第11話「飴色」

「なあ、飴色ってどんな色なんだよ」

「ベッコウ飴とかその辺のイメージなんじゃないですかねー」

 器用にじゃがいもの皮を剥きながら答える泥谷ひじやの横で、直斗なおとは刻んだ玉ねぎを炒めている。

「ところで、どうして俺らはこんなトコまで来て料理してんだ」

影三えいぞうセンパイが『夏だ! 合宿だ! 合宿といえば山中湖! 湖といえばカレー!』って張り切ってましたからね」

「どうして湖からカレーに繋がるんだよ……。どうせ三人しかいないんだし、レトルトで良かったじゃないか」

 当の影三はというと、米を忘れたと買いに出ている。ならばいっそ外に食べに行けば良かったのではないかと直斗は気付いたが、気付くのが遅かった。

「まあいいじゃないですか、俺わりと好きですよ、こういうの」


 普段料理などし慣れていない者が陥りやすい失敗のひとつに、量の加減がきかないというものがある。結論から言うならばつまり、二泊三日のスタジオ合宿中、食事はひたすらカレーだった。

「しばらくカレーは食いたくねえ」

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