第33話

五年前


「ここは一体どこだ?」


勇者を倒し、そのまま気絶した。そこからの記憶はないが、気づけばどこかの森に倒れていた。


「なんだ?この匂い」


立ってすぐ、違和感のある匂いがした。まるで何かが燃えている。そんな匂いが


「森林火災ってやつか?」


森を歩き続けて数分ほど経ち煙が視えてきた。


「これはまさか………うそだ………嘘だっ!」


煙の立っていた方向を見ると、ロールバニアが炎に包まれネメシスが大量に存在していた。


「一体何がどうなって………違う早くみんなを探さないと」


兎に角俺は、炎とネメシスの猛攻の中でいつものガレージへと向かった。


「みんな待ってろ!」


所々で、消火活動が行われていた。水の魔法だろうか?手から水が溢れている。


「クソッ眼球が開けられない」


火の粉が、眼球に入らないようにするので手一杯で、前が少ししか見えない


「鋼くん?よかった無事だったんだね」


後ろから声が聞こえた。おそらくは冬子だろう


「そっちこそ、とりあえず行こうガレージに」


二人で一緒に走り出し、とにかくガレージに向かうために前に前に無心だった


「あそこを曲がればガレージ……?」


こんなに辺り一面が、燃えているのにガレージは無事だと思い込んでいた。そんな訳はなかった


「ミスカ!」


そこには、倒れているミスカの姿があった。


「ごめんねみんなを守れずに」


遠くにいた時は気づかなかったが、ボロボロになっていた


「そんなことはどうだっていい、早く逃げ」


しかし今までは、軽かったミスカの手が、重くのしかかった。


「そんな、おい………うそだろ………嘘だよなぁ!」


振り返るとミスカは、すでに息絶えていた。


「ゴルスラくん!ねぇしっかりして!」


冬子は、ゴルスラを見つけのだろう。しかしその反応を聞けば、察しはつく


「ふゆこ……行こう」


何で、いつもの俺ばかり


「そんな二人をおいていくの!!」


冬子は怒っていた。拳が震えていた。


「墓を作ろう二人の」


俺の真意が伝わったのか冬子は、ただ頷いた


「わかった」


森の方に避難すると、一つの団体があった


「あれは?」


そうすると一度だが、二度と忘れないあったことのあるペンギンに出くわした


「あん時の坊主か、あれは婆さんが、俺に託したシェルターだ」


婆さん?シェルター?


「今は何も考えるな、お前のやりたいことをやれ」


そうしてペンギンは、シェルターの方面へ向かっていったそして俺も……


「鋼くん?そっちはシェルターだよ?」


冬子がそう優しく俺に話しかける。


「へ?合ってるだろ?」


間違ってはいないはずだ。何も間違ってはない


「戦わないの?」


戦う?なんのために?地球も無い、二人もいないそんな状況で何に戦う


「何いってんだよできることはもう何も残っていないだろ?」


そうだ戦うなんてもう


「街を燃やした犯人とか2人の敵討ちとか、そうは思わないの?」


犯人?仇討ち?


「もういいだろ!俺は戦った結果がこれだ!俺が戦えば戦うほどいろんなものを失うだったらもう……」


左の頬に、衝撃を感じた。強くともあり優しくもあるそんなビンタだった


「知らない」


俺はその言葉に呆気にとられた


「へ?」


この娘は暴力を振るう娘じゃない


「鋼くんなんか……知らない!」


そう言って、冬子は、どこか遠くにいってしまった


「おい嘘だろ、お前まで俺の前から」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

現在


「はっ!」


嫌なフラッシュバックを見たものだ


「お前の持っていた錠剤調べさせてもらった」


いつの間にか、俺の荷物は、めちゃめちゃあらされていた


「安心してください後で、片付けますので」


そう言って、隣のナースは、俺に紙を手渡した


「これは普通のより、数倍強い精神安定剤だ」


不満げな顔で、医者の爺さんは、俺に薬を返してきた


「でもそれじゃないとお前は、幻覚を見る。それもかなりひどいものだな」


すぐさま、もらった薬を、革ジャンのポケットにしまいった。


「君は壮絶な人生を送ったようだね」


そうかも知れない、俺の前で沢山の人が死んで行った


「なのにも関わらず君は、また戦おうとしている何故だい?」


もう答えは決まっている 


大切な人冬子を見つけるために」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る