黒墨親子の依頼
依頼主の旧友
彼らは
「久しぶりのお客さんだ。霧山さん。喜ぶだろうな」
「ああ、そうだな。でも一週間前ぐらいだから、そこまでじゃなくない?」
「そうなんだけど、それまでずっと忙しかったから」
「そういえば、ここ一週間は店掃除ばかりだったな」
「うんうん、だから久しぶりだなーと」
何でも屋の労働者たちが話しているとき、助けた親子同士で会話する。
「ねえ、えりちゃん。なんでママちんと言わなかったの?」
「誰かわからない人に、そんな呼び名を言えるわけないじゃん……」
「ふふふ、可愛いんだから」
「私は美人なママちんの子どもだからね。可愛く生んでくれたママちんに感謝だよ」
「あらあら~」
とてもほんわかな内容を話すと
「そろそろつくよ。歩き疲れたでしょう。ついたらゆっくり休んでね」
「ありがとう、やさしいのね」
「いえいえ」彼は微笑みながら言葉を返す。
「ちょっとまって! これは女の勘だけど、この男はお母さんのこと狙っているんだよ!」
「そ、そんなことないんだけど……」
「口では何度でも言えるからね。男ってオオカミだから」
「うーん。違うんだけどな」
「えりっち〜そういうこと言っちゃいけないんだぜ〜。女同士の約束でもしようか」
「馴れ馴れしく言うな! 馴れ馴れしい胸デカ女!」
オレンジ色の髪をした少女は目をギラギラさせながら切れている。
「えりちゃん! 相手に失礼でしょう。私のことを守ってくれて嬉しいんだけど彼に謝って」
「……ごめんなさい」
「いいよ、もう慣れっこだから」
彼は謝る少女に対し気にしない様子だ。
「いやー、はっきーは聖人だなー。オレちゃんより心きれいなんじゃないか?」
「いやいや、一ノ瀬さんの方が心きれいだよ」
「またまたー、はっきーはお世辞うまいんだから-。オレちゃんなんてアイドル志望だから裏の世界を知りすぎているから。心は汚れているんだぜー」
「知ってなお、俺にやさしく接しているから。きれいだよ」
2人の会話に
「さぁ。着いた。これからオレちゃんが言っとくから待っていてね」
金髪女性はそのまま何でも屋にドタドタと走った。
三人きりになったとたん。華南は
「そういえば、
「いえ、珍しいほうの
「そうなんですね。二十日ではなく
そのとき、
「
「……そうだね」
「だけど、私も『
オレンジ色の彼女は照れながら、お母さんの方を向く。
「うふふ、嬉しいこといってくれるんじゃないの。えりちゃん」
「う、うん」
親子の掛け合いに微笑ましく見る廿月。
すると、
心配そうに
「どうしたんですか、
「すまない! 鍵をなくしてしまって。親友のカバンにそれないか……?」
「鍵……。たしかあるはずですけど。どうせならそのまま行きますよ」
「でもサプライズゲストとしてお客さんを呼ばせたいなと考えてて」
「いやいや、お客さんを待たせるのはどうかと」
「……それもそうだな。んじゃ
オレンジ髪の少女は心の中で、
(お母さん達をサプライズゲストとして待たせるスタッフどこにいるのよ! 馴れ馴れしい胸デカ女!)と、また頭が火山のように爆発させるよう、感情的になる。
「
「……怖いけど悪い話から」
「すまない、買ったもの全部台無しになったぜ」
「……お駄賃はなしな。いい話は?」
「お客さんを連れてきたぞ」
そして
「前言撤回。お駄賃を4倍だそう」
「やったー!」
「良かったですね。一ノ瀬さん」銀髪の青年は微笑みながら彼女らを見続ける。
「この人たちは姉妹かな。とても美人な方たちで……」
霧山さんは
「ふふふ、私たち親子なんですよ」
「ええ! 親子なんですか? お母さんが若くて知らなかったです!」
「そんなお世辞を言わないでください」母は細かく笑いながら照れる。
「いえいえ、私は心から褒めているんですよ」
「ふふふ、ありがとうございます」おじきをする美人な母親。
その光景を見た
「はっきーオレちゃんたちが能力者ってことは内緒にした方がいいんじゃないか?」
「……一ノ瀬さんどうしてですか?」
「オレちゃん少し気になったんだよ。もし
「うーん……。でもいままで能力を出していたじゃないか」
「だけど、はっきー。それは具現化したアニメが、オレちゃんたちについている、という口実として発動しているわけで。能力を知らない人がみたら通報ものだぜ」
「確かに……」
「それにオレちゃんの生まれ故郷で発動したら驚く人がいっぱいいて、大変だったことがあるから、この能力はなるべく隠しているんだぜ」
「言われてみれば、隠すように仕向けていましたね」
「だろ? だから隠したほうが──」
すると、社長は
「そういえばこいつらはアニメの能力を使えるから、何かあったとき頼ってくれ」
彼らは目を丸くして顔が崩れる。社長がベラベラと話したからだ。
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