765 言葉が悪いと伝わらないもの

 ある日、クラスの嫌われ者と化している眞子に声を掛けてきた男子生徒が!!

その子は、意地悪眞子の悪態にも耐え、ある程度キッチリ対応して来たので、彼の用事でもあった『勉強を教える』事に。


それを見た他の生徒が、同じ様に声を掛けて来たのだが……


***


「なに?どうしてあなた達まで私に聞く必要があるの?……大体にして君達、誰なの?それに今まで私を無視してたんでしょ。それなのに今更、勉強を見て欲しい、って、ちょっと虫が良過ぎるんじゃない?」

「「「「「あっ……」」」」


嫌な一撃だよね。


でも、私個人としてはですね。

基本的に、極度の『構ってちゃん体質な人』なんで。

その件を聞いてあげるのは、本来なら、別に、なんの問題もなく良いんだけどね。


今のキャラ的に、こう言わなきゃならないのよ、今のキャラ的にね。



「さぁ君。時間が勿体無いから始めるよ」

「あっ……でも。他の人が」


あら、この子優しいね。



「人に便乗しようとする人達なんて気にしなくて良いんじゃない。放って置けば良いのよ、放って置けば」

「向井さん、それは誤解だよ!!俺、最初から無視なんかしてないし!!寧ろ、前から向井さんとは1度喋ってみたかったんだよ」

「だからなに?……良い?今、意見した、そこの君?この子が話し掛けて上手く行ったからって、便乗するなんて真似はミットモナイからヤメテくれない?そう言う卑怯な人って、私、嫌いなの」

「そうだけど……」

「あっ、あの、坂田君を責めないであげて。向井さんって、なんでも出来る人だから、少し話し掛け難かっただけだから」


あぁ……この傲慢な態度を、そんな風にとってくれてたんだね。


ありがとう。


でもねぇ……



「そぉ。……でも、例えそうであったとしてもね。そう言う後付けッポイ話には、なんの興味も持てないんだけど。大体にして、それを言ったからと言って、なんになると思ってるの?」


……って。

やっぱり、この意地悪眞子じゃあ、そう言わざるを得ないんだよねぇ。


いい加減、なんとかしたいんだけどね。



「あの、誤解が、少しでも解ければと……」

「ふぅ~~~……っで、アナタは、私にどうして欲しい訳?どうしろって言うの?」

「あの、出来れば、キチンと誤解を解いて欲しいなぁって」

「あっそ。じゃあ、誤解してなかったからって、どうなの?人なんて、話し掛けないと、相手の事が解らないって事すら理解出来無いの?」

「ぐっ!!……そう言われちゃったら、なにも言えないけど。向井さんも、クラスの誰にも話し掛けてくれなかったよね?……それって、このクラスの誰にも興味が無いって事なの?」

「そうね。ないわ。だから敢えて、私から、他人にアプローチを掛ける必要なんて無かったんだけど」


……嘘なんだよ。

出来れば、もっと、みんなと話したいんだよ。


けど、約束が……



「それって……私達には、そんな価値すら無いって事?」

「そうよ。私はね、同い年なのに、なにも努力しない人って嫌いなの。それに、馬鹿みたいに騒がしいのも嫌い。要約して言えば『子供っぽい人達』って嫌いなのよ」

「酷い……」

「別に酷くはないでしょ。これってアナタ方には悲しいかも知れないけど、ただの現実なんなんだから。私には、そうとしか見えないけど、それって気のせい?」

「もぅ良いよ。向井さんは、そうやって勝手に、1人で人を見下してれば良いんだよ」


決して、見下してる訳じゃないんだよ。

そう言う馬鹿っぽい行為って、出来るだけ『早くやめた方が良いよ』って思ってるだけなんだけどなぁ。


私自身が実体験で、一番それを凄く痛感してるんだけどなぁ……


言葉が悪いから、上手く伝わらないや。



「そぉ。じゃあ、人に見下されない様に頑張るわ。でも、1言だけ言って置くけど。そう言う僻んだ言葉って、一番格好悪い人間の言う『逃げ口上』だからね。此処は憶えて置いた方が良いわよ」

「なに!!」

「だって、そうじゃない。君さぁ、その言葉を言える程……今までに、なにかした?なにもしてないクセに、口だけは一人前なのね。そう言うの『話しにもならない』って言うのよ」

「ぐっ!!……るせぇよ!!ちょっと頭が良いからって調子にのんなよな」

「頭だけじゃないわ。運動神経も良いんだけど」

「うぐっ!!うっ、うるせぇよ!!同い年のクセに説教垂れてんじゃねぇよ!!」

「ハァ~、あのねぇ君、じゃあハッキリ言うけどね。そうやって僻み根性を前面に押し出して、人に難癖付けてる間は、人間なんて、なにも成長しないのよ。……そう言うの、早く理解した方が良いわよ」

「るせぇつってんだろ!!」


偉そうな事を言って、ごめんね。


怒る気持ちは、良くわかってるんだよ。


でもさぁ。

今の眞子は、そう言う子なんで……ごめんね。



「ハァ~。じゃあなんで、この子の話に便乗したの?私がこう言う人間だって事が解らなかった?君はね。ナンダカンダ言っても、自己利益の為に、私と知り合いに成ろうとしただけなの。そう言うの『考えがセコイ』って言うのよ」

「オマエ!!いい加減にしろよな!!女だからって、コッチが下手に出てりゃあ付け上がりやがって、ザケンなよ!!」

「ちょ、山西!!」


ごめんね。

とうとう怒り心頭になっちゃって、殴り掛かってきちゃったよ。


もぉ……重ね重ねごめんね。



「痛たた!!痛ったたったった……」

「えっ?」

「うそ?」

「まじで!!」


顔を殴られそうに成ったから。

その殴ってきた腕を、一旦、掴んで、そのまま立ち上がり、ちょっと捻り上げてるんだけなんだけどね。

しかも下手に力加減を誤って怪我でもしちゃイケナイから、ちゃんと手加減してるんだよ。


だから、そんなに声を上げる程、痛くない筈なんだけどなぁ……


あれ?


おかしいなぁ?



「あんまり調子に乗らないでね。アナタはさぁ。喧嘩でも、女に負ける様な無様な男なの。……情け無い人ね」

「ちょ、向井さん!!ヤメテあげてよ」

「別に良いわよ」


直ぐに『パッ』っと離したんだけど。

何回も手首と腕を振ってるって事は……ヤッパリ痛かったのかなぁ?


ごめんね。


あぁ……そう言えば!!最近、握力を計ったら50位あったんだった!!


ホントごめんね。



「痛ぇ~~~!!……テメェ、憶えてろよ」

「ハァ~、こんな些細な事、いつまでも憶えてる訳ないでしょ。女相手に、一人で復讐でも誓ってれば」

「テメェ!!」


だから!!

懲りずに、何回も殴りかかって来ないでって!!


もぉ……しょうがないなぁ。

バイオレンスな事だけは、極力避けたかったんだけどなぁ。


私としては、こういうのは、本当に不本意だからさぁ。


あんまり、やりたくないんだけどなぁ。



殴ってきた側の拳をスルーして、手首だけを、再び掴み。

相手の勢いを使って体を反転させ。

そのまま、完全に相手の腕を伸ばしきって。

回転の勢いをそのままに、エルボーを相手の顔の横で寸止めする。


当てたら、一発で脳震盪を起すぐらい大ダメージになるんだけど、流石に、それはマズイからね。

でも、回転の勢いが相当有ったのかして、風圧だけでも相手の髪が『ふわっ』て浮いたね。


当てなくて良かった。

もし軽くでも当たってたら、確実に脳震盪を起してただろうね。



「ヒッ!!ヒィ!!」

「幼稚な事は、いい加減やめてくれる?次、もし同じ事をやったら、私も、流石に容赦しないわよ」

「あっ……あぁ~~~~」


あぁ~~~あっ、考えてた中でも、一番、悪い方向に行っちゃったよぉ。

相手は、恐怖感からか、完全に『へなへな』と腰砕けになって、床に尻餅付いてるし、これを見ていた教室内のみんなも、完全にドン引いちゃって静まり返っちゃったよ。


だから、バイオレンス系は嫌だって言ったのに……


でもさぁ……ホントどうしようっか?

これってさぁ、誰が見ても、間違いなく『やっちゃった系』だよね。


とほほ……



「ハァ~、もぉ良いかなぁ?私、そこの彼に勉強教える約束をしてるの。……いい加減、邪魔しないでくれる?解った?」

「ヒィ~~!!」

「はっ、はい……すみませんでした」

「ごめんなさい」

「もぉ、今後、馴れ馴れしく話し掛けませんので、勘弁して下さい」


あぁ~~あっ……これじゃあ『奈緒ネェみたいになる』処か、クラスに降臨した、ただの『暴君』だよね。


本当の眞子は、もぉ、そういうんじゃないんだよ。


もっとみんなと普通に接したいなぁ……



「あっそ。……じゃあ、最初に私に話し掛けた君、森田君だっけ?君は、私になにが聞きたいんだっけ?」


私、ホント嫌な感じだ。


こんな事をしてて、一体、何の意味があるんだろう?


無駄なだけじゃないの?


だったら、せめて、最初に声を掛けてくれた子だけでも……



「あっ、あの……もっ、もぉ結構です。あっ、あの、勉強の邪魔をして、すみませんでした。自分でなんとかしますから……ごめんなさい、向井さん」


……えっ?


そんなぁ……

勇気を振り絞って最初に声を掛けてくれた子まで……


折角、こんな意地悪い眞子に声を掛けてくれたって言うのに……



「あっそ。じゃあ、用が無いんなら、2度と声を掛けないでね」

「すっ、すみません」


あぁ~~~っ、私の最後の希望がぁ……


私の中学最後の生活は……これにて確実に終了だね。



……ヤダなぁ。


こんなのマジで最悪だよ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


実際、眞子の言ってる言葉自体に間違いはないものの。

矢張り言葉が悪いと、相手には中々伝わらないものですね。


そして、それを見た森田君(最初に声を掛けた子)すらも危険を感じ、眞子から離れて行った様子。


そんな眞子には、もぉ楽しい学校生活を送る事は出来ないのか?


……ってな感じの状態の中。

次回は、この後、眞子が銅の様な行動に出るのかを書いていきたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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