758 拒絶から発展する物

 素直ちゃん、木根さんに引き続き。

とうとう山中君にまで拒絶の意を示し、三下り半を下した眞子。


そして、その昼休みの出来事も終わり、放課後へ……


***


 ……やっと煩わしい時間が全て終わり、放課後にもなった。

今日も、この後、ライブのHELPを入れてはいるんだけど……昨日の凄惨なライブを思い出して、行く気には全くなれないなぁ。


勿論、ライブハウスに行ったら、ちゃんと全力で演奏をする気では居るんだけど。

また昨日みたいな悲惨なライブだったら、この落ち込んだ気持ちが、余計に気落ちするだけだもんねぇ。


なんか面白い事ないかなぁ?


そんな事を考えながら教室を後にしたら……



「なぁ」


まただ。

コチラは一切関わり合う気がないと言う意思表示をしてるにも掛からわず。

またしても山中君が、廊下に出るなり話し掛けて来た。


もぉいいって言うのに……ちょっと、お節介が過ぎるんじゃない?


大体にして、なんで、そこまでして私に構う訳?

そんなに素直ちゃんに『良い様に見られたい』んなら、別の方法を考えた方が良いと思うよ。



「なに?」

「アリスから事情は聞いた。さっきは、なんも知らんかったクセに、余計な事を言うて、ホンマ、すまんかった」

「別に、なにも気にしてないよ。……用件はそれだけ?」

「いや、ちょっとやな。俺に時間をくれへんか?ちょっとだけ付き合ってくれへんか?ホンマ、ちょっとでえぇから」

「ごめんね。そう言うの興味ないから、遠慮しとく」

「頼むわ!!」

「ごめんね。本当に興味ないから」

「頼むって!!この通りや!!」

「ハァ……もぉなに?私に、そこまで懇願する様な用事ってなんなの?申し訳ないんだけど、私、この後、ライブあるんだけど」

「解った。ほんだら、そのライブのチケット10枚買うから、ちょっとだけ付き合ってくれ」

「買うも何も、チケットなんて、もぉ既に『ソールド・アウト』で無いんだけど。……それ、どうやって買うの?」


ホント、なにがしたい訳?

友情ゴッコや、恋愛ごっこがやりたいんなら、他所でやってくれれば有り難いんだけど。


出来る?



「そうなんか。……そやけど頼むわ。ホンマ、頼むわ」

「だから、それはなに?山中君が、そこまで素直ちゃんの為にする理由って、なんなの?素直ちゃんの事でも好きなの?」

「あぁいや……正直言うたら、それは確かに否めん話やけどやな。アンタが、そないな態度を取る意味が解れへんねん。どないしたんやな?」

「別にぃ」

「そんな事あらへんやろ。前にアリーナで一緒に演奏した時の眞子ちゃんは、そんな子やなかったで……アメリカで、なんぞあったんか?」

「答える義務は無いんだけど」

「そやけど。一緒に演奏した仲やんけな。そんなん言いなや」

「それ……ただ一緒に演奏しただけでしょ。別に、仲とか関係なくない?」


時間が勿体無い。

これなら、しょうもないライブでもやってる方が数倍マッシ。


だから、さっさと諦めてくれない?

素直ちゃんにも、山中君にも、当然、木根さんにも全く興味がそそらないから。



「なぁ、こうしてる間にもやな。ホンマ、直ぐに終わる様な話なんやて。頼むから10分だけ付き合ってくれや」

「じゃあ、歩きながら話は聞くけど。なんでそこまで私に構う訳?1度演奏しただけなんだから、そこまで想われる様な憶えは無いんだけど」


そう言って、教室から荷物を持って、校門に向って歩き出す。


門を出たら、流石に諦めるでしょ。



「別に大した理由は無いんや」

「じゃあ、構わないで。……大した理由が無いんだったら、構う必要ないでしょ」

「そう言う事を言いないな」

「じゃあ、なに?」

「いや、あれやがな。実はやな。アリスが、眞子ちゃんの歓迎会を用意しとんねや。今日、それを言いに行って、アンタに疎遠に扱われたんや」

「あっそ」

「『あっそ』って、なんやねんなぁ?そんな言い方はないやろ」

「じゃあ、なんて言えば良いの?此処で感動して見せたら満足してくれる訳?」


昨日、あれ程『関わらないで』って言ったのに。


あの子……ホントに、なにを考えてるんだろ?

そう言う余計な事は、私にとっては迷惑なだけなんだけどね。


あれだけ言ったのに、まだ解らないのかなぁ?



「なぁ、眞子ちゃん。そう言う言い方したったら、身も蓋もないやんけな。アリス、必至に頑張って用意したんやで。そんなん言うたったら、可哀想やんけな」

「チッ……」

「なんや?なに怒ってるねん?」

「あのさぁ、いい加減にしてくれないかなぁ?そんなツマラナイ事をする暇があるんだったら、練習の1つでもしたら、どぉ?そう言うの迷惑なだけなの?ホントやめてくれる?」

「ちょっと待てや。なんちゅう言い草や、それ?歓迎されんのが、そないに迷惑か?」

「迷惑だって最初から言ってるじゃない。なに聞いてたの?嫌いなの、そう言うの。気持ち悪いの」

「オマエ……ホンマに、マコの親戚か?アイツやったら、間違うても、そんなアホ事は言えへんぞ」


そうじゃないでしょ。


アンタ等の演奏レベルがアップしてないから。

そんな意味のない事に、現を抜かしてる暇があるのかって聞いてるの……わかる?


それに、そんなヤル気の無い人達と付き合う気はないって言ってるの……わかる?



「あぁっそ。じゃあ山中君の感覚だと、親戚だったら同じ様な思考になるんだね。けど私は、真琴ちゃんじゃないの、わかる?」

「血が繋がってるんやったら。多少はそう言う同じ気性があっても、おかしないやろ」

「もぉ、じゃあハッキリ言うから、諦めてね。私は、アンタ達とツルム気は無いの。仲良し子吉がしたいんなら。勝手にすれば」

「その言い方……オマエ、ひょっとして、俺等が遊んでバッカリやと思っとるんちゃうやろうな?」

「思ってるわよ。事実、3月29日、素直ちゃんのライブは酷かった。及び30日に山中君、嶋田さんって人の両名の演奏してるのを聞いたけど。この2人は、なにも進歩していなかった。……そう言うの崇秀に迷惑が掛かるから、ちゃんと自覚してね。若しくは、ヤル気が無いんだったら、サッサと芸能界を引退すれば」

「『秀』やと……なんやオマエ、秀の事が好きなんか?」

「そうね。好きよ。だから、使えない奴の友達になるなんてお断りだわ。『迷惑だから、私に2度と近付かないでね』って言いたいの。わかった?……じゃあ、もぉ帰って良い。残った人達で仲良くパーティでも、なんでもしてれば良いじゃない」


丁度、校門に着いたので……帰らせてね。


迷惑この上ないから。



「……オイ、ちょっと待てや。オマエの腕が、どれ程のもんや言うねん?そないな事ほたえる程の腕なんかい?人が下手に出てるからって、あんま調子のんなや」

「別に乗ってないけど。……自分の腕ぐらいは、心配しなくても自覚してるから」

「そやけどなぁ。オマエの言い方は、完全に人見下しとるやないか。なめとんかコラ」

「別にぃ。事実を言ったまでじゃない。なに熱くなってるのよ?」

「さよか。ほな、その事実とやらを、オマエの腕で示したれや。納得出来たら、引退でもなんでもしたるわ」

「あっそ。じゃあ、その話には乗ってあげる。但し、パーティには参加しないわよ」

「オマエみたいな、高慢ちきな女要らんわ!!終わったら、さっさと帰れや」

「あっそ」


ツマラナイなぁ。


なにを、そんなにムキになってるの?


そんな風に引退を考える暇が有るんだったら……練習すれば。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


徹底的に必要ない人間関係を排除しようとする眞子。

そしてそれが原因と成って、とうとう揉め事までに発展してしまったのですが……その結果は如何に!!


次回はその辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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