第5話 VS十五人戦再死合い

 こちらの準備が整い次第に亡者が来ます。

 見た目と数は一緒だけど、一人強い男がいます。

 階層が増えなかった代わりに、亡者の能力が少し判るようになりました。

 強い奴を剣豪と呼びましょう。こいつを残すか先に潰すかですね。うん、残しましょう。

 馬頭さん、やな顔しない。


 剣豪を先頭に第一踊り場まで降りました。何もないと思わせておいて、何もしません。

 第二踊り場に無事到着。後は下に続いている道に下りるだけ、と思わせておいてハエ登場。

 鍾乳石落しからの産卵コンボ。剣豪階段走り降りました。降り切っても止まりません。坂ですから。

 階段に坂繋げちゃいけない規則ありません。しかも、少しずつ幅を広げてあるので、上から見ると坂に見えないようにしてあります。

 更にどん詰まりはL字カーブ! はい激突、しないよ。受身取りやがった。

 後から来た奴が激突したので、まあ、よしとしよう。


 激突二、直接産卵三で一挙に減りました。男二、女三です。これ以上の攻撃は控えましょう。

 斬られない距離を保って、ハエに階段まで誘導させます。

 この人数で蛇女の分を心配するとは思いませんでした。馬頭さんの分は剣豪です。


 二層の天井にも鍾乳石を導入してあります。最猛勝は硬いのでガンガン落とさせます。その後体当たり。

 立ってる奴には噛み付かないように指示してあります。ハエよりは敏捷性が落ちるので、止まると斬られる恐れがありますから。


 熱蝋に男一、ガラス片に女一落ちました。二人食べるのは少し時間が掛かるので、上の最猛勝にいやがらせさせます。

 あ、一匹斬られちゃいました。キーンて音しました。斬った女が落ちたのに止めさそうとしてます。せめて足に食いつきなさい。

 女が刀を下に向けたので、別のに頭襲わせました。即座に突きが来ます。逃げて!

 下のが足に食いついて指全部噛み切りました。お前も逃げられたら逃げなさい。

 飛べないようですが、割と早足で逃げ切りました。女は片足の指がないから追っては来ません。

 他の連中は自分の頭の上を守るので精一杯です。剣豪に斬られたら即死だったかも。

 生きていれば亡者が出て行けば復活します。


 ガラス片に落ちた女が食べきれないので、野干に熱蝋に運ばせました。

 手足は食べちゃったので動けません。深さが膝まででも、とっぷり煮えたぎった蝋に浸かります。

 顔だけでも出そうともがいているところに、お仲間が到着。

 先頭の剣豪は避けて、蝋の中を走らせ、殿の足の指食われ女を全員で襲います。


 剣豪が蝋に飛び込んで女助けに行きました。あっという間に切り伏せられてしまう野干十匹。

 でも、女ももう動けません。その場に座らせて剣豪は離れます。

 蝋に浸けておいた女も縁に上げられています。中々仲間想いですね。

 それだけに、こんな状態で置いて行かなければならないのは辛いでしょう。

 地獄の思惑通り斬新な責め苦になっています。

 

 歩ける亡者が後ろを振り返り振り返り、二人を見ながら部屋から出て行きました。

 蝋浸けは目玉煮えちゃってるし、足食われ女は俯いています。

 野干復活しました。ゆっくり食べてね。


 ガラスでザクザクに切れた足ですり鉢上がって、ダミーの扉開けたのは女でした。

 吹っ飛んで首折れました。立てるんですがすぐ転びます。すり鉢からは出られませんね。

 剣豪が肩を貸そうとしましたが、女が断りました。首折れてても話せます。女の消耗率高いな。

 

 剣豪蝋で足煮えて、ガラスで肉削がれて、骨見えちゃってます。

 それで先頭じゃなかったか。悪運強いですね。


 暗黒の恐怖、夜狼の間のお時間になりました。

 最後尾男です。よかった。

 一斉に襲い掛かって引き摺って仲間から離します。

 闇の中から何か恐ろしいものが襲ってきて、一人攫われて、その後悲鳴だけが聞こえる状況。

 剣豪が助けに行こうとしましたが止められました。諦めて先に進みます。

 こちらもこれ以上ここで減らすつもりはありません。次ぎ行ってもらいましょう。


 四層の明かりの中で見ると、残りの亡者だいぶ酷い見た目です。落ち武者の亡霊改め、欠損の少ないゾンビですね。

 鎧はほぼ剥げて全身傷だらけ、剣豪の足なんか食べかけのフライドチキンみたいになってます。

 それでも赤猫まったく歯が立ちません。やっと女一人確保しましたが、自動再生を攻略されちゃいました。

 首斬って持って逃げる。これが正解です。触られてると再生発動しません。

 亡者の体のどこかが出口に入ると、持ってた首は消えて赤猫が復活します。

 復活しても、襲っても首斬られるだけなので、確保した女を食べて悲鳴を上げさせましょう。

 亡者共は持ってた首を投げ捨てて出て行きます。


 さて、前回戦闘出来なかった蛇女ですが、五人来ちゃいました。

 赤猫が誤算でした。夜狼にもせめて二人倒せる工夫をしないと。


 それより今をどうするかですね。赤猫のところで学習されているので、首斬られます。

 でも、髪の毛すら冷たくて持っていられません。

 手放した首はくっ付きはしませんが、首なしの胴体が動けます。蛇ですから。

 頭はどんなに刻まれようが潰されようが痛いだけです。

 俺がどんなに辛くても指示が出来るように、蛇女も脳ミソがペースト状でも命令通りに切り離された体を動かせます。


 首斬って油断していたので男女各一に首なし胴が取り付きました。

 触られただけで凍ります。一度凍ると周りも寒いので溶けません。やはり、当りでした。

 女全滅です。雑魚の男二人もここで始末しましょう。


 動ける胴体でしゃにむに体当たり。でもかわされました。

 剣豪が助太刀に入って全部手足ばらされました。

 斬られた腕が指で這って近寄りましたが、トロくて話になりませんでした。

 馬頭さん、頑張って!


 剣豪がボスの間の扉を開けます。今回は馬頭さん正面に立って待ち構えていました。

 剣豪、勝手に何か承知して頷いています。雑魚二人も入って扉が閉まると戦闘開始。


 馬頭さんいきなり右前に跳びます。まず雑魚から始末するようです。

 剣豪がそれに合わせて前に跳び、三人で囲む形を造りました。剣豪を正面にしようとすれば、雑魚一人が後ろに回れます。


 金棒の端を右手で持って横薙ぎにして三人を牽制、勢いで横を向いた馬頭さんの後ろに雑魚が一人回りこむ。斬り掛かって来るところに後ろ蹴り! 馬の後ろに回ってはいけません。

 雑魚吹っ飛びました。腹に穴が開いて、上半身と下半身が別方向向いてます。背骨折れましたね。まだ刀は握ってますが戦力外です。


 剣豪、馬頭さんが力押しだけじゃないのが判って嬉しそうです。

 馬頭さんはもう一人の雑魚に飛び掛ります。金棒を刀で受けますが、力で壁まで持って行かれて、膝蹴りから首筋に金棒で引き倒され、背中を踏まれて背中に穴が開きました。

 男が相手だと、やること雑ですね。


 剣豪は雑魚がじゃまだったと言わんばかりに黙って見ていました。

 馬頭さん金棒を水平に構えて突きの姿勢で突進、剣豪がかわして袈裟懸けに切り込みました。

 痛みがなく、自動再生する馬頭さんには通用せず、袈裟懸けを左の肩で受け止め、左手で剣豪の右腕を捕まえ前蹴り!

 そのまま押されて壁に叩き付けられます。


 馬頭さんにとって剣豪は好敵手ではなかったようです。金棒で右肩を砕くと食い込んでいた刀を外し、

両腕をもいで、ぞんざいに扉の外に出しました。

 後は、先程苦もなく切り刻んだ蛇女に食われるだけです。


 馬頭さんの頭に角が二本増えました。


【馬頭三角鬼に進化した】


 たまには男ばかりと戦うのもいいことあるでしょ。

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