第6話 閑話 やばい事案……勘弁してくれ

 限界突破してから約2年が経過した。

 あれから俺のレベルも順調に上がってきてついに最大レベルである100に達した。


 最近の俺はソロに戻っている。といっても別にルナ3、あかねん、アリアロッテと別れたわけではない。あれ以来ずっとパーティーを組んでいる。その証拠に今俺がいる場所は4人で購入した家だからだ。さすがに前の家では狭すぎるからここに引っ越したというわけだ。


 ではなぜ、最近はソロなのかというとこれは3人が最近急に忙しくなったからだという。

 アリアロッテは普通にOLらしいんだが、どうもブラック企業だったらしく、入社当初(2年前)は新人だったことから定時で帰ることができたが、徐々に残業や休日出勤が増えてきて、最近はほとんど家にすら帰れていない状態が続いていると、少し前にやっと休みをもぎ取ったとログインしてきて愚痴っていた。そこで、何となくうちの会社に転職すればといってみた。というのもうちの会社はかなりホワイトで、給料は安いが毎日定時に帰れるし休日出勤も全くない。というか社内の人たちってみんないい人ばかりだしな。そういったらアリアロッテは真剣に悩みだしていた。まぁ、今の会社は結構給料がいいらしいからな。給料がいいブラックか給料の安いホワイトかという選択となる。


 あかねんとルナ3はというと実は2人の職業、というか職場というかまぁそれは同じなのだそうだ。いったいなにをやっているのかというと、これを聞いたとき俺は本気で驚いた。

 それというのも、2人は何と芸能人、というかアイドルをしているということだった。しかもそれはデユオで名前を聞いたらアイドルに興味のない俺でも知っている。というか俺が好きなアニメの主題歌を歌っていた2人であることが判明。ほんとまじかよと思ったものだ。しかもそれを聞いたのは半年ぐらい前で2人が急にこっちに来なくなったころにアリアロッテから聞いた。ちなみに普通のOLであるアリアロッテがなぜアイドルの2人と友人関係にあるのかというと、単にアリアロッテとあかねんが小学校時代からの友人であったからだ。そこにあかねんとデュオを組んだルナ3が加わっての3人だった。


 んで、ここでさらに衝撃の事実、というかもしこれを2人のファンが聞いたらたぶん俺殺されるであろうことがある。3人とパーティーを組んで半年あたりが経過したころだったと思う、それまで夜営の際は3人用のテントと俺用のテントを2つ設営していた。しかしそれを見ていた3人が、2つも設営するのは大変だろうから1つにしないかと提案してきた。いやいや、ちょっと待て、1つってそれはまずいだろ。そういう俺の反論は聞き入れてもらえず、3人はさっさと4人用のテント購入してきた。その結果俺は夜営の際3人と同じテントで寝ることとなった。まぁそこまではいいとして問題はそのあと、最初のころは3人が体を拭くだの着替えるだのというときはテントを出ていたのだが、徐々に話の途中だというのにやおら着替え始めたり体を拭き始めてしまったのはどうしたらいいのかわからなくなったのは言うまでもないだろう。まぁ、それでもさすがに俺には見えないようにやっていたからよかったと思う。しかし、ある日温泉を見つけて入ろうとなったとき、なぜか混浴することとなってしまった。そうなると当然俺の目には見えてはいけないものが入ってくる。思わず俺も大丈夫なのかと聞いてしまったよ。それで帰ってきた答えが、俺だから大丈夫というなんというか信頼の言葉であった。また、その身はしょせんゲーム内で作ったキャラであり自身の体というわけでもないからというのも答えだった。まぁ、確かに言われてみるとそうではあるけれど、そういうものなのだろうか、わからん。

 とまぁ、そんなわけで俺はゲーム内であり当時は知らなかったとはいえ、今や人気絶頂アイドルと混浴してしまった。ほんとこれファンに聞かれたら間違いなく殺される事案だ。


 と思っていたのだが、ここでさらなる事案が発生。


 それは今から1年ほど前、時期としてはあの限界突破クエストを受けてから現実時間でちょうど一年の日。その日を記念して現実でも会わないかという話となった。といってもそもそも俺以外の3人は現実でも仲のいい友人同士ということで時間が合えばあっているらしいし、ルナ3とあかねんに至っては仕事でも毎日あっているから、実質会ったことないのって俺だけなんだよな。だから、普段の3人に俺という異物が加わるだけとなる。とまぁそういうわけでオフ会という形をとることになった。


 んで、そのオフ会をどこでやるかとなったわけだが、あかねんとアリアロッテの2人が温泉に行きたいと言い出し、ルナ3と俺もそれに同意した。


 そうしてやってきたオフ会当日、俺は女子3人(何度も言うが当時の俺はあかねんとルナ3の正体は知らない)と旅行ということでかなり浮足立っていた。おかげで指定の時間よりも1時間も早くついてしまった。ちなみにその旅行の手配をしたのはアリアロッテを中心として女子3人、俺はただ言われた場所に来ただけだ。というのも俺は当時3人の連絡先は知らなかった。もちろんゲーム内で会えるし一緒に住んでいるが、現実でのやり取りができなかった。だから任せることになったというわけだ。

 こうして始まった旅行、ここまではよかったんだが、問題の事案はこの後宿で発生した。


 それはなんと、アリアロッテ達が予約した宿には貸切風呂がありそれを予約していたのだ。もちろん俺はそれに入るつもりはないので、3人で行ってこいと思っていたんだよ。だが、気が付けば俺は3人に連行されてなぜかその貸切風呂に入ることに、あれっ? どうしてこうなった?まさかリアルでこれを言う日が来るとは思はなかった。

 そして意味が分からないまま俺は現実でも3人と混浴することになった。ほんと意味が分からん。しかも、しかもだ。ここで本当の事案になってしまっていたことに後で気が付いた。それというのも俺は当時3人の年齢は知らなかった。20を超えた女性に年齢を聞くのはマナー違反、というのは常識だから聞かなかったことが災いした。

 どういうことかというと、まず俺はゲームを始めた今は26歳、始めた当初は24だから3人と出会った頃も24で混浴したときは25だった。アリアロッテとあかねんは同い年で22歳、始めた当初は20で、混浴したときは21だったわけだ。ここまではいい、すでに20を超えた女性なら彼女たちの自己の考えで判断したわけだからな。しかし問題はルナ3だった。実はルナ3、現在19歳、まさかあかねんより年下だったとはという衝撃を受けるとともに、ちょっと待て!! 今19ということはゲーム開始時は17歳、混浴したのが18、年齢的にはギリ問題ないが、時期は7月、ルナ3の誕生日は5月だから……つまり、それってまだ現役の高校生だったってことだよな。


……


…………


………………


 ガチャリ、俺の手首に金属のアクセサリーが付くのを幻視した。

 楽しかった旅行がとんだ悲劇だよ!気が付いたときは頭を抱えてしまった。

 ちなみにそれに気が付いた時3人も近くにいたんだが……大笑いしていた。

 勘弁してくれ……

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