第13話 3大美女との学校生活 3

 美羽と学校で話すようになって以降、俺の学校生活が一変した。


 教室に入ると…


「あ、おはよー!優斗くん!」


 普段通り、梨沙が挨拶をしてくれる。


 そこまでは変わりなかったが、もう1人俺に挨拶をしてくれる人が増えた。


「おはよ、優斗」


 それは梨沙の隣にいる美羽だ。


「あぁ、おはよ。梨沙、それと美羽も」


 俺が2人から挨拶され、それを返すだけならクラスの男子から少し注目を集める程度だ。


 しかし…


「あ、そうそう!優斗くんに聞いてほしいことがあったんだ!美羽ちゃんがキノコの山の方が美味しいって言うんだよ!私は断然タケノコ派だから美羽ちゃんと意見が割れちゃって!」


「タケノコの里よりもキノコだろ!優斗はどう思う!?」


 という風に、なぜか時間があれば話しかけられるようになった。


 3大美女の2人を独占する男が現れたとなり、ここ最近は男子生徒からの視線が痛い。


 今もクラスの男子全員から睨まれている。


(この2人、普段男子と話さないから余計注目集めてるんだよなぁ。美羽は見た目から男遊びが得意って噂されてるけど)


 梨沙と美羽は男子との会話を必要最低限にしているところがある。


 もちろん、話しかけられれば会話をするが、自ら男子に話しかけることはほとんど見ない。


 そのため、より一層注目を集めている。


「そ、そうだな。俺も実はタケノコ派だから……」


「やった!優斗くんと好みが一緒だ!」


「ちぇっ、優斗はタケノコ派かよー」


 俺と意見が一緒だったことに喜ぶ梨沙と、意見が違うことに残念がる美羽。


(楽しそうな顔で会話をしないでくれ。俺が殺されてしまうぞ)


 そんな日々を過ごすようになる。


 すると、美羽が「あっ!そうだ!」といって声を上げる。


「今日、この3人でご飯食べるぞ」


「はぁ!?」


 俺は思わず声を上げる。


「え!優斗くんと!?」


「あぁ。この3人で食べたいと思ってたんだ」


「うん!とても良いよ!」


 そんな俺を他所に2人が盛り上がる。


(2人とも周り見て?今にも殺人を犯しそうな目をしてる人たちが大量にいるよ?)


 もちろんターゲットは俺。


「いや、俺は1人で……」


「じゃ、また昼になったら声かけるから」


「また後でね!優斗くん!」


 そう言って2人が立ち去る。


「………」


(俺、昼まで生きてるかなぁ)


 そんなことを思った。




 無事、昼休憩を迎える。


 チャイムが鳴ったと同時に梨沙が俺のもとにやって来る。


「行こ!優斗くん!」


「……はい」


 楽しみにしていたことがものすごく伝わってくるため、俺は断らず、弁当箱を持って梨沙について行く。


「美羽ちゃんも行こ!」


「あぁ。ちょっと待ってくれ」


 そして美羽を拾って教室を出ようとする。


 その時、弁当箱を持った1人の男子生徒が俺たちに声をかける。


「長谷川さん、山﨑さん。俺も一緒に行っていいか?」


 その人はクラスで1番イケメンと呼ばれている男、山田太郎やまだたろうくん。


 度々、梨沙と美羽に話しかけているところを見かける。


「ごめんね、山田くん。今日は優斗くんと食べるんだ」


「アタシたち優斗と食べる約束したから」


 そう言って2人が丁寧に断る。


「優斗?もしかして陰キャで友達のいないコイツのことか?」


「むっ!」


 山田の発言を聞いた梨沙が山田を睨む。


「っ!」


 普段見ない梨沙の顔に怯む山田。


「それは言い過ぎだ。優斗はいい奴だぞ」


 そして美羽の口調も普段より強い。


「そうだよ!優斗くんは私たちと友達だから友達ゼロじゃないよ!」


(そうか。2人ともそんな風に思ってくれてたのか)


 その事実に嬉しく思う。


「じゃあ、アタシらご飯食べに行くから」


「優斗くん、行こ?」


「あ、あぁ」


 俺たちは固まって動かない山田の横を通り、教室を出た。




「ごめん、2人とも。俺のせいで……」


「なんで優斗が謝るんだ?」


「そうだよ!あれは山田くんが悪いよ!」


 食べる場所を探して歩いてる中、俺は2人に謝る。


 しかし、謝らなくていいと言ってくれる。


「そうだな。ありがとう、2人とも」


「あぁ!」


「うんっ!」


 そんな俺に2人が笑顔で返してくれる。


「でも、美羽ちゃんが怒ったのは驚いたよ。確か最近初めて話したんだよね?」


「そうだな。4日くらいしか優斗と話してないが、優斗が良いヤツってことは理解してる。だからアイツの発言にイラっとしてな。それに初めて話したような気がしないし」


「へー、そんなことあるんだ」


(家に上がって一緒にゲームまでした仲だからな。初めて話した気にはならないだろう)


 だが、その違和感に気づくだけで、偽彼氏をお願いした草薙だとは気づいていないようだ。


 その後、中庭で3大美女の2人と昼食をした俺は、男子生徒から殺意を込められた視線を浴びつつも、楽しい時間を過ごした。

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