第3話「文鳥」

 授業中、開いている窓から小鳥が一羽、教室の中へと飛び込んできた。

 虫だと思った女生徒が悲鳴を上げ、クラス内はにわかに騒がしくなる。と、その小鳥は居眠りしていた影三えいぞうの頭に舞い降りた。

「おや、どこかのお宅から逃げてきちゃったんでしょうかね」

 授業が中断されたというのに、日本史の教師はのんびりとした声でそう言った。

 影三の頭にとまって、ちゅみちゅみとかわいらしい鳴き声をあげる小鳥は、どうやら文鳥というらしい。騒ぐ生徒たちを宥めて席につかせた教師は、文鳥にまつわる話をし始めた。

「おい影三、起きろよ、頭に巣を作られるぞ」

 後ろの席に座る直斗なおとが影三の背をつついた。

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