第15話 感情がぶつかり合う
「お前は……? なんだって言うんだ? 板倉」不思議そうに話す竹山。
「お前はいままで上から目線な態度が気に食わなかったんだよ!」
板倉は嘆くように声を上げる。そのまま感情を高ぶりながらしゃべり続けた。
「確かにこの件は俺が悪かった。だけど、お前が一切悪くないとは限らない」
「どういうことだ?」
「散々鼻につく態度が気に入らなかった。イキっているというか、自分が優れていると、勘違いしているんじゃないのか?」
「なんだ? 俺はお前らにひどいことされたんだぞ」
「今まで、竹山の行いが正しかったか? 俺の連れに対してひどいこと言ってたんじゃないのか?」
「――」黒髪の男子高校生はなにも言えなかった。
「俺のダチが不登校になった。どうしてかって? お前が偉そうな評論したからだ」
「ダチ……評論……? 覚えてないな」
「不登校になったダチは脚本家志望だった。だが、お前が批評したせいで、あいつは学校へ行くのをやめたんだ!」
「……それは悪かった」
「それだけじゃない。脚本家について悪く言い、彼の心をへし折ったんだ」
「……それで俺をいじったんだな」
「ああ、ダチを馬鹿にしたからな。なんて言ったかわかるか?」
板倉は一呼吸いれながら、感情を込め言葉を吐く。
「こう言ったんだ。『活字に逃げた負け犬のくせしてつまらない作品書くなよ。俺みたいな漫画家志望をリスペクトしろ』とな。批評した作品はあいつにとって最高傑作だったんだ」
「そうか、すまなかったな。謝る。あのときは自分に酔っていたんだ」
「だからといって。俺はどうも思わない。学校に行ってない間。あいつはコンクールに応募し、自力で脚本家になったんだ。恨む必要がない」
「いや、恨めよ。これは俺の責任だ。俺のせいで体型のこといじったのなら、しょうがないこと。だから殴れよ」
「……でも、俺にも竹山をいじりすぎた。過剰な正義だ。だから殴らない」
「ダチのことなんとも思わないのか」
「思っているからこそ。暴力で解決しないのさ。俺も深く反省しているし、殴られた。そしていじった理由も話した。もう用はない。今までいじめて本当に悪かった」
「……そのダチの名前って教えてくれるか?」
「『
彼はおどろいた。将来映画化で大ヒットする脚本家兼小説家の人だからだ。
「嘘だろ……。あいつが売れっ子に……」
「俺も驚いたよ。まさか小説も売り出したなんてな。あいつは文才があったから」
「……くそ。俺はなんて才能がないんだよ! 俺だって漫画家になりたかったよ!」
竹山は悔し涙を流しながら、声を出す。
情けない姿のモヤシ男子を見て、板倉は彼に近づき、胸ぐらをつかむ。
「こいつは必死で努力したんだ。お前と違ってな。だからお前も人を見下すんじゃなくて、人のために助けるように努力しろよ! 俺はお前のアイデア、心の奥から大好きだ!」
と、いい。赤髪でツンツンヘアーの青年は、手を離す。
「あぁ。頑張りたいが、他にやるべきことがあるからできない」
「どういうことだ? もしかして言い訳か?」
「お前さ。人を助けたいと考えたことないか?」
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