第2話 事件現場で妄想する
事件は、都会のど真ん中で起きた。
俺は、相棒の女刑事・工藤美恵を連れて現場に向かった。
そこは都会のど真ん中にある巨大な敷地面積のある森林公園だった。小舟の浮かぶ池、そこを囲むように伸びるマラソンコース、周りには野球場、テニスコートと文字通り街の憩いの場といった感じだ。
「ここが現場みたいですね」
先を進む工藤美恵が言った。
彼女はその大きなお尻がはちきれんばかりのピチピチのスーツで現場へやってきていた。
工藤美恵、二十七歳。情報によれば、上から85、56、87のナイスバディだ。私の個人的統計データによれば、ウエストとヒップの差が30センチ程度がもっとも理想的だ。彼女はぴったり30センチ差というわけではないが、それでも男心、いや、股間心をくすぐる素晴らしい腰のくびれと男を惑わす狂おしいヒップであることは間違いない。
「あの……先輩? さっきから私のお尻を見つめてますが、何かありましたか?」
俺はひとつ咳払いすると「今回の事件のことを考えていたんだ」と答えた。
「そ、そうですよね! まさか私のお尻をただ見ていただけなんてことはありませんよね」
「当たり前だろ! さぁ現場を調べるぞ!」
俺はそう言って、とても自然な感じで彼女の尻を叩いた。
叩かれた尻はプルルと揺れる。
「は、はい……」
彼女は尻を叩かれたことにちょっと戸惑いながらも、俺の後をついてきた。
現場は公園の中央に位置する池のそばにあり、到着すると俺は青いシートをめくった。
シートの下には若い女がうつぶせで倒れていた。
「むごいですね」と工藤美恵が言う。
「うむ」
見たところ、二十代といったところか。ちょうど工藤美恵とも同じ年頃だ。
「工藤君、ちょっと聞きたいことがあるのだが」
「はい、なんでしょう?」
「君のヒップサイズは、たしか87センチだったね?」
「……しばらく測っていないのでわかりませんが、それがどうかしましたか?」
「うむ、これを見てくれたまえ」
俺はひざまづくとうつぶせに倒れた女の尻を指差した。
「被害者のヒップサイズ――、おそらく君と同じサイズだ」
俺がそう言うと、脇で作業していた鑑識の男が、
「確かに、同じっぽいですね! ちょっと失礼します」
鑑識の男はポケットからメジャーを取り出すと、工藤美恵のヒップを手慣れた動作で測る。そしてそのままの流れで今度は被害者のヒップサイズを測ると、
「お見事です! ぴったり同じサイズです」
「だろう?」
俺は自慢げな顔を見せた。
「あの……、私のヒップサイズが何か事件に関係が――」
「よし、この調子で調査を進めるぞ! 工藤くん、よろしく頼むぞ!」
俺は再び彼女の尻をあくまでも自然な風を装って叩いた。
今日も事件は解決したも同然だ!
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