754 配慮
転校初日から、クラスメイトだけに留まらず、素直ちゃんにすら拒絶に態度を示し続ける眞子。
そしてトドメに、駅まで送ってくれ様とした素直ちゃんに対して……
***
……相も変わらず、良く喋るね。
学校を出てからっというもの、私にとっては、まったく意味の無い言葉がズラズラと素直ちゃんの口から飛び出して来る。
しかも呆れる位、楽しそうに良く喋る。
それにしても、この子……一体、なにが、そんなに楽しいんだろ?
そんな風に楽しそうに話してる所で非常に悪いんだけど。
そう言う、どうでもいい話って、私、あんまり興味ないんだけど……
もういい加減、黙ってくれないかなぁ?
「あっ、あの……眞子ちゃん?」
「なに?」
「なんか、前とは随分と雰囲気が変わっちゃったね」
「そぉ?」
なんで私が不機嫌なのか、この分じゃあまだ気付いてないみたいだね。
まぁ確かに、最初学校に行った時は、クラスでの好感度とかを考えて出来るだけ良い子でいるつもりではあったから、雰囲気が変わったと言われればそうなのかもしれないけど。
あんな馬鹿で、子供っぽい連中の好感度なんて上げても、なんの意味があるって言うの?
そんなのなにもないじゃない。
さっき、心底それを思い知らされたからこそ、今はこう言う態度を取ってるの。
それに、この素直ちゃんの好感度を上げた所で……なんだって言うの?
変に信用されても、奈緒ネェの時みたいに、家に押しかけられて無駄にツマラナイ愚痴を一杯聞かされるだけなんでしょ。
そう言うリスク塗れの話は、もぉ絶対に本気でお断りしたいしね。
大体にして、そんな些細な相談ぐらい……人に相談せずに、自分で解決すれば良いじゃない。
「あの、眞子ちゃん。……僕と一緒に居ても楽しくないの?」
「別にぃ」
「ひょっとして……僕の事が嫌いになったの?」
「別にぃ」
「じゃあ、なんで、そんなに冷たいの?なんか変だよ」
「別にぃ。いつもと一緒だけど」
「あの……眞子ちゃん」
「なに?」
「あの、良かったら。今日、今から家に行っても良いかな?」
「ごめんね。忙しいから来ないで」
勘弁して……これ以上、今同様の訳の解らない話をダラダラされてもねぇ。
そりゃあ、話してる素直ちゃんは満足なのかも知れないけど、私には不快としか感じないだけだから……
絶対に、なにがあっても家までは付いて来ないでね。
「あの……あの……」
「今度は、なに?」
「あの、ごめんなさい……」
「うん?なんで謝るの?別に、素直ちゃんに謝って貰う様な事、なにもないんだけど」
「あの……眞子ちゃん」
「だから、なに?」
「あの……あの……」
「ごめん。用が無いんだったら、帰るね。……バイバイ」
もぉ、いつまでも素直ちゃんに構ってらんない。
これ以上、ウジウジウジウジと論点の纏まらない話をされるのもウンザリ。
面倒臭いにも程がある。
だから、出来れば大事な用事でも無い限りは、今後一切、学校でも馴れ馴れしく話し掛けない欲しいもんだね。
そんな戯言に付き合う暇なんてないから……
「待って!!」
「だから、さっきからなに?まだ何か用事なの?」
「どうしちゃったの眞子ちゃん?そんなの眞子ちゃんじゃないよ」
「ハァ~~~、じゃあ、逆にお聞きしますけどね。その『そんなの眞子ちゃんじゃない』ってなに?なんなの?」
「えっ?」
「素直ちゃんが、私をどう思おうと勝手だけどね。そういう勝手な幻想だけで、私を見ないでくれない。それとも私は、素直ちゃんの理想通りの人間を演じ続けなきゃいけないの?」
「あぁ……そうじゃなくて」
「それに私は、年末に両親が無くなった所だし、行方不明になってる真琴ちゃんの事も考えなきゃいけない。そんな事で頭の中がいっぱいなの。それを考慮した上で、さっきの発言をしてくれてたのかな?」
「あっ……」
「だから悪いんだけど、今の私には素直ちゃんの意味の無い話に付き合ってる余裕なんて無いの。……わかる?いい加減、これ位なら解ってくれるよね?」
「……ごめんなさい」
「そうだね。そうやって自分事ばかりを楽し気に話す暇があるんだったら、ちょっとは、私にも気を遣って貰えれば有り難いんだけどね。自分がそんな態度なのに、相手には理想を押し付けるって、どんな神経をしてたら、そんな事が言えるの?まともな人間の思考じゃないよ、それ。……言いたい事はそれだけ。これで私が不機嫌な理由も解って貰えたと思うから、じゃあね。さようなら」
「あっ……ごめんなさい。でも、眞子ちゃんに久しぶりに逢えて……嬉しかったから」
「あっそ。良かったね。じゃあね」
「眞子ちゃん……」
果てしなく面倒臭い子。
これだけ言っても、まだそんな風に自分の感情の話をしてくるなんて信じられない。
もぉこんな調子が永遠に続くんなら、今後、素直ちゃんには一生私に関わらないで欲しいなぁ……
別に私にとって、素直ちゃんの存在って言うのは、そんなに『必要な存在じゃない』から。
って言うか寧ろ私は、奈緒ネェと、崇秀の為にだけ生きるんだから、アナタになんか構ってる暇なんてないの。
……ごめんね。
そう言う馴れ合うだけの友達が欲しいなら……他所を当たって。
私は、泣きそうになってる素直ちゃんを無視して、そのまま改札口を通り抜けた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
どうやら、眞子が素直ちゃんを拒絶している理由は。
「彼女の配慮や思慮の無さ」を感じて「彼女は【大切な】友達ではない」っと判断してたみたいですね。
まぁ言ってる事自体は、ある程度は理に適ってるとは思うのですが……まだ素直ちゃんは中学生。
自身のテンションが上がってしまうと、中々制御しきれない面もあると思いますので、少し可哀想な気がします。
ただ、そうは言っても眞子も同級生なので、素直ちゃんも『やって出来ない事はない』とは思うのですが。
如何せん眞子は『精神年齢の高い友人』や『アメリカで大人と接し過ぎた為に』幼稚な考えの人間を嫌う傾向が出て来てしまったみたいですね。
さてさて、そんな中。
眞子は、素直ちゃんを駅の近くで放置して家に帰った訳なのですが。
この後、一体、どの様な行動を取る様に成っているのか?
次回は、その辺を書いていきたいと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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