少女は天使のように微笑む
「こ、これは、あのときなくしていたペン」
「すまんすまん。これをあのとき渡せなくて、このタイミングになってしまった」
「いやいや、大丈夫さ。確か無くしたときは、お前の娘が生まれたぐらいだよな。お子さんは元気か?」
「ああ。元気さ。私に似て、しかも可愛いんだよな~」
「俺が手伝った甲斐あったようだな。お前の──」
女性は切れながら胸ぐらを掴む。
「お前の……? なんのことだ。またキモい発言じゃないよな」
白衣の男性は焦りながらこう喋る。
「えーと、お前の……頑張りもあったから今があるって事を言いたかったんだよ。母は強しってね」
「あのときは本気できつかったな……だが、娘に会えてうれしさが勝ったかな」
「ああ。俺も嬉しかったよ……」
二人はしみじみ思う。
「なんだか
「まぁ、旧友ならこういう態度も取るんじゃないかな? はっきー」
「……そう言うものなんですかね。俺、友達が一ノ瀬さんしかいないから」
「お、嬉しいこと行ってくれるじゃん。オレちゃんもはっきーのこと親友だと思っているぜ~」
彼らは軽く抱き寄せながら友達のようにじゃれ合う。
「なんだか、この二人も良い感じの関係性だな。いつかは二人の──」
「二人のなんだ? 上坂……!」
「いやなんでもないです……本当にすみませんでした」
「そうか、まぁビンタぐらいで許そう」
依頼主の女性は力強くひっぱたく。
「あの? 要件は済んだでしょうか? そろそろ帰ろうかなと思いまして」
銀髪の青年は依頼主の女性に呼びかける。
「それもそうね。この人に汚い顔も見たし、娘の心配しているようで帰りましょう」
華南は帰る準備をする。そのついでに
「ねぇ、この子達には私のことにも言わないでね」
「ははは、そんなこと言わんさ。友達だろ?」
「まぁ、そうだけど。心配で……」
「大丈夫さ。言うとすればお前の娘が亡くなった
「……そうだけど」
「だから、娘のために生きろよな。俺のかけがえのない友人さん」
「ええ、だけど。知らない女の子に変なこと言わないでね!」
「……そこは気をつける」
旧友同士の彼女たちの会話が終わり、
「待たせたわね。さぁ、いきましょうか。」
「何か話してたんです……いや深いところは聞かないでおきますね」
「気遣ってくれてありがとうね。じゃあね、上坂。またいつか」
「あぁ、お前も長生きしろよ」
その頃。
それを心配した霧山さんは声を掛ける。
「なぁ。そのケーキ食べないのか?」
「食べたいけど、少し待ってから食べたいかな」
「……ぬるくなっちゃうよ」
社長は心配そうに伝えた。
「私は一人で食べるケーキよりも、みんなと食べるケーキが好きだから。だからお母さんがいるとき食べるの」
「そうか……、ところで廿月はどこにいるんだ? 探してもいなくて」
「それなら私が依頼してお母さんのほうに言ってるわ。大丈夫依頼金は渡している」
「そんな勝手なことして……」
「勝手かもね。ただお母さんが心配だったから。お父さんはいなくて」
「……そうなんだね」
「私は女の人はお母さんしかいないけど、男に依頼したのは初めてなの。廿月さんならそう言うことできるなと思って」
「……あいつはやればできる子だからな」
「後は単純に馴れ馴れしい女が信用できなかったのもあるけど」
「
「でもね。人を信じるってこんなに安心するものなんだなと感じた。廿月さんならお母さんに変なことしないと信じているわ。馴れ馴れしい女は知らんけど」
「ははは、それならいいんだよ。ちょっと待って。電話かかってきた」
霧山さんは受話器を取る。
もちろん帰りはタヌキタクシーで、社長はオレンジ髪の少女に伝える。
彼女は激しく喜び。母親の帰りをしばらく待つことになった。
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