第17話 穏やかな日常と新たな隣人
アルフォンスの襲撃を退けてから2日が経った。
比較的軽傷だったマーサが初めに回復し、ネルにアッシュと続いた。
何事もなかったように、平穏な日が過ぎる。しかし、外の風景は2日前とは一変していた。
「それにしても、本当にあと2、3軒家が立つなこりゃ。」
ネルは木々が根こそぎ無くなった我が家の庭を見る。
「あら、よかったじゃないの。クロウの家がこんな小さな家なんておかしいわ。城でも建てましょう!」
「城なんてそんな簡単に建つわけないだろ!」
真顔でそんなことを言うアドラに呆れたような顔をする。
しかしながら、本当に城でも建てられそうな更地である。どうしたもんかと、ネルは考える。
そのままにしておくには惜しい。それに警戒するにも開けすぎている。このままにしておくにはデメリットが多すぎた。
「あぁ大丈夫だよ。旦那に竜の姉御!俺にいい考えがある。」
そう言うのはアッシュ。また碌でもないことをとネルは思うが顔には出さない。
「俺らダスティダスト全員がここに住む!!!!」
コニーがすかさず答える。
「は?」
「そうなの?!僕嬉しい!!!!」
何を!と言う前にクロウが喜びに満ちた顔で走ってきた。
それをネルは抱き止める。
「こらこらクロウ。まだまだ起きたばかりなんだ、あまり走り回らないんだよ?」
ネルはクロウを心配そうに体を気遣うが、クロウはどこ吹く風でアッシュらを見ながら嬉しそうにはしゃいでいた。
「いやよー旦那。俺ら任務の最中に追っ手がかかったんだぜ?もう誰も信じられないのよ!」
アッシュらは帝都で受けた依頼の最中に襲撃されている。バレるヘマをするようようなこともないだろう。
そうすると、情報を流した奴がいるかもとより捨て駒としての扱いなのか。
確かに信じられるものなど何もない。
「それに俺ら!竜の姉御に天使の兄貴!坊主に救われた命!あんたらに尽くして生きるのも悪くねーよ」
そういうアッシュらの顔は有無を言わさぬほど真剣で、クロウの将来を憂いているように見える。
それを見てネルは何も言えなくなってしまう。
「まぁ難しいことはいいじゃない?私やテトラも住むのだし、ついでに離れを作ってよ。助けてあげたんだから馬車馬のように働きなさい!」
アッシュとネルは顔を見合わせると、ちがいねーと笑い合うのであった。
そしてアッシュらダスティダストは帝都に一度戻り荷物を取って戻ってくる算段となり、クロウらに初めての隣人が出来ることとなるのであった。
そして7年の月日が流れる。
アッシュら新たな隣人は良き友人となり、ネルとマーサはあれから鍛錬に励み、衰えを見せず。
アドラとテトラは多くを語らず、それでもなおアルフォンスの一件以来何事もなく、平穏な時が流れるのであった。
しかしその7年の歳月は水面下で確執を生み、闇を孕む。
クロウらの平穏な生活の外側では動乱の火種が、嵐の前の静けさの中に確実に燻り始めていた。
しかし、どんなことがあったとしても、皆がクロウの幸せを願い、幸せにするために生きていく。
きっとそこには幸せな未来が待っている。
そう信じられるような光景が平穏な日々を彩っていた。
———————————————————
第1章終わりです。
あ、はるはるぽてとです。まだまだ完結してません!次はクロウらの7年後からスタートします。
まだまだ完結まで長いですが、気を長く、末長くお読みいただけると幸いです。
ついでにほんのついでに、⭐️や❤️やコメント気軽にもらえると嬉しいです。
ではまた、次の章で!よろしくお願いします。
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