第6幕『裸のランチ(1991)』
デイヴィッド・クローネンバーグ監督作品。ウィリアム・S・バロウズの原作小説とはかなり違った話。そもそも原作じたいが麻薬体験をそのまま文章に起こしたような支離滅裂な本なので、映像化不能。
映画版の主人公ウィリアム・リーのモデルは、明らかにウィリアム・S・バロウズ。『裸のランチ』が執筆されるまでをあくまでウィリアム・リーの視点で描く映画。
ウィリアムテルごっこで誤って妻を射殺してしまうシーンも、バロウズが実際にやったことだった。作中では事故だったと弁解するウィリアムに、ある男が「事故など存在しない」と言う。すべて無意識のうちに望んでいたことであり、心のうちで妻を邪魔と思っていたのだ、と。ウィリアムはゲイだった。
「作家というなら、今すぐ何か書いて証明してみろ」と言われ、ウィリアムがふたたびウィリアムテルごっこの再現を行う。つまりこれは、バロウズの妻殺害はセクシュアリティの煩悶を遠因としたものであり、こういった人生の痛みをこそ曝して書くのが作家としての生なのだ、というクローネンバーグなりの解釈ではないか。
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