第20話「甘くない」
初めてのホールライブ。始まってみれば客との距離が遠い気がして、やる気だけが空回りしていく。ステージが広くてメンバーの息遣いが感じられない。俺たちの音がひどくスカスカの薄っぺらいもののような気がして、四人とも楽屋で項垂れていた。
これが大きなハコの洗礼というものなのだろうか、現実はそう甘くはなかった。それでも、鳴り止まぬ客席からの拍手が、お前たちはそんなもんじゃないだろうと励ましてくれている気がする。
ぱしんっと自分の両頬を叩いた
「せめてさ、アンコールは俺らの『いつも通り』をやってやろうぜ」
「おう!」
四人で円陣を組み、それぞれの右手を重ねて気合を入れた。
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