第78話 シャららん
─────カクカククカクカクカクカクカクカクカク
「救助されたのは、女性達と幼い兄妹‥‥‥‥」
─────ピルピルピルピルピルピル‥‥‥‥
「それ以外に生存者はなし。‥‥‥‥犠牲が多かったが、生存者がいてくれただけでも、よしとしなければならないか‥‥‥‥」
「‥‥‥‥あ、ああ。アタイ達以外の冒険者は、皆やられた‥‥‥‥」
「─────くっくっ悔しいけど‥‥‥‥」
ギルドの長自らが、冒険者からの報告を受けていた。
おかしな魔導士が盗賊達に加わっていたようで、それ程の規模でもない盗賊退治に、かなりの数の冒険者が犠牲になってしまった。
プライドを押し込んで、砦の騎士団に助力も申し入れもした。
その騎士団が出発したのは昨日の早朝。何日かかかると思われたが、なんとその日のうちに救助された人達を乗せた馬車が、ギルドへと到着したのだ。
みな意識が飛んでいたので、ギルドに併設されている宿舎に全員収容したのだが、診察した治療師によると、全員怪我などはなく「極度に疲労困憊しているだけ」と言われそのまま一晩過ごしてもらった。
一般の女性たちはまだ寝たきりだが、女冒険者の内の二人は次の日には起き上がり、話ができるようになったのだが‥‥‥‥。
─────カクカクぴくっカクカクぴくっ
─────ピルピルピル‥‥‥‥
「‥‥‥‥本当に大丈夫か?まだ休んでいたほうがいいんでは‥‥‥‥」
起き上がったはいいが、二人の足はずっとカクカクピルピル震えていた。
現にもう一人は、起き上がってこない。
「‥‥‥‥や、や、やだな。アタイ達は冒険者だ。き、気にしないでほしい」
「‥‥‥‥け、け、決して筋肉痛になったりなんかしない‥‥‥‥」
冒険者としてのプライドを押してくるのは賞賛に値するが、お前らの足はそれに反しているぞ。─────というか、それ筋肉痛なのか‥‥‥‥。そこまで行くと、かなり酷い目にあったのだな。
普段鍛えているこいつらがこの状態だ、普通の女性達は頭も上げられないだろう。
現に女性たちの世話をしている職員から、部屋中うめき声が響きまくっていると報告があった。
「取りあえず元気なのは、あの兄妹だけか‥‥‥‥」
大人が起き上がれない中、幼い兄妹達は朝から至って平気そうに起きてきた。
お世話をする職員に女の子の方はキラキラした眼差しを向け、そんな妹を兄と思われる少年がこれまたニコニコ顔で眺めている。
─────二人とも普通に元気だ。
「‥‥‥‥こ、こ子供に負けた‥‥‥‥だと」
「‥‥‥‥わ、若さには勝てないのか?‥‥‥‥」
その事実に二人ともショックを受けるが、同時にあの時やたら「いい子いい子」と兄妹に触っていた人物を思い出す。
「‥‥‥‥ぜって~特別扱い‥‥‥‥」
「‥‥‥‥納得はするけどさ~‥‥‥‥「「ズルい‥‥‥‥」」
力が抜けたのか、二人ともズルズルと椅子からずり落ちた。
「─────長。ちょっとよろしいですか?」
ノックと共に受付嬢の声がした。許可をすると、受付嬢が顔を出す。
「長に面会したいという方がおいでですか‥‥‥‥」
「面会?今日は予定はなかったはずだが?」
「ワシじゃワシ!久しぶりじゃな!」
受付嬢を押しのけて、筋肉親父が勝手に部屋に乱入していく。
「─────は?ドルク?お前ドルクなのか?」
おうよっ! と返事をしながら、シャラララ─────ンと髪の毛を撫で上げる。
「ぜってぇー違う!!テメェ偽者だな!!」
─────ギルドの長は、筋肉親父の髪に掴みかかった。
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