第4話 一問一答1・九森空雄の場合
自称お天気お姉さんの乃和木風華と漫画アニメゲームをやり終わり、やっと帰ってくれるかと思ったら、また別の問題を抱えてやがった。
今度、お天気番組内で一問一答という企画があるらしく、それの回答を考えることになった。
まぁマニュアルがあれば変な発言はしにくくなるだろうし、コイツにとってはありがたい企画だな。
「まず空雄さんがお手本見せてください」
うげ、めんどくせぇ。
「お名前は?」
勝手に始めやがった。
「……九森空雄」
「あだ名はスカイヒューマンですか?」
アメコミのスーパーヒーローかよ。
「血液型は?」
「A型」
「普通ですね」
他にどう答えるんだよ。クワガタとで言えってか。
「年齢は?」
「二十九歳」
「若く見えますね。二十八歳くらいかと思いました」
誤差の範囲だろ!
「身長は?」
「170」
「169ですね」
なぜサバを読んでるのバレたし。
「体重は?」
「65」
「65グラムですか?」
俺は卵かよ!
「誕生日は?」
「五月三日」
「ゴミの日ですね」
憲法記念日でいいだろ! 他の五月三日生まれの奴に謝れよ!
「ご自身の性格を一言でいうと?」
「クズ」
「でしょうね」
フォローしろよ! 自虐を肯定されるとムカつくな! 俺をいじめていいのは俺だけ!
「好きな食べ物は?」
「からあげ」
「カエルの?」
鶏だよ! ちょっと味似てるらしいけどね!
「好きな飲み物は?」
「コーラ」
「炭酸抜けたやつですか?」
抜くな! 意識高いスポーツマンかよ!
「好きなお菓子は?」
「ドーナツ」
「空っぽなとこが共感できて好きなんですか?」
まるで俺が空っぽみてぇじゃねぇか! 合ってるけども!
「趣味は?」
お天気番組を見ること、なんてコイツには言いたくないな。
「ゲーム」
「私と被るのでやめてください!」
いや、趣味を独占すんなよ。強欲な王かよ。
「好きな本は?」
本なんて読まねぇなぁ。学生の頃、教科書で読んだくらいか。何だっけあれ、あ、そうだ。
「羅生門」
「盗人になりたいと」
あの世界になりたいキャラいねぇよ!
「好きな音楽は?」
「アニソン」
「アニータソング?」
うんうん、全世界のアニータに捧ぐ歌です。んなわけねぇだろ! アニメソングだよ!
「好きな季節は?」
「秋」
「秋顔ですもんね」
誰が枯れた顔だよ!
「好きな天気は?」
「晴れ」
「曇った顔をしているのに?」
お前と居たらそうなるわな!
「好きな花は?」
花なんて別に好きじゃねぇなぁ。適当でいいか。
「チューリップ」
「ププッ」
なに笑ってんだよ! 俺にチューリップは似合わないってか! その通りだよ!
「好きな異性のタイプは?」
「高貴な人」
「巨乳ですね」
クソ意訳やめろ!
「好きな動物は?」
「猫」
「犬ですね」
文書改ざんすなー!
「では飼いたいペットは?」
「猫」
「猫二匹っと」
前の回答と合わせるな!
「マイブームは?」
これもお天気番組を見ることだけど言いたくねぇ。
「ゲーム」
「その割には下手でしたね」
好きと上手さは関係ねぇだろ!
「家族構成は?」
「母親と二人」
「母親三人ですね」
日本語って難しい! てか分かるだろ!
「犬派? 猫派?」
また動物かよ。
「猫」
「社会の犬なのに?」
急にブラックなネタやめろ。
「ご飯派? パン派?」
「ナン」
「ふざけないでください!」
どの口が言ってんだよ!
「外食派? 自炊派?」
「自炊」
「ドングリ調理して食べる感じですか?」
俺はカートゥーンにいそうなリスかよ。
「生まれ変わったら何になりたい?」
「強者男性」
「香車、つまり将来は金になりたいと」
勝手に同音異義語に変えて、勝手にエピソード作ってんじゃねぇぞ!
「明日地球が滅亡するとしたら最後に何をしますか?」
「天気予報でもみるかなぁ」
「ノー天気ですね」
お前にだけは言われたくないよ!
「以上です。お疲れ様でした」
ムダに疲れたわ!
「次はアンタの番っすよ」
「えぇ、なんで私が」
おめぇの課題だろ!
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