764 勇者とは勇気のある者

 学校生活をリスタートした結果!!

ベースの呪いならぬ、素直ちゃんの呪いで……ハイ、見事に失敗!!


さてさて、この最悪な環境を眞子は打破出来るのか?


***


 ……そんな退屈な日々を送っていた、ある日の事。

これは、期末テストが明日まで迫って来た頃の話なんだけど。


此処に来て、ちょっと奇妙な現象が起こった。


みんなが、明日に控えた期末テストに向かって、昼休みも友達同士で必至に勉強をして居て、私がいつも通り『崇秀特製のテキスト』で黙々と勉強してたら。


奇跡的に、クラスの誰かが、私に声を掛けて来たのよ。


それがこんな感じ(↓)



「あっ、あの、向井さぁ。……ちょ、ちょっと良いかな?」


本当は『誰?』……って感じなんだけど。

こうやって例の2人組の『無視指令』を無視した場合、中学生活を棒に振る可能性を孕んでいるにも拘らず。

そんな危険も顧みず、ワザワザ私に話し掛けて来ると言う事は、多分、クラスメイトの誰かではあるんだろうし、かなりの勇者。


良い根性してると思う。


あぁでも……この子って、確か記憶が正しければ。

あの女子3人組の中の意地悪2人組に、いつもなにかしろのパシらされてる可哀想な男子だね。


まぁ流石に、この子の名前までは知らないんだけど、かなりナヨナヨしたヘチョイタイプの子である事は間違いない。

それにしても、女子にパシらされるだけの事はあって、ホント、どこからどう見ても『気の弱そうな感じの子』だね。


だけど、芯の部分では強さを持っている様な雰囲気はある。


なら……彼が誰であっても、話し掛けてくれるのは、かなり嬉しいかな。

私は、こう言う「周りに流されないタイプ」の子って、ついつい好印象を持っちゃうしね。



「なに?私、アナタに呼び捨てにされる憶えはないんだけど」


……そう思ってても、今の立場上、こう言わなきゃいけないんだよね。


これじゃあ、マトモに人と接せられないから『ベースの呪い』を継続してるのと一緒だよ。



「あぁ……ごっ、ごめん。あっ、あの、向井さんさぁ」

「なに?なにか用?」

「あの、あのさぁ」

「ハァ……言いたい事があるんならハッキリ言えば?まどろっこしいんだけど」


えぇっと、なんの用かな?

ちゃんとした用事があるんなら、お姉ちゃんになんでも言ってみ。


私に解決出来る事なら、なんなりと協力するからさ。


意地悪に屈せず、かなり頑張って、私を構って下さい。



「あっ、あの……あのさぁ、向井さん。……俺、数学で、どうしても解らない所があるんだけど、出来れば、その、なんて言うか、向井さんに……教えて欲しいなって思ってるんだけど……おっ、おっ、教えてくれないかな」


うんうん……そんな事なら全然OKだよ全然OK。

特に中学校の勉強の事なら、なんでも聞いてくれて良いよ。

大体の事なら頭の中に入ってるから、どんな質問にも対応出来ると思うしね。


……って、言いたい所なんだけどね。



「だったら、先生に聞けば。……って言うか。私に気安く話し掛けてるけど、アナタ、誰なの?」

「あぁ、ごっ、ごめん。知り合いでもないのに、急に話し掛けて、ごめん。俺、森田って言います」

「そうなの?まぁ、別に君が誰であろうと興味ないけど」


『っで、なにが解らないの?』

……って、本当に言ってあげたいんだけどね。

ベースの呪い成らぬ『素直ちゃんの呪い』で、そう言う優しい言葉は、今は、なにがあってもかけてあげれないんですよ。


折角、勇気を振り絞ってくれて話し掛けてくれたのに……こんな態度しか取れなくて、本当にごめんね。



「あぁ……」


あぁ……これは、今の私の言葉で、ちょっと心が折れちゃったみたいだね。


それに、例の2人組の『無視命令の件』があるから。

この行為自体、きっと有りっ丈の勇気を振り絞って、私に話し掛けてくれたんだろうなぁ。


でも、そうなると、下手したら、この子にまで『無視指令』が出される可能性がある。


流石に、それは、なんか可哀想だよね。



「ハァ~~……ねぇ君、森田君だっけ?」

「あっ、はい、なっ、なんですか?」

「さっき数学で、なにか解らないって言ってたけど、一体、なにが解らないの?」

「えっ?あっ、あの、むっ、向井さん。おっ……教えてくれるの?ひょっとして教えてくれるの?」

「教えるのは一向に構わないけど、必ず一回で理解してね。何回も教えるのは、流石にお断りよ」

「えっ?あっ!!うん!!ありがとう向井さん!!」

「「「「「!?」」」」」


まぁまぁ、そんなに堅くなって、心配しなくても、ちゃんと解るまでキッチリ教えてあげるからさ。


その辺に関しては安心して♪安心して♪


それに君は……他の子達と比べて、虐めの命令に屈しなかったから勇気があると思うしさ。


なんなら全教科みてあげるよ。


……にしても。

私が『森田君の勉強を見てあげるよ』って言った瞬間から、教室が、なんか妙にザワザワとざわめいてるね?


なにこれ?

みんな、急にどうしたんだろうね??



「あっ、あのさぁ、向井さん。出来れば俺も、数学を教えて欲しいんだけど」

「あぁ、だったら序に俺も俺も」

「あっ、あの、私も教えて貰って良いですか?どうしても解らない所があって」

「あの、私も、是非、教えて貰いたいんですが?」


はい?


なになに?

今まで話し掛けられた事もない様な子が、男女合わせて4人程来たんだけど……なに?どう言う事?


これは、何が起ころうとしてるの?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


最悪な状況の中、とうとう眞子にとっての救世主とも言える勇者が現れましたね!!

そして、眞子と勇者との話を聞いて、周りの生徒達も眞子の元に駆け寄ってきてくれた感じ♪


これは眞子にとっての好転の兆しか!!


っとまぁ、そんな中。

次回は、この事の顛末を書いていきたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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