作業机

ハンドメイドの通販を始めた頃は、こんなことになるとは思っていなかった。SNSも活用して、キラキラしたハンドメイド作家になれると思っていた。けれど、


実情はそんなに生易しいものではなくて、独自のデザインで売れるものなんて、そうそう思いつくものじゃない。デザインを考えても、類似デザインが市場に出回っていないか、特に大手作家さんのレシピにないかを確認してからの販売は地味にストレスになりかけていた。


わたしには才能がないのかもしれない。レシピ本を見て、そのとおりに作って、器用だねって褒められていたのを、調子に乗ってしまった。わたしには独創性がない。なにを作れば顧客にウケるかも、もうわからない。


机にはただ、材料にしている色とりどりのシードビーズが散らばっている。これを集めはじめたときのドキドキは、いまどこにいるのだろう。


本日何度めかわからないため息をつく。




売れ残るハンドメイドに背を向けてデリカビーズの散らばる机

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