第10話 神巫まなかの想い②
あれから数日が経った。その間お母さんや晴人が良くお見舞いに来てくれていた。そしてその日はお母さんだけ来てくれた。晴人は学校のイベントの準備が忙しいそうでしばらく来れそうにないそうだ。
「まなか、今日は体違和感とかない?」
「うん!今日も元気だよ!お母さん!」
私はまた嘘をついた。本当はまたさらに体が自由に動かなくなっていた。でもお母さんをこれ以上悲しい思いはさせたくなかった。だから元気なふりをした。でも私はこの数日間ずっと考えていた。晴人への想いを本人に打ち明けるかどうか。だからお母さんにその話をしようと思っていた。
「お母さん相談したいことあるんだけどいいかな?」
「まなかから相談事を頼まれるのは珍しいね。どうしたの?」
「うん。私ね余命宣告された日からずっと考えていたの。今後どうやって過ごそうかなって。それでね考えたんだけど、私晴人のことが好きなの。今までずっと恋心とかわからなかったけど、今になって思うの。晴人とずっと一緒にいたい。遊びたい。話したい。って。だからこの想いは晴人に打ち明けるべきなのかなって。でも私はこの先長くない。それで伝えて晴人に辛い想いはされたくないって思う。私はどうしたらいいかな」
私は、お母さんに今まで思っていたことを全部話した。お母さんはずっと私の顔を見て話を聞いてくれた。そして私の問いに答えてくれた。
「まなか、それはねまなか自身が決めることだと思うわ。私がこうしたほうがいいって言ってそれでまなかが本当にそうしたいと思っていないことをお母さんが言ったらまなかは納得する?」
「自分がそうしたいと思っていないことだったら納得はしないと思う」
「それでもまなかはそうしてしまうかもしれないでしょう」
「そうかもしれない」
「ならお母さんから言えることは、まなか自身が本当に伝えたいことを伝えなさい。まだ考える時間はある。だからゆっくり考えなさい」
お母さんは真剣な表情でそう言ってくれた。確かにお母さんの言うとおり。多分私はお母さんが言ってくれたことをそのまましてしまう可能性があった。自分がそうしたいと思っていなくとも、そうしていた可能性があった。お母さんは余命宣告されている私に「まだ時間はある」と言ってくれた。私は少し焦っていたのかもしれない。実際に死期がいつ頃になってしまうのか教えられてしまった状態だったから焦っていたのかもしれない。でもこれだけは思っていた。
きっといつか不意に好きという気持ちが伝えられる時が来ると私は直感だけれど確信していた。
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