第8話 獅子晴人の決断
「原因はまだわかっていません。ただ今わかることはまなかさんの痛みを訴える頻度が減っていることと、体が徐々に自由に動かなくなっていっていることです。このことから私はいろいろ考えました。そして思った。まなかさんの体は徐々に麻痺してきているということです」
「それはつまり体の内部の機能がなくなってきてると言うことですか」
「おっしゃる通りです。まなかさんの体つまり血管や内臓が機能しなくなってきているということ。なのでいつ心臓が機能を失うかわかりません。しかし今までのデータから見るに20歳以降生きている可能性は薄いかと」
俺とまなかのお母さんは言葉を失った。と同時に俺はまなかにこの恋心を打ち明けるかどうか悩んでいた。
「その長生きできないことまだまなかに伝えてないんですよね」
「ええ、もしご自身で伝えたいという希望がおありでしたらそうすることも可能ですがどうしますか」
俺とまなかのお母さんは顔を見合わせた。そしてお母さんが口を開いた。
「私たち自身でまなかに伝えます」
「そうですか、ではまなかさんには今言ったお話をお伝えください。できれは今日伝えた方がいいかと思います」
「はい」
俺とまなかのお母さんは診察室をでた。そしてゆっくりとまなかの部屋へ向かった。
「晴人君はこれからまなかとどう接していくの」
まなかのお母さんが質問してきた。正直まだ俺は迷っていた。この気持ちをまなかに伝えたほうがいいのかと。まなかに伝えたらどう思われるかと心配になっている自分がいた。そしてそれ以外にももう先が長くないと知らされた時のまなかが心配な自分もいた。が俺は今まで通りまなかのためにできることをなんでもしようと思った。だから
「俺は今まで通りまなかの様子を見に行こうと思っています。きっとそのほうがまなかも喜ぶと思うので」
まなかのお母さんは安心したような顔をしていた。
「そうね。きっとまなかも喜ぶと思うわ」
俺はまなかのお母さんと話していく中で、やっぱりまなかにどう思われようとこの恋心は伝えようと決めた。正直まなかが今俺にどんな気持ちで接してくれているのかわからないけれど、この思いを伝えずにまなかが亡くなったらきっと後悔すると思ったからだ。
・・・そして俺たちはまなかの病室についた
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