第3話 それでも学校に行く

「……嘘だろ。最悪な時期じゃないか。ざけんじゃないぞ!」


 青年は怒りを覚える無理もない。散々竹山をいじってきた奴らが平然といる。


「なんで……、なんで。こんなクソみたいな時代に連れてきたんだよ!」


 彼が近所迷惑になるほど、声を上げると。ドタドタと部屋の外から音が響く。ドアが開いた。


「うるさぁぁぁい! 真蔵しんぞう! さっさと学校に行きなさい!」竹山の母が彼に対して注意する。


「お袋……学校に絶対行かなきゃいけないか?」

「当たり前でしょう! 別に休んでもいいけど、今日行けば明日休みだから、行ってもいいんじゃないの?」


「……確かに、今日は休み前だけど。行くのがめんどくさくて」

「そういう理由なら行きなさい!」

 母の力強い雷が轟く。竹山はしょうがなくクローゼットを開け、制服に着替える。


(行きたくないけど、行くしかないよな)


 彼は重い腰を上げて、高校に向かう準備をする。教科書をカバンにいれる途中。ボロボロなノートを見つけた。竹山はパラパラと読む。


「ああ、これか。懐かしいな……」ノートをしまい。彼は朝ご飯を食べに行く。


 朝支度をすませ、どんよりとした空気の中。サーカスのむりやり芸を仕込ませるライオンのように歩む。


「これはどういうことだよレベッカ。いるなら返事をしろ」

「はいはい、いますよー。最初に言ったじゃない。夢を叶えるための試練だって」


「いくらなんでも険しすぎるだろ! ほぼアマゾンの奥地に探索するもんだろ」

「例えが上手くないですね……」

 レベッカは『やれやれ』と呆れながら言葉を吐く。


「うるせえ! 今の状況ではこれが限界なんだよ!」

 竹山は血管を浮かべながら突っ込む。


「限界の中、生み出す力は素晴らしいです! 才能ありますよ」

「俺を馬鹿にしているのか。自称女神さんよー」


「侮辱することはしてません。逆にそう思っているあなたの方が、馬鹿にしている気がしますよ」

「だまれ! こんな時代に連れ出したのはミスなんかじゃないのか?」

「いえいえ、ちゃんとこの時代で合ってます」


「合っている……。まさかクソみたいな奴らと仲良しこよし、するわけじゃないよな」


「うーん。それは違いますのでご安心を」


「……それならいいんだが、それなら」


「ほら! 楽しい楽しい学校が見えてきましたよ! ほらほら早く早く」

「楽しくなかったんだよ! 部外者が!」




 彼の学校は普通科で全日制だが、不登校の子も結構いる。理由は、この学校では陰湿ないじめが存在しているからだ。

 主にスクールカーストトップの生徒が、人のことを平気でいじってきたり、煽ったり、人を馬鹿にする態度。数え切れない悪事を働いていた。


 学校にいけなくなった生徒たちは教師にもいえず、ひたすら部屋に引きこもっている。

 最低な学校だった。竹山は後でこう語っていた。

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