769 自由奔放
眞子は、飯綱ちゃんにバスケでギャフンと言わされ。
飯綱ちゃんは、眞子の破天荒な私生活でギャフンと言わされた(笑)
そんな中、飯綱ちゃんが何やら言って来たのだが……果たして彼女は何を言い出すのか?
***
「なぁなぁ、眞子。突然やねんけどさぁ。ウチと友達になってえぇな。えぇやろ?」
「あぁ、うん♪もちもち♪コチラこそ、宜しくお願いしたいよ。私さぁ、クラスで浮いてる存在だから、友達って呼べる子が殆ど居ないしね」
一応、素直ちゃんとかは居るんだけど。
彼女って、友達って言うよりも、同い年なのに、どこかまだ『妹』ッポイ存在でしかないんだよね。
なんか正直言っちゃうと、友達として一番大事な『対等』っぽさって物をあまり感じない。
でも、その分、この飯綱ちゃんなら、そう言う意味では、良い友達になれそう気がする。
ちょっと吹っ飛んでる性格だけど、そう言う子って、私自身が好きだしね♪
「そら自業自得やろうに」
「えっ?」
「そんなややこしい分厚い仮面を被って人に接してたら、そないな事になってもしゃあないわな。そやけど、素のまま眞子やったらなぁ。絶対、みんな、好きになってくれる筈やで。……だからなぁ。もぉそう言うの辞めたら?」
う~~~ん、非常に的を得た有難い意見ではあるんだけど、心境としては微妙。
確かに、飯綱ちゃんの言う通りだから、彼女の意見はなにも間違っちゃいないんだけどね。
それになにより私自身が外したいと思ってはいるんだけど。
そんなことをしても今更感もあるし、素直ちゃんとの約束も破る訳にはいかない。
この辺はジレンマだね。
「あぁまぁ、そうなんだけどね。これって、ちょっとした実験も兼ねてるから、そう簡単には外せないのよね」
「ふふっ、意地っ張りな子やねぇ。そやけどな。そんな、なんや解らん実験の為に、今の大切な時間を無駄に費やしたらアカンの事実なんちゃう?眞子はな。そう言う生き方を出来る様な器用な人間とちゃうねんから」
「うぅ……」
「そう言うおかしな事はな。崇秀みたいな変態に任せといたらえぇねんて。……アイツは、そう言うのが、お似合いなタイプやしね」
あれ?……今までの意見はすんなり受け入れられたけど、今の飯綱ちゃんの言動には、ちょっとムカッと来た。
確かに崇秀は、そう言うタイプに見えるかも知れないけど。
なんかさぁ、それが言える程、飯綱ちゃんが、崇秀のなにを知ってるって言うの?
ちょっとだけ馴れ馴れしくない?
「ねぇ、飯綱ちゃん。私の事は、別に、どう言っても構わないけどさぁ。崇秀の話は、ちょっと違うんじゃないかな?」
「うん?」
「崇秀は、そう言う人の嫌がる様な作業を、自ら進んでするタイプの人間だと思うんだけどなぁ。アイツ、滅茶苦茶良い奴だよ」
「あぁ、なんの話かと思たら、そう言う事かいな。気を悪くしたんやったらゴメンやで。そやけどなぁ。アイツとは幼馴染やから、ついついウチも本音でモノ言うてまうねん。ホンマごめんやで」
「えっ?飯綱ちゃんも崇秀の幼馴染……なの?」
「そやで。アイツと、ウチが知り合うたんは幼稚園の頃やからね。幼馴染なんちゃうか」
「幼稚園……」
「そそ。ウチがな。長野から、神奈川に転校して来た時からの、結構、長い付き合いやからなぁ」
飯綱ちゃんと崇秀の出会いって……私と知り合う、ずっと前の事なんだ。
いや、別にさぁ『早い』『遅い』に優劣を感じる訳じゃないんだけど。
なんか、自分が崇秀との付き合いが一番深くて長いと思ってただけに、此処は妙に負けた気分になるね。
けどけど、飯綱ちゃんは最古参の幼馴染かも知れないけど、私と崇秀みたいな『親友』じゃないから……
あっ……なんだろ、これ?
私、独占欲丸出しになってない?
「そっ、そうなんだぁ」
「そやねん、そやねん。ほんでアイツなぁ、捻くれ者のウチの事なんか放って置いたらえぇのになぁ。いっつも、お節介ばっかり焼いて来よんねん。ホンで、ウチが大阪に転校した後もなぁ、手紙くれたり、色々してくれてん。だからウチな、アイツの事がメッチャ好きやねん。そやから、口一杯悪口ばっかり言うたんねん」
えっ?
「あっ、あの、飯綱ちゃん、飯綱ちゃんは崇秀の事が好きなの?」
「うん、メッチャ好きやで……なんで?」
「あっ、あのさぁ、こう言う事は、先に言っとかないと遺恨になるから、先に言って置くけど。私も、崇秀とは幼馴染だし、アイツの事が物凄く好きだから」
「へぇ~~~そうなんや。ほんだら、えぇなぁアイツ」
「えっ?」
「こんな、えぇ女2人惚れられるやなんて贅沢にも程があるわ。まぁそやけど、それはそれ。これはこれやから。ウチと、眞子が友達なるんにはなんも関係ないやんなぁ?それとも宣戦布告したから、眞子は、ウチとは友達にはなられへんのか?」
自信なのかなぁ?
それとも人間としての器の違い?
飯綱ちゃんは、そう言った所を全く気にしてないみたいだけど、そう言うのって簡単に割り切れるちゃうものなの?
「あぁっと……答える前に、ちょっと質問して良い」
「えぇよ。なにぃな?」
「気にならないものなの?」
「そんなん全然なれへんよ。大体にして、なんで、そんなん些細な事を気にする必要があるんよ?」
「えっ?」
「大体なぁ、まだアイツが、誰のもんでもないねんやったら、恋愛なんか誰がやるのも自由やんか。そんなんイチイチ気にしてたら、アイツのせいで誰とも友達なられへんで。それこそ男友達ばっかりなってまうで」
なんとも自由奔放な考え方だね。
それに、これも的確に的を得てる意見だ。
なんかね。
幼馴染であっても、親友であっても、崇秀自体が『誰のものでもない』ってハッキリ言われてる様な気がする。
それに……ライバルだからって友達になれないんじゃ、確かにアイツの場合は『男友達』だけになっちゃうね。
う~~~ん、本当に的を得てるね。
「確かに、そうだね」
「そやろぉ。だからなぁ。まずは崇秀が好きなもん同士で友達なって同盟を結ぼうや。そやけど『抜け駆け有り』の関係やで」
「抜け駆けはありなんだ」
「そらそうやん。そんなんなぁ。チャンスなんか、何所に転がってるか解れへんのに、眞子に遠慮してたら、ミスミス、そのチャンスを見逃す事になるんやで。それは、どう考えてもあかんやろ」
「あぁ……」
「そやからこそ、最初から『抜け駆けはあり』な関係を結んで、後々『卑怯』やとか言うて喧嘩ならん様にしとく。そうした方が後腐れが無くてえぇやろ」
どこまでも、本当に自由奔放だね。
自分は好き勝手やるから、私にも好き勝手やって良い。
それに、チャンスは自分で作ってるんだから、チャンスを作らなかった奴は自己責任。
行動を起こさなかった自分が悪いって言いたいんだね。
故に、なにがどうなっても『遺恨はなし』で『恨みっこなし』って事だね。
なんか、凄く男の子っぽい考えだね。
けど、そう言うアッサリした性格って、私は好きだなぁ。
「うん、わかった」
「ほんだら眞子は、ウチの友達なってくれるん?」
「うん。……って言うかさぁ。寧ろ、私の方から『友達に成って欲しい』ってお願いしたいぐらいだよ」
「ほんま?眞子は嬉しい事を言うてくれんねんなぁ」
「いやいや」
「大体この話をしたらドン引きする女子が多いって言うのに……アンタみたいな子、ホンマ珍しいわ。その内、親友になれるかもな。そんなんに成れたらえぇなぁ」
「うん、成れたら良いね。……でも、例えそう成っても、ライバルなのだけはなにも変わりないんだけどね」
「ふふっ、ホンマやね」
ヤッ、ヤッタァ!!
今までの様な既存の友達じゃない、全く真っ白な状態から、本当の意味で、新しい友達が初めて出来た!!
こう言うタイプの子は、絶対に稀少だから大切にしよ!!
まぁ……同時に、明確なライバルが出来たんだけどね。
ははっ……なんかそこは複雑。
「あぁ、そやそや、眞子に一個だけお願いがあんねん」
「うん?なに?」
「あのなぁ。ウチの前では、その仮面外したままにしとってな。アンタの都合もあるやろうから、別にドッチでもえぇねんけど。今の眞子の方が好っきやから、素のままのソッチにしといて」
「あぁ、うん……でも」
「うん?なんか問題でもあるん?」
約束があるからね……
それに伴う、色々な問題が……
「あぁ、まぁ、飯綱ちゃんと2人だけの時は、それで全然OKなんだけど。クラスに居る時は、そう言う訳にも行かないかな」
「なんで?えぇやんか、別に。……まぁなぁ、眞子にも色々事情があるようやし。さっき、実験がどうとか言うてたから、眞子が続けたいって言う意味は解るんよ。そやけどなぁ、それって、ホンマにそこまで重要な事なん?」
「あぁ……まぁ」
「アンタ……まだなんか隠してるやろ」
「うぅ……」
「まぁそや言うたかてや。人間なんか隠し事の宝庫みたいなもんやから、そこを無理には聞けへんよ。……でもなぁ。それってなぁ。自分の本意でやってんの?ウチには、誰かに強要されてる様に見えるんやけど」
鋭いなぁ。
此処まで的確に言えるって事は、相当な観察眼を持ってるね。
けど、だからと言って、此処で素直ちゃんの話を出す訳には行かないから、此処は上手く誤魔化そ。
「あぁ、違う違う。本当に誰にも強要なんかされて無いよ」
「ほんま?ほんだら無理は言わへんわ。眞子の好きにしたらえぇよ」
「ごめんね」
飯綱ちゃんに嘘付くの……なんかヤダなぁ。
「謝らんでもえぇやん。……でもな、お節介序に1つだけ言うといたるわ」
「なに?」
「アンタはな。人に縛られたらアカンで」
「えっ?」
「ふふっ……出会って直ぐに、こんな事を言うのも変な話やねんけどな。アンタと、ウチは、よぉ似てる。束縛されたらアカン様になるタイプや。自由奔放なんが、アンタには似合ってるで」
「あっ……」
飯綱ちゃんは、私の本質を見てくれてる。
この短時間で、この子は、私の本質を見抜いてる。
でも、約束が……
「以上。これで話は終わり。……ほな、早速学校サボって、どっか行こか?」
「あぁ、ダメダメ。サボりは、これでお仕舞い。次の授業からは、ちゃんと出ないと」
「そうかぁ。ほんだら、ウチは此処で待ってるから、授業が終わったら、また遊ぼな」
「飯綱ちゃんは授業に出ないの?一緒に出ようよぉ」
「嫌や。学校で受ける勉強なんかウチには必要ない。ウチはしたい事しかせぇへんの。眞子も一緒やん」
「えっ?でも、違うんじゃないかなぁ?」
「なんで?眞子は勉強したいから、勉強するんやろ。ほんでウチは勉強したないから、勉強せぇへん。『自己責任でやってる』んやったら、これって一緒なんちゃうん?どこが違うんよ?」
なんと言う屁理屈を……
でも、そうだよね。
モノなんて、誰かに強制されてやるもんじゃないもんね。
そう考えれば、この無茶苦茶な理屈でさえ、結局、的を得てる訳かぁ。
この子……なんか、ある意味凄いね。
考え方が、同い年だとは思えないぐらい凄く自立してる。
「まっ、まぁね」
「そうやろ。そやからなぁ。ウチは此処でバスケの練習しながら待ってるから、授業が終わったらまた来て。一緒に帰ろ」
「あっ……うん」
「ほなね」
「じゃあ、また後でねぇ~~~」
私は、本当に気持ち良く授業に戻って行った。
「はぁ……よっこいっしょっと……ホンマ、意地っ張りで、世話の掛かるしゃあない子やね」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
友達関係って、付き合いの長さとかで決まるなんて思われがちなのですが。
実際、そんな事は極些細な事であって、それよりも大事な事は、如何に早く、相手の事を深く理解出来るかが最重要ポイント。
結局の処、付き合いが長い方が、そこが見えやすく成って来るから『親密に成ってる』様な気分になってるだけの話なんですね。
その辺をよく理解しているのかして、飯綱ちゃんは眞子と話しながらもドンドンと眞子の心の中に入って行く。
まぁ言わばこの2人は、よく似た性格をしているので、非常に相性が良いんでしょうね。
まぁ……眞子の場合は、ただの天然ですが(笑)
さてさて、そんな中。
最後の最後で飯綱ちゃんが、なにかを思い付いた様な独り言を呟いた様なのですが。
一体、この呟きには、どの様な意図が含まれているのでしょうか?
次回は、その辺を書いていきたいと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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