かれても困るんやけど。まぁそれでも、あると言えばあるわな」


あっ、なにか望みがあるんだね。


それって、なになに?

もしなにか私に出来る事があるんだったら、気軽な感じで言ってくれていいよ♪


御遠慮なく(笑)


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


3度目のリスタートを切って、眞子も漸く、本当の意味での新生活を始める事が出来たみたいですね♪


いやはや、偶然だったとは言え。

屋上にサボりに行って、飯綱ちゃんに出会えて、ほんと良かったですね。


そして、そんな飯綱ちゃんにお礼がしたい眞子は、彼女の希望を聞いてみる事にしたみたいなのですが。

なにやら飯綱ちゃんも、眞子に対してのお願いがあるみたいな雰囲気。


一体、彼女は、眞子にどの様なお願いをするのでしょうか?


次回は、その辺を書いていきたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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