第77話 テンプレ?

「ふおぉぉぉ────。あれが街か~」


 大型のフェンリルがそのまま行くと大騒ぎになるって事で、街の手前でシロ君から降りました。

 シロ君も心得たもので街にはいる際には、大型犬サイズになります。


 門から見えてきた光景に、テンションが上がってくる。

 これぞ異世界!まさに、旅の始まりの街ってところだな。

 ─────私の始まりは、森の中でしたけど。いや、土の壁か?


  建物は石造りが多く、中世のヨーロッパって感じもするが、たまに木造の建築物も見える。

 ─────あんまり統一感はないんだな。


 自分の前にはおっさんと少年が先導をする形で歩いており、その後ろを私とシロ君が歩く。

 ちょっとお上りさん状態で、ちょいちょいシロ君に服を引っ張られながらの状態なのだか。

 街に入る手続きは、おっさんと少年がやってくれた。

 なんせ自分は身分証も証明書も何もない『怪しい一般人』なので、おっさんに丸投げしたのだ。

 髪型と服装はともかく、身分の高そうな年長者は、存分にその威力が発揮し、私とシロ君は何事もなく街へ入れたのだ。 



「‥‥‥‥ウィル坊よ。さっき見た『ゲート』は黙っておけよ」


「あ、やっぱり普通じゃなかったんですね~。リオさんがサラッとやってましたから、割とできる人がいるのかと思っちゃいました」 


「んなわけあるかっ!あれは国でも出来るヤツはそうそうおらん。城内にも固定されているやつがあるが、極秘扱いだ。─────と、聞かなかった事にしろよ」


「僕は何も知りませんよ~聞いてもないです~」


 ─────リオさんが作った『転移』のゲートを見ちゃっただけです。


 軽い返事に「コイツ分かってるのか?」と頭を抱えたドルク。

 「ご自分で言ったじゃないですか~」とこれまた軽く言われる始末。 

 ‥‥‥‥あれか?これが世代間の差って奴か。

 少年とおっさんとでは、祖父と孫ほどの年齢差があるのであった。


 「─────あ、屋台とかある~。ちょっと寄っていこうよ~」


 一番の問題児は、あっちこっちフラフラするので、連れのフェンリルに服を引っ張られている始末。 

 ─────もしかして、あのフェンリルが一番まともなのか。

 

 ─────ぷんすっとフェンリルから不機嫌そうな鼻息が漏れた。



「冒険者ギルドって、思ったより整然としてるのね」


 想像してたのと違った。─────こう、もっと雑然としていて、ケンカ上等の小競り合いが頻発しているような場末の雰囲気が─────ない。

 しいて言えば、お役所のようだ。


「何を想像しておったんじゃ?冒険者ギルドは大体どこもこんなものだぞ」


「‥‥‥‥お役所、苦手‥‥‥‥」


 先ほどまでのテンションはどこへやら。

 がっかり感を隠そうともせず、待合の椅子に座り込む。


 おっさんは「ワシはここの長と知り合いじゃから、ちとここで待っておれ」と受付の方へ行ってしまった。


 床材は自分の知っている役所の様に、真っ白でピカピカってわけではないが、木製でそれなりにきれいに張られていて、気分は待合室だ。

 人もそれなりにいて、自分の様に大型犬を連れた冒険者とか、猫や大型の鳥を肩に乗せて歩いている人もいる。みんな賢そうで、人間にぴったりくっついている。

 チラリと目線をやると、シロ君は自分の側でちゃんと『お座り』をしていた。─────うちの弟が一番!


「でもなんか、静かだね。ここ」

 

「リオ姉さんは何を期待してたんです~?」


「─────いや、こう新顔が来たらさ「なんだテメェ?新入りかぁ!?」‥‥‥‥ってケンカ仕掛けてくるヤツ‥‥‥‥」


「それ、普通に冒険者の規定違反ですよ~」


へぇ~けっこう厳しいんだね~。─────じゃコイツら何?


 ─────目の前にガラの悪そうな男達が、ニヤニヤと笑いながら自分達を取り囲んでいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る