疲れた、、

「なんか俺の声、きつくないか」

自分の部屋で独り言がこだまする。

カラオケアプリで、アニソンを歌い終えて、イヤホンで録音を聞くと

脳内で鳴っているCD音源と自分の声がかけ離れており、

落ち込んでしまう。

自分はプロではないのではないのではないし、

碌にボイトレも人前で演奏した経験もないので、

音源から離れているのは至極当然と言えば当然と

言える。

そして、俺がよく歌うのは、女性シンガーの曲やキャラソンが多く、

また、原曲に寄せないといけないのでは思うばかりで下手なものまねに

終わってしまうことが多い。

そんなものでは聞いている人冷めてしまうのはなんとなくわかる。

そもそも、アニソン、またはアニメにはまったきっかけは、

中学時代に、深夜にやっていたVRMMOを題材にしたアニメを

兄がリビングでひっそりとテレビで見ていたのが気になり、

一緒に見たことだった。

学校では女子との絡みが碌になかった自分としては、

画面の中ではあるが可愛い声で綺麗な女の子と接している様な錯覚を覚えた。

その後、俺は学校に帰ると即PCを立ち上げ、深夜アニメを見あさり、

深夜まで見ていることもざらにあった。

アニメを見ていく中で主題歌、キャラクターソングが

カッコイイ、可愛いと思いどんどん好きなった。

そして、大人になっても今もアニメ好きはとどまることを

しなかった。

このアニメ、アニソンが好きという気持ちをどうにかして、消化したいと思うようになった。

その一つの手段として、好きな歌ってみて他の人に聞いてもらうこと

だった。

はじめて内は好きな曲を歌ってスッキリするし、

気分転換になるから結構いいなと思えた。

しかし、曲をあげているアプリ内で、上手い人の歌を聞いた途端に

自分と比べてしまい、「なんて駄作をアップロードしていたのか」と

打ちひしがれてしまった。

それから歌いながらもどこかで「なんでこんな事しているのだろうか、

あんな上手い人達がいるのにこんな下手歌をアップロード

していいのだろうか」と疑心暗鬼になっていた。

「なんか疲れたから、歌うやめようかな」

そして、僕は歌う事を辞めた。
















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