第3話眠り

路傍に置かれた花瓶

雨は流れ

記憶は薄れ

美しい花を咲かせそうだ

灰皿に煙草を押し付けるように

祈る僕は舗装された道を眺め

何処までもアスファルトに響き渡る

幼子の誕生を思った

一日と一日を辿れたなら

遺された小説に栞を挟み

燃やす術を忘れ

同じ事を繰り返していた

歩道を思い

心を掴んだ意味なき声が聞こえる

命を信じればこそ

花瓶の奥底に深緑を育みたい

空き缶で埋もれても良い

最後に本当の涙を零す

貴方を思えば

同じ花瓶を抱いているようで

様々な花が咲き

森が花瓶を壊すかもしれない

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