第16話 みぞな救出大作戦

「まだないな」板倉はそう話す。


「だったら。懺悔を込めて、俺らで助けに行こうぜ」

「なんだ? ボランティアか?」

「いや、今、不登校中の『河愛みぞな』を助けに行くんだよ。あいつは父親に監禁されているらしい」


「……マジか。どうしてその情報を」

「女神が教えてくれた」竹山は笑いながら話す。


「つまらない冗談だな」

「お前のいじり……。よりかは面白いぞ」

「そうだったな……。俺もいこう。散々、河愛もいじったからな。懺悔するときさ」


「ありがとうな。それじゃレベッカ行こうか」

 竹山は板倉じゃない方向を見る。赤髪はその光景に察した。

「え? ガチでいるの?! それだったら信じるか……」


 板倉は驚きながらも黒髪のことを信じていた。

 その光景をレベッカは微笑みながら話しかける。


「……彼も本当は優しい人なんですよね」

「知っていたのか。レベッカ」

「ええ。だって板倉さんは――。いや。なんでもありません。河愛さんを助けに行きましょう」


 竹山は不思議そうに考えるもそういう暇はないと考えをやめる。

 彼は女神に質問する。


「レベッカ。みぞなの家の場所わかるか?」

「ええ、わかりますよ。このアイテムを使えば五分で着きます」

 ノースリーブの彼女はカバンから最新ゲーム機のような道具を出す。


「ありがとうな。早速いくぞ!」

 にっこりと笑う青年を見てレベッカは真剣そうな表情で目線を送る。


「――何度も言いますが、これを使うことによって、もっと大きくあなたの未来が変わりますけど、それでもいいんですか」

「かまわない。だって漫画家になれるのに、年関係ないからな」

「……どこまでも楽観的な人。そういうほど、生き残りやすいんですよね」


「なにか言ったか? まぁ聞こえていたからいいが、漫画業界にだろ? さぁ、いくか」

「はいはい。わかってますよ」

 

 レベッカは彼らに口頭で道具の使い方を説明する。

「操作方法はこの時代のゲーム機と同じようなものです。この道具についているコントローラーのタッチパネルで場所を――」

「もう時間がないから、みぞなの家の場所検索できるか?」


 竹山は焦りながらホットパンツの女性に口を動かす。

「――私が操作しますので、あなたは準備してください」

 竹山は「わかった」といい。準備体操をし、みぞなのことを心配する。


「ちょっと。俺も手伝ってもいいか。場所ならわかる」突如。板倉は挙手し、女神の方にいく。

「ええいいですよ。二人のほうが効率良いですしね」

 レベッカはニッコリとしながら、共同作業した。

「それと。竹山さんはこれを持っていって下さい」


 彼女は、なにかを渡した。


「……これは。ふっ、わかったよ」

「ありがとうございます。そろそろ。河愛さんのところにいけます」

「了解。二人ともありがとうな。ところで板倉はあいつの家知っているんだ?」


「たまたま。ダチと河愛の家を見かけたんだ。それでさ」

「なるほど。本当に助かったよ!」


 竹山は頬を二回ほど手で叩きながら、覚悟を決める。

「まってろ、みぞな。俺が救ってみせるからな」


 


 その頃。みぞなは、空腹で今にも倒れそうだ。しかし、彼女の父親はご飯を与えない。

 理由は極限状態によって脳を活性化する間違った科学本を父親は読んでしまい。少女は苦しんでいた。


「お父さん。おなか空いてもう限界……」

「何言っている! お父さんはお前のことを思って、空腹状態にしているんだ。もしかして俺のことを愛してないというのか……?」


「そ、そんなことないよ。お父さんのことは一番だと思っているよ……」

「だよな。よかった。俺のことを愛していないかと思ったよ」


 みぞなの父は娘を抱きかかえる。

「俺もみぞなのこと愛している……。だから俺も娘のために頑張るよ」

「……わかった」


 彼女はなにか言いたそうな雰囲気を出していた。

 そのとき。家の中から黒い星の形をしたものが現れ、父娘は困惑する。


 すると、星の亜空間から制服を着た男子が登場した。竹山真蔵たけやましんぞうだ。


「助けに来たぜ。みぞな!」

「しんぞー!」彼女は嬉し涙が止まらないほど喜ぶ。


 そう、この黒い星は女神の道具で作られたもの。彼はそこからみぞなの部屋まで行けたのだ。

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