第19話「爆発」

「ホールクラスでライブやるならさ、やっぱパイロ使いたいよなー」

 パイロとは、火柱や爆発といった舞台上で行う特殊効果のことだ。影三えいぞうがバンドの曲を口ずさみながら「どーん!」だの「ばーん!」だの言いながら爆発の様子を模して手を握って開いてみせていた。確かにあれは格好いいなと直斗なおとも思っている。

「でもあれ、やるには消防署の許可取らないとダメらしいよ」

 浩也ひろやが言うには、以前ステージ警備のアルバイトをしていた時に、設営スタッフの人からそんな話を聞いたらしい。

「そりゃそうか、でも許可取ればやっていいんだな」

 影三が嬉しそうに言うと、

「ちなみにこれが許可の取れる会場リストです」

 マネージャーが横からすっと資料を差し出してきた。

 ……。

「もっとお客さん集められるようにならないとダメかー」

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