凍った指先、停滞、創造

あんちゅー

繋がれた鎖のような連綿

果てのない中で作り出されたもの


世界は形を観測し


そこで初めて広がっていく


体内に残された時計


繊細で臆病であったもの


刻むことのみを許されて星霜


星の数に勝るとも劣らず


使い道のない物を手に取って


思い出すことで手繰り寄せる


我々から見れば1本の線であり


辿ることの許されないもの


しかし一つ一つの部材に押し留められた時間の欠片を


果てから読み解く誰かがいるだろう


作り出しておきながら


勝手の利かない理と逆行


それはあまりにもおざなりに取り残された


失った手足は治らず


刻まれた皺は均されない


髪が抜けて


腰が曲がり


節々の錆が蝕んでいく


望む望まぬ葛藤を超えて


いつか塵に還っていく


擬似的な永遠はどこかで綻ぶ


それを良しとするのは


とうに動かなくなった指先である


見飽きて見捨てた彼の箱庭


一つ一つを砕いて混ぜて


気まぐれにつげ替える時


体内の時計の針はどちらへ進むのだろう


停滞か逆行か


どちらも等しく終わる前触れのようだ


知恵の輪がひとつなぎになるのと同じように


また繰り返されるのであれば


次はもう少し続いて欲しいものだ




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凍った指先、停滞、創造 あんちゅー @hisack

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