第36話

「ありがとうお兄ちゃん」


 たしかに助けた。たしかに。だが


「あのさ、どこまでついてくるき?」


 さっきから、まるまる2時間俺についてくる


「私もう一人は嫌だから」


 両親が死んだ……か


「俺に両親は居ない……いや細かく言えば、捨てられたからなお前の気持ちはわからない」


でも親しい人を失ったことはある


「でもさみしいのは嫌だもんな。危なくなったら逃げろよ?」


 俺も、そうだったからわかるのかもしれない


「うん!」


 そう頷いていた


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 カットリ


「これは……博士銘柄のタバコ」


 言うべきか基本的に、ハンガーのゴミ箱は1年に一度くらいしか、捨てない


「となればやはり」


 その時カットリは確信した。赤石殿を殺した存在、そして……ここのカメラを編集できるほどの存在


「へぇーたどり着いたんだねぇ…それだけでさ?」


「主だったのでござるな博士殿」


 ハンガーにエントリーしてきたのは、誰でもない博士であった。


「しっかし、あんたにバレると面倒なのよねいろいろと」


 カットリのやるべきことは、その瞬間決まっていた。


「ドーモ。ハカセ=サン、カットリデス」


 それは、目の前の博士を倒すことである。


「いきなりどうしたの」


「なに忍びの心を取り戻しただけにござる」


 そして……カットリは、持っていた刀を抜き。戦闘態勢に入った


「ならその心、刃できってあげるよ!」


 白衣をまとい、不気味に笑う「ハカセ」。体は流体のように揺れ、形を自由自在に変化させている。


「カットリ、君はここで終わりだ」


 ハカセは笑った。その体は螺旋を描くように伸び、鋭利な刃物や触手の形に変化していく。


「私の科学の力の前では、刀など無意味だ!」


 カットリは言葉を発しない。ただ一言、


「……フッ」


 鼻で笑うだけだ。


「実験体として君を使うとするかな!」


 ハカセは叫び、触手のような腕を勢いよく伸ばした。鋭い刃がカットリに迫る。しかし、


「拙者も滑られたものでござるな!」


 カットリは素早く側転し、攻撃をかわすと同時に間合いを詰める。刀が閃き、ハカセの腕を一閃した。


「なんでござるか、違和感が」


 斬られた腕は瞬時に液状化し、再び形を取り戻した。


「フフフ、無駄だよ!」


 ハカセは液体の体を地面に広げ、足元からカットリを包み込もうとする。


「……そうでござったか」


 カットリは低く呟きながら跳躍。刃を握る手に力を込めた。


「体を変形できる……それで赤石殿も」


 ハカセの全身が液体の渦と化し、カットリに向かって突進してきた。その形状は次々と変わり、槍、鞭、鋭い刃へと姿を変え続ける。


「気づいても遅い!」


 しかし、カットリの動きは止まらない。渦の中心を見極めるかのように、鋭い一閃を繰り出した。


「ハァッ!」


 その一撃はハカセの中心部を貫いた。ハカセは驚愕の表情だった。


「ヌシの体が液体なら、核があるはず。そこを狙ったにござる」


 カットリは淡々と言い放つ。


 ハカセの体は崩れかける、床に広がる液体へと戻っていく。


「危ない……危ない……」


 しかしそれでも、博士は、体を維持していた。


「そんな、核は破壊したはずにござる!」


 そしてカットリは、一つの事実に感づいた


「そうか、核は一つではない」


 ハカセがニヤリと笑い、首を縦に振る


「イグザクトリーまぁ、気づくかただこっちも痛手を負ったからねここは逃げさせてもらうよ」


 ハカセは通気口ダクトに侵入し逃げるための算段をつけていた


「待つにござる。ヌシが逃げても軍が」


 軍が追いかけてくる。そうカットリは思っていた


「あれ?知らない?私は、既に軍から除名されているの、あとここのカメラもハッキング済みだから」


 既にハッキングを行われていた。つまりこの状況を話しても。意味はないということである


「じゃまた、人類の進化が始まるときに会おうか」


 カットリには、博士を倒す理由はないだが


「倒さねば、ならぬ」


 それが正義感かそれとも単なる偽善かそれすらも、当の本人にはわからない。しかし


「鋼殿ならもしや」


 三度みたび奇跡を信じること、は確信していた

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