第8話「こもれび」

「こんなところにいたのか。ってか泥谷ひじや、お前よく影三えいぞうの居場所がわかったな」

「影三センパイって、昼寝に良さそうな場所見つけるの得意ですよね」

 文化祭まで残り三日、軽音部の練習にはクラスの出し物を手伝ってから顔を出すと、影三からメッセージが送られてきてから一時間近くも音沙汰が無い。直斗なおとと泥谷の二人で学校内を探してみれば、影三は体育館裏にある資材倉庫の横で、暗幕を抱えて居眠りをしていた。

 無理もない、俺たちの初ライブに向けて連日夜遅くまで練習していたのだから。すうすうと寝息を立てる影三に、ケヤキの葉の木漏れ日が射す。とても心地よさそうだ。

「なんだか、影三センパイ見てたら俺も眠くなってきちゃいました」

 泥谷がふわぁと欠伸する。

「じゃあ、俺らも少し休憩するか」

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