葬式の夢

あの人が何度も亡くなって何度も葬式を出す夢を見てきた。憎い人だからこそ、起き抜けの感覚は最高だった。


ただ、あの人はそう簡単には死なないだろうという気持ちもあった。簡単に死んでくれれば、ここまで憎むこともあるまい、という感覚がたしかにあった。


叔母からメールが来て、あの人が危篤だと知った。

「はっ、ざまあみろ……」

わたしの口角が即座につりあがった。喜びで手も震えてきた。ようやくあの人が死ぬ。わたしの恨む気持ちがあの人に届いたのだ。


どんな顔で「ご愁傷さまでした」と言ってやろうか、鏡の前で何度も練習した。できるだけ殊勝な顔をして、わたしの歓喜を周りに悟られないようにしなければならない。なにせあの人は好かれる人にはとことん好かれるので、余計な敵を作りたくないわたしには秘匿しなければならない喜びなのは当然わかっていた。


ああ、やっと、やっと……。


叔母からのメールで息を引き取ったことを知った。

わたしは口の端が裂けるほど微笑んだ。



「この度はご愁傷さまでした」何度も見てきた悪夢が正に

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