第3話 クエスト受注からの話し合い

 最大レベルを上げるには限界突破クエストを受ける必要があるのだが、それを受けるには4人以上のパーティーでなければならない。ずっとソロでやってきた俺としては半ば途方に暮れていたところに、以前一緒にパーティーを組んだことがあるルナルナルナからの誘いがかかった。


 そんなわけで俺はルナルナルナとアリアロッテ、あかねんの女性3人と俺という男1人のパーティーで持ってクエスト攻略を目指すこととなった。



「さて、さっそくNPCのところまでやってきたわけだけど、すげぇ人だな」


 限界突破クエストを発注するNPCの所在は、事前に明かされているので迷わずその場所まではやってきた。しかしそこには大量の人が列をなしていた。こういうきちんと並ぶところはまさに日本人だよな。そんなことを思いながら俺たちもその列の最後尾に並んだのだった。


「どのくらいかかるかなぁ」

「すぐだと思うけどね」


 今回の場合はNPCに話しかけるだけで、すぐに別サーバーに移動しクエスト内容を聞くことになり、それが終わると戻ってくるという仕様になっている。そのために、1人1人がほぼ一瞬で終わるから順番はすぐに来るだろう。

 実際、それから数分待っただけですぐに俺たちの番へとなった。


 そうして、なんだかいろいろ込み入った話があったが、要約すると限界突破するための薬があり、それを作るための材料を自分たちで集めてこいというもの。それでその材料は3つ、それぞれダンジョンを攻略することで手に入れることができるそうだ。


「とりあえずどこかで、話あいましょう」

「そうだね。どこにする」

「ああ、それだったらこの街に俺の家があるからそこでどうだ」


 このゲームでは家を購入することができる。尤も家を買うためには課金アイテムとして家の購入権利を1万円で買い、ゲーム内の金で金貨20枚(2000万円相当)という大金を払わなければならない。


「家! すごいね」

「お金持ち」

「いや、そういうわけじゃないんだけどな」

「エリベルトさん、しっかりと計画を立てることをお勧めします」


 俺の言葉にアリアロッテが眼鏡をクイッと上げつつそういってきた。


「はい、すみません」


 何やら説教でも始まりそうだったのでとにかく謝ることにした。


「エリベルトって結構ゲームでお金使っちゃうタイプなんだ」

「ああ、もとは違ったはずなんだけど、このゲームにハマったから」

「あっ、それわかる。これってホント面白いよね」

「そうそう」

「まぁ、それは否定しませんが」


 このゲーにハマるということにはみんなが同意したが、ここまでレベルを上げている時点でそうだろうな。


「えっと、まぁとにかく行こう」


 というわけで3人を連れて俺の家へと向かった。ちなみにこの家は俺が購入しただけあって俺以外が使うことはない。というのも以前あったMMORPGで、家を持てるというものがあったそうだが、一見すると個人の家なんだけれど実は全プレイヤーが購入できる物件だった。つまり、玄関を開けたら専用のスペースに飛ばされるだけだったんだ。しかし、このゲームはリアルを追及しているだけあって、そういったゲーム的なことはなく本当に一軒1組しか購入できない仕組みとなっている。ここで疑問そうなると家を買えるものがいなくなるか土地がなくなるのではないかということだ。しかしそれは問題ない、何せこのゲームの広さは地球とほぼ同じとされているからだ。俺は今回街の建売住宅を購入したわけだが、空き地を買って家を建てることもできるし、何もない場所に村をはじめ街すら作ることが可能なのがこのゲームだからだ。



「へぇ、見た目は普通のお家って感じだね」

「安めの家だからな。1人の場合はこんなもんだろ」

「それでも結構高いよね」

「だな」

「いくらしたんですか?」


 値段を聞いてくるアリアロッテの目が光った気がした。若干怖いがここでごまかしても仕方ないので正直に答える。


「金貨20枚」

「20枚!」

「高っ!」

「家ってそんなに高いの!」


 俺の答えに3人がかなり驚愕している。


「現実と比べると安い方じゃないか」


 現実だと家の購入金額は倍近くあるイメージだ。


「はぁ、まぁいいでしょう。そのおかげでこうして話し合いをすることができるんですから」

「あははっ、そうだねぇ。ありがとエリエリ」


 それから俺たちは当初の目的通りクエストについての話をすることになった。


「まず、まとめるとこれから3つのダンジョンを攻略しなければならないということだね」

「そうだな。確かクライムベス、ナジラウス、グノベルタだったか」

「そうそう、聞いたことないよねぇ」

「ええ、おそらくクエスト専用ダンジョンではないかと」

「だよな」


 クエスト専用ダンジョンというのは読んで字のごとくクエストを受注した人間しか入ることができないダンジョンとなっている。


「それで、その場所なんだけど、どこかわかるか」


 一番の問題はダンジョンの場所だが、説明の中に場所のヒント的なものはあったがさっぱりわからなかった。


「さぁ、さっぱり」

「全然わからない」


 あかねんとルナルナルナの2人は俺と同じくさっぱりといっている。


「アーちゃんわかる?」


 あかねんが言ったこのアーちゃんというのはアリアロッテのことだ。


「おそらくだけど……」


 なんとアリアロッテはヒントからダンジョンの場所が分かったようで、そのご地図を広げてその場所を示してくれた。なんでわかったんだろうか。


「さすが、アリアロッテ私たちの参謀だね」

「ほんと、頼りになるぅ」


 どうやら見た目通りアリアロッテは相当にできるらしい、そのおかげでクエスト攻略が早く進みそうだ。



 それから俺たちはダンジョン攻略をどうするかなどを話し合ったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る