鬱/ 詩
堂々散々暗々転がった先にそれは座していた。
今宵ばかりではなく、そいつは一生をともにする算段であって、気づけば懐柔されていた。
泥のような心地よくも不快で仕方がない。
人の感情を疑い自分の感情をも疑って生きた瞬間は、本当に生きていたのかさえも疑ってしまう。
歩みを止めたいわけじゃない。
歩めないのだ。
足が一歩も動かなくて、その場から動けなくなって、どこにも動けなくなって、息をしている肉塊とはこれかと理解した。
金もモノも時間も酸素も身体も全てを無駄遣いして。
それでも生きようとするのだから困ったものだ。
ようやく少しばかり動けた頃には、歩き方を忘れた。
結果それが、私に齎したものは緋に染まった怒りと、雨のような号哭と、胡乱に拵えられたトラウマ。
そしてすべてを飲み込んだ闇。
喜も怒も哀も楽も飲み込んで捻り潰したそいつは絶望だった。
痛みをありがたがった頃に、大変にこころが晴れた刹那があった。
見事な全能と久しい軽やかさとでスキップを始めた。
ようやく進めるはずだった。何もかもを浪費した後の清算へと追いつくためだった。
足が縺れた。転んだ。顔を上げた。何かに頭を抑えつけられた。
そいつがいた。
私は、煌々と灯った躁に釣られただけ。
なにも変わっちゃいない。
たらふくに肥えた闇と、紫煙のような独りと、健やかに育った妬みが見下ろすようになっただけの話。
しにそこないがここに生まれただけの話。
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