第28話「方眼」

「ここのホールってさ、壁がなんか、方眼紙っぽくね?」

「あー、わかるー」

 リハーサルで機材チェックの合間、そんな雑談をメンバーとかわす。

「数学の授業で買わされたけど、ちょっと使ったっきりだよなーあれ」

「俺、全部使い切りましたよ」

 浩也ひろやの言葉に全員が顔を向けた。

「どうやって!?」

「いやあれ、ドット絵描くのにちょうど良くて。授業中にこう……ドラクエのスライムとか描いてました」

「あー」

「浩也お前、ゲーム好きだもんな」

「ゲームの主題歌とか、やってみたいよな」

「いいねー」

『チェック終わりました、ドラムから音ください』

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